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僕はこの国が好きだ  作者: 花浅葱
No.5 滅亡へ向けて
1/44

第1話 使者

 

 ”キィィン”


 ”キィィン”


 俺の持つ刀と相手の氷の刀がぶつかる。何度も何度も。俺の名前は久良義和(くらよしかず)だ。

「ふふっ!はははっ!いい剣だ!重さがある!名前は?」

「名乗ろう!」


 俺は氷の刀を持つ青年から少し距離を取る。

「俺の名前は久良義和だ!あんたは?」

堂島零士(どうしまれいじ)だ!物質凍化ぁ!」


 俺らを囲むように氷の壁ができる。空までもが分厚い氷に覆われてしまった。一つの氷でできた密室に閉じ込められた。

「拙者も武士だ!一般人に被害は出したくないものでな...」

「そうか!迷惑がかかるのは俺だけでいい!」

「あぁ!お前は天誅する!」

 堂島はこちらに向かって走ってくる。俺も刀を強く握った。


 ”キィィン”


 ”キィィン”


「ははっ!ははははは!楽しい!実に楽しいぞぉ!」

 俺の刀は堂島の氷の刀と交わる。自分の命を守るために。どうして。どうしてこんなことに───


 ***


 これは、久良が堂島と接敵する1年と半年前の話である。


「ま...負けた!淤加美神様(おかみのかみさま)...負けた...敗れた...どうして...どうして...」

 赤木の姿をした妖狐は他の高貴な神のところへと急いで走っていく。


 淤加美神(おかみのかみ)は、とある学校の一クラス全員を巻き込んだデスゲームを行った。

 そのゲームの最終決戦で、淤加美神(おかみのかみ)は、北島栄(きたじまさかえ)河井隆貴(かわいりゅうき)という2人の少年と梅染久美(うめぞめくみ)という1人の少女に負けたのだ。

 淤加美神(おかみのかみ)の負けを報告するためにデスゲーム参加者の赤木の姿をした妖狐は走っていた。


「神たちよ!我は淤加美神(おかみのかみ)の使者である!ここを通して欲しい!」

 妖狐は門の前で跪いた。その巨大な門は開けられる。


 ”ギィィィィィ”


「あの変態戦闘狂の使者か!何を伝えに来た!述べよ!」

 高貴な神の紅一点である神は声を上げた。大きな丸いを机の周りに4柱の神が座っている。

「はっ!淤加美神(おかみのかみ)は自分の趣味でデスゲームを行った結果、デスゲーム参加者に殺されました!」

淤加美神(おかみのかみ)は死んだのか!それはいい報告だ!」

 女性の神は声をあげる。

「おいおい...迦具土神(カグツチ)...淤加美神(おかみのかみ)は死んだのだぞ...あまりに不憫ではないか?」

「そんなのは知らん!あの変態戦闘狂は自爆したも当然だろう?」

 女性の神と高身長の男性の神は話をしている。


「それで、その淤加美神(おかみのかみ)を殺したようなデスゲーム参加者は何者だ?」

 痩せ細った男性の神は妖狐に質問をする。

「全員能力者です!生存は3名ですが、一人は淤加美神様(おかみのかみさま)の”水生夢死”の中に囚われている模様です!」

「そうか...囚われた奴は、もう出れないからこちらに危害は加えられない...問題は2人だ!」

「あぁ...その2人は情報は?」

「一人は男性で名前は{北島栄}!今の能力は『食糧』です!残りの一人は女性で名前は{梅染久美}!今の能力は『経津主神(フツヌシ)』です!」

「おい...今なんと言った?」

 女性の迦具土神(カグツチ)と呼ばれていた神が反応する。妖狐は少しビクついた。

「{梅染久美}ですが...」

「違う!そいつの能力の方だ!」

「『経津主神(フツヌシ)』です!『経津主神(フツヌシ)』!」

「『経津主神(フツヌシ)』か...ははっ...」

 女性の神は笑う。高笑いをした。

「いい情報だ!ありがとう!」


 ”ボウッ”


 どこかで何かが燃える音がする。どこで何が燃えているんd───





 妖狐は迦具土神(カグツチ)に燃やされて死んだ。

「さて、『経津主神(フツヌシ)』か...」

 高身長の男性の神はため息をつく。

「あぁ...そのようだな...」

「捕らえた方がいいんじゃないか?」

「私もそう思うぞ!『経津主神(フツヌシ)』は我らと同じ神だからな!」

「能力持ちは処分した方がいい...そうだろ?」

「あぁ!もう一人の少年の北島も呼び出せるだろう!」

迦具土神(カグツチ)の意見に賛成だ...だが、普通にやっても面白くないだろう?」

「なんだ?国狭槌尊(くにさつちのみこと)?面白い案はあるのか?」

「あぁ!ある!」

 高身長の男性の神は国狭槌尊(くにさつちのみこと)と呼ばれていた。

「なんだ?言ってみろ!」


「俺たちが住む日本から6人を選別して能力を授ける!こちらからは何人もの能力者を派遣して戦わせるのだ!」

「その案乗った!デスゲームなんかより幾分も品がある!」

 迦具土神(カグツチ)国狭槌尊(くにさつちのみこと)の意見に賛成する。ほとんどデスゲームとは変わらないと言うのに。


「俺らはラスボスとして立ちはだかればいい?そうすれば面白そうだろう?」

「あぁ!あぁ!私達も戦えていい気晴らしになるな!他のみんなは賛成するか?」

「俺は...賛成しないぞ?」

 ずっと沈黙を貫いていた筋肉ムキムキの男性の神はついに口を開いた。

「何?甕速日神(みかはやひのかみ)は賛成しないのか?」

「あぁ!人間を殺して遊ぶなんて間違っている!」

「なんだよお前!昔からそうだよな!つまらない意見だ!もう誘ってやんねぇよ!」

 迦具土神(カグツチ)甕速日神(みかはやひのかみ)に向かって舌を出す。

「それで、豊雲野神(とよくもの)は賛成するか?」

 残りの一人───痩せ細った男性の神に迦具土神(カグツチ)は話しかける。

「俺も...賛成する!楽しそうだ!だが、途中で抜けるかもしれないが...いいか?」

「あぁ!ウェルカムだ!ノリの悪い甕速日神(みかはやひのかみ)とは違ってお前はいいよなぁ!」

 迦具土神(カグツチ)豊雲野神(とよくもの)に向かって笑顔を向ける。今日始めて見た笑顔だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前作からの続きものですね。 セリフが多いため、漫画のようにスラスラと読めました。 [一言] 今作も神様のオモチャにされちゃいましたね(笑) これからの河井の動向も少し気になるところです…
2022/06/30 22:23 退会済み
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