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僕はこの国が好きだ  作者: 花浅葱
No.5 滅亡へ向けて
11/44

第11話 鎮魂歌

 

 ”バタッ”


 鎮魂歌は静かに奏でられる。青山の道連れになったのは───




「北島!やったか?」

「青山アァァ!」

 酒井は北島の名前を叫び、永富は青山の名前を叫ぶ。


 道連れは、永富結城だ。


「───!」

 永富は悲鳴をあげるも、声にならなかった。そのまま、倒れた。


 ***


「あれ...北島と酒井は?どこだ!」

 青山は花畑にいた。

「何を言っているんだ?」

 そこには、永富がいた。花畑には優しい音楽が流れていた。どこか、クラシック調の音楽だが、心に響く。

「永富!付いてきてくれたのか?」

「付いてきたって...お前が無理矢理連れてきたんじゃないか...」

「え?どういうこと?何を言っているんだ?」

「俺とお前は死んだんだよ!」

「は?」

「だから、死んだの!」

「死んだ...の?」

「あぁ!お前が音の斬撃(エレキギター)に突っ込んでね!」

「そう...なの?じゃあ、北島と酒井は?倒せたか?」

「ここに来てないなら...まだ生きてる...」

「死んだのは...俺らだけか...」

 音楽はだんだん激しくなる。楽器で言えば、トランペットやサックスだ。

「これは...鎮魂歌(レクイエム)か...」

「そのようだな...」

「永富!一緒に付いてきてくれるのか?」

「あぁ!北島に天国に来るように頼まれてるからな!」

「北島...勝手なことを...」

 青山は北島の優しさに気づいていた。だから、北島を道連れにしなかった。北島は何か成し遂げてくれそうな気がして───



「それじゃ、行くぞ!天国へ!」

「あぁ!」

 音楽は前奏を終える。青山の鎮魂歌(レクイエム)は発動していた。永富を道連れに青山は死んだのだ。








 2人は花畑を歩く。仲良く手を繋ぎながら...




 ***


「終わったのか...」

「あぁ...そうだな...」

 僕達は2人の前で黙祷する。僕は今、初めて人を殺した。いや、土人形なので、人殺しではないのだろうか。

「それじゃ...行くか!」

 僕達は歩みと続ける。梅染を助けるために。そして、死んだ2人を報う為に。


 ***


 ───時は遡って約1ヶ月前。


「なっ...これは...」

 俺の名前は小田海人(おだかいと)だ。

「この能力は...なんだ?」

 俺は不意に頭痛がしたと思ったら、こんな能力を手に入れていた。能力の名前は『布袋尊』だ。

「『布袋尊』...だと?七福神か?」


 布袋尊 能力主:小田海人

 予言的中・・・数日後の正しい未来を50%の確率で見ることが可能。

 疾風迅雷・・・風と雷を起こすことが可能。

 幸福分別・・・今欲しいものが手に入る。一日一回使用可能。


「すごい...能力だな...試しに使ってみるか...幸福分別!」

 俺の手の中にはPS5があった。欲しかったゲーム機だ。本物だ。この能力は、本物だ。

「なっ...この能力...すげぇな!」

 俺は喜んだ。とても喜んだ。バンザーイ!バンザーイ!

「って、言っても、あんまり欲しいものはないんだよなぁ...」

 俺は一度能力を使ってから考える。この能力は1日1回しか使えないのだ。明日から、何貰おうかと考えている。

「しかも...風はスカート捲りとかで利用するとして...雷って...マラソン大会の日ぐらいしか使い道なさそう...」

 俺は、暇なので、彼女の市川真美(いちかわまみ)のところに能力の自慢をすることにした。


「真美!真美!」

「海人!私ね!私ね!」

「「能力を手に入れたの!」」

 俺たちの声はハモる。何?真美も手に入れたのか?

「え...真美も?」

「え...海人も?」

「えっと...能力名は?」

「私は...『弁財天』...海人は?」

「俺は...『布袋尊』だよ?」

「あ、2人共七福神の名前だ...」

「なら、他にも七福神の名前の能力の人も...いる?」

「あぁ...多分そうよね...」


 僕達は互いに能力の概要を説明する。


 弁財天 能力主:市川真美

 絶対音感・・・7秒先の未来を見ることが可能。

 酒呑童子・・・5分間だけ身体能力を大幅にあげることが可能。ただし、その後10分は動けなくなる。

 美味美味・・・自分と、自分と親密な関係の人の傷を治すことが可能。


「俺も真美も...未来を見れるのか...」

「私は確定だけど、7秒後だけ...海人は外れるかもだけど数日後...か...」

「2人で穴は埋めていく感じか?」

「えぇ...そうね...」

 俺たちは沖縄に住んでいる。


 ***


 時間は現在に戻る。


「やっと退院できたか...」

 久良は家に帰ってくる。すると、一つの手紙を見つけた。

「なっ...これは...」

 その手紙にはこう書いてあった。



 久良君へ

 こんにちは。私は国狭槌尊(くにさつちのみこと)です。

 あなたが殺した堂島零士と加藤愛子を派遣したのは私です。

「久良義和を殺せ」と命令をして派遣しました。

 あなたの身にはこれから何度も何度も危機が訪れるでしょう。

 派遣元は、伊勢神宮にいますので。止めたければ自分の足で来てください。

 あなたの無事を祈っております。

 国狭槌尊(くにさつちのみこと)



「なんだよ...この手紙...」

 久良は手紙をビリビリに破る。

「こんなの...おかしいだろ...なんで...なんで俺は狙わけなきゃなんねぇんだよ!」

 久良は破った手紙をゴミ箱に投げ捨てる。

「乗ってやるよ!その喧嘩!」

 久良は北海道から、伊勢神宮へ向かうことを決めた。

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