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僕はこの国が好きだ  作者: 花浅葱
No.5 滅亡へ向けて
13/44

第13話 飯田米太

弁財天 能力主:市川真美

絶対音感・・・7秒先の未来を見ることが可能。

酒呑童子・・・5分間だけ身体能力を大幅にあげることが可能。ただし、その後10分は動けなくなる。

美味美味・・・自分と、自分と親密な関係の人の傷を治すことが可能。


布袋尊 能力主:小田海斗

予言的中・・・数日後の正しい未来を50%の確率で見ることが可能。

疾風迅雷・・・風と雷を起こすことが可能。

幸福分別・・・今欲しいものが手に入る。一日一回使用可能。

 

 俺達は4人ボートの上でコンパスを眺める。青いコンパスには、鉛筆が一本ついている。

 コンパスの針の部分は使え無さそうだ。俺の胸ポケットに仕舞う。

「使えるのは...鉛筆1本...削ることは不可能か...」

「あ、あぁ...そうだな...」

「次の幸福分別では鉛筆削りでも貰うのかしら?」

 日野は皮肉を込めた言葉を俺にぶつける。

「ごめんって...」

 俺は謝ることしかできなかった。


「───ッ!」

 飯田から一瞬声が聞こえる。俺たち3人はそちらを見る。

「これが...お前らの言ってた能力?」

「飯田!どんな能力だ?」

「俺の能力は...『御飯』だ!」


 御飯 能力主:飯田米太

 空腹回復・・・飢えを治すことが出来る。

 食事提供・・・その場で、食事を提供することが可能。


「食事担当...これで、食料を幸福分別で出す必要はないのか...」

「飛鳥は何か能力を手に入れたのか?」

「私?私は持ってないよ...」

「そうか...」


 ”グラッ”


 波に押されて船が揺れる。

「おい...あれ...」

 飯田が指差す方向には───


「おいおい...早速ピンチかよ...」


 巨大な雨雲があった。


 ***


 俺たちは逃げようとするも、為す術もなくボートは転覆。そのまま、僕達は波と雨に飲まれて離れ離れに。


「あぁ...腹減った...」

 俺は海のど真ん中で漂流していた。俺は木片を掴んで頑張って浮いている。

「こっから...どうしよう...」

 俺の腹の音がなる。もう5日は何も食べていない。水分は、幸福分別で手に入れられるが食事までは手が回らない。もう、餓死しそうだ。そろそろ、飯田と合流しなければ───


 ”ブクッ”


 一つ、大きな泡が海面上に現れる。小田は沈んでいった。極度の空腹により失神したのであった。


 ***


 ブクブク。ブクブク。沈んでいく。

 ぶくぶく。ぶくぶく。下がっていく。

 ブクぶく。ブクぶく。没していく。


 ***


「ここは...どこだ?」

 飯田と日野は一つの島に到着する。見たこともないような色とりどりの花が咲いている。紫色だったり、オレンジ色だったり。

「うわぁ!綺麗な花!」

「そうだな...残りの2人は...どこに...」


 ***


 ブクブク。ブクブク。沈んでいく。

 ぶくぶく。ぶくぶく。下がっていく。

 ブクぶく。ブクぶく。没していく。


 ***


 ブクブク。ブクブク。沈んでいく。

 ぶくぶく。ぶくぶく。下がっていく。

 ブクぶく。ブクぶく。没していく。


 ***


 ブクブク。ブクブク。沈んでいく。

 ぶくぶく。ぶくぶ───


「UREYYYYYY!!!!!!!オラオラオラオラ!見殺しにはできねぇぜぇ!」

 沈んでいく小田を助けたのは、市川だった。


「オラオラオラオラ!逆に考える?そんなの知らないねぇ!上に上がるんだよぉ!」

 小田を掴んで、市川は海面上に上がっていく。

「さて、飯田たちはどこに?クンクン...この匂いは...あっちだぜぇ!」

 市川は人間とは思えないような速度で海を泳いでいく。


 酒呑童子・・・5分間だけ身体能力を大幅にあげることが可能。ただし、その後10分は動けなくなる。


 ”酒呑童子”の力で、市川は酒に酔って性格が変わってしまった。実際に、酒を呑んだ訳ではないのだが。


 ”ゲホッゲホッ”


 俺は目が覚める。俺は市川に掴まり、えげつないスピードで海を進んでいた。どこに、どこに向かっているのだろうか。

「真美!」

「海人!起きたのか?」

「え、あ、真美?」

 市川の喋り方が変わっている。何があったのだろうか。

「URYYYYY!!!!!!!!!!泳げ、泳げぇ!」

 色々と突っ込みたかったが、辞めることにした。市川も食事はないのに、よく生きていた。

「あ...まずいぜぇ!能力が...切れるぜぇぇぇ!」

「うっ、うおぉ!」

 市川の動きは止まり、海中に引きずり込まれる。

「真美!真美!大丈夫か?」

 俺は市川を抱き上げ、いつもの倍、足で水をかく。そうしないと、2人共死んでしまう。

「へへ...海人...ごめん...」

「真美!助けてくれて、ありがと!」

「えへへ...褒められると...嬉しいな...進んだ方向に...2人はいるよ...」

「そっか!じゃあ、向かう!」

 俺は少し少し進んでいく。


 ***


 ”ザッザッザッザッ”


 飯田と日野は島の中を進む。島は木々に囲まれて日陰になっている。時折、大きなキノコが見える。

「本当に...こっちで合ってるの?」

「元から、正解なんてないだろ?」

「まぁ...そうだけど...」

 日野はオズオズとしながら、飯田に着いていく。

「こんにちは...飯田米太君!そして、日野飛鳥さん!」

 2人の目の前に高身長の男性と、痩せ細った男性が現れる。

「だ...誰だ!お前は!」

「俺の名前は、国狭槌尊(くにさつちのみこと)です」

「俺は豊雲野神(とよくもの)だ!」

 高身長の男性が国狭槌尊(くにさつちのみこと)を、痩せ細った男性が豊雲野神(とよくもの)を名乗る。

「日野飛鳥さんを...攫いに来ました!」

「なっ...」

 飯田が反応するよりも先に、国狭槌尊(くにさつちのみこと)は日野を捕らえる。

「米太!助けて!」

「飛鳥!飛鳥!」

「土壁!」

 飯田は、国狭槌尊(くにさつちのみこと)に殴りかかるも効かない。

「あなたは、市川真美さんと、小田海斗君を殺してください...いいですね?」

「そんなの...いい訳ないだろぉぉ!」


 そう叫ぶも、国狭槌尊(くにさつちのみこと)と、豊雲野神(とよくもの)は消える。日野は誘拐されてしまった。

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