第6話 孤児院① 悪戯
聖堂を出て、通りを歩く。
しばらくは、別荘でのんびりするつもり。怪我人の相手なんか、つまらないわっ!
足元にロープを発見。
ピョンと飛ぼうとすると、それは、高さを変えた。
甘いっ!
ゴム跳びの要領で、華麗に交わす。
最後に、挑発の意を込め、つま先で、ロープをチョンと弾いてやった。
「お上手です、お嬢さま」
セバス爺の拍手。
ふっ、当然よっ!
それにしても……、ゴム跳びって何だっけ?
とても、懐かしい響きだわ。
いけない!
ロープの先をキッと見る。
いない!
また、逃げられちゃったわ!
はぁー、めんどくさいなぁ。
わざわざ、待ち伏せまでしているとは、よほど、あたしの転びっぷりが良かったに違いない。
でも、このまま付いて来たら困るな。
別荘には、霧の結界が張ってあるから、大丈夫だと思うけど……。
あの辺り、魔物がいるのよね。
弱い魔物だけど、相手が子供なら食べちゃうかも!
そうなると、近辺に討伐隊とか出て、いろいろと困るな……。
顔を上げると、ふっくらとした、見知らぬ叔母さまの満面の笑み。
「あらあら、イタズラ坊やにちょっかい出されたのかい。あの年頃の男の子は……」
叔母さま、話が長いわよ!
彼女の相手は、セバス爺に、任せるわ。
それにしても、有名なのね、あの子……。
「あの〜、叔母さま、あの子は、どちらにお住まいですか?」
彼女とセバス爺の話に恐る恐る割って入る。
だって、叔母さまの、おしゃべり、止まる気配がないのよ。
「あら、やだ、あなた、本当に可愛いわね」
苦しいわ! 叔母さま、離して!
いや、離せ!
「ごめんなさい、痛かった」
ゼーハーしながら頷いた。
「あの子は、教会が運営している孤児院の子よ。気になるの?」
気には、なるわ。セバス爺の背中へと、一時、避難。ゼーハー。
「あらあら」
叔母さまは、いったい何が、楽しいのかしら?
また、抱きしめられても、かなわないので、小声で、セバス爺に、孤児院への道を聞くようにお願いをする。
今度、抱きしめられたら、手加減できる自信がないの……。
彼女とセバス爺の会話が終わったところで、頭を下げる。
いろいろ、会ったけど、全て水に流すわ。
「育ちの良い、お嬢さまは、やっぱり、礼儀正しいのね」
叔母さまの物言いに、含みを感じる。
それは、言葉ではなく、イントネーションからだ。
それは、彼女の続く言葉で理解できた。
「あんな男の子が、好みだなんて、世の中は、分からないわよね」
ねぇーと、セバス爺に同意を求める、叔母さま。
セバス爺は、そんな彼女に、苦笑いだ。
それよりも、バカじゃないの!
「なに、勘違いしてるのよ! あたしは、注意したいだけなのよ!」
別荘のそばで、人間が行方不明になったら面倒でしょ!
「あらあら、まあまあ」
あたしの言葉は、彼女へは、届いていない。
「だいだい、あの子、子供じゃない!」
歳の差を考えてよ! バカ!
「そんなに、違わないじゃない?」
キー、あたしを子供扱いする気!
「まあまあ、お嬢さま、それよりも急ぎますよ」
セバス、その手を早く離しなさい!
童顔だからって、バカにしないでよね!!




