脅威 その1
夏がくぅ~れば思い出すぅ~~♪
学生の夏といえば?
やっぱり弾ける肌ですよね←若いって・・・羨ましい
俺達にその日がやって来た。
ついに・・・やって来たんだ。
「熱いニャ~~~!」
言われなくても・・・熱い?
「違ったニャ!暑いニャ~だった」
相変わらずなニャン子具合ではないですか?
蝉時雨が街路木から落ちて来る中、俺達は家路を歩んでいた。
「明日からは、暫く学校に行かなくなるニャか?」
「当たり前だろ」
何度同じ事を言わせるんだよアリシア?
「何故ニャ?なぜ休校にニャるニョ?」
「さっきも言っただろ」
いい加減覚えておけってば。
「アリシア!明日から夏休みなのッ!お休みなんだよ~」
るんるん気分の萌が言った通りだ。
学生が待ちに待っている・・・本格的な夏が来たんだ!
「夏休みっていう概念が分らニャいニョだが?」
アリシアは学校に通わなかったから、知らないんだろうけど。
暑い最中に登校しなくても済むんだぜ?
と、皆が燥いでいる影でくらくらしている人が?!
「私にはちょうど良いお休みですぅ~」
雪華さんは、雪女属性だから暑さに弱いんだったっけ。
「クーラーの前で固まりたいです~」
いや、あの。風邪ひきません?
「この処、連日猛暑日だったもんね。
雪華でなくても堪えるわよねぇ~」
ニコニコ顔の萌が暑さを強調するように、制服の胸元を引っ張って涼を取る仕草をしやがるんだ。
キラキラ光る汗、キラキラ光る瞳・・・そして零れる胸の盛り上がり。
「うッ?!」
見ちまった・・・目に入った・・・不可抗力だ?!
「イカン・・・遺憾。目の毒だ」
義妹に魅せられた訳ではないけど、俺だって高校男子なんだぞ。
俺が何気なしに呟いたら、聞いていたアホニャンが。
「ドアクダーニャか?!」
眼の毒って言ったのを勘違いしやがった。
「目の毒って言ったんだよ!」
思わず怒鳴ってしまってから、不味いって気付いた。
「ほぉう?何が眼の毒なのかなぁ~?」
しまった!一番聞かれてはならない奴に聞かれちまったじゃねぇか!
「ゆー兄は、何を観て眼の毒って言ったのかしらぁ?」
ニチャァ~と顔を引き攣らせて俺に迫る萌さんに、だ!
「そ、それはだな。ほら、あれだ。眩しい光に目が眩んでしまったんだ」
「嘘」
うッ?!
萌の眼がジト目になってる!しかも簡単には赦して貰えそうもない?!
「頭一つ分背の高いゆー兄が観たものって・・・これでしょうが!」
俺に迫る・・・怒り目の萌さん。
殺気めいているんですけど?
俺を睨んでいる萌が、胸元を引っ張っているんですけど?
「ど~せッ!アタシのは大きくないわよ!眼の毒でしょうよ!」
・・・・・・・は?
「アリシアや雪華さんみたく、目の保養にはならないでしょ~よ!」
・・・・あの?
「言うに事欠いて眼の毒だなんて!ゆー兄の変態!馬鹿!」
おいおい?!意味を取り違えているようだが?
「アタシだってきっと大きくなれるんだからね!観てなさいよぉ!」
もしも~し?萌さん?
あかんべぇ~をしてくる萌に、捲し立てられるだけの俺。
はっきりと言うべきなのか、黙っておくべきなのか。
俺の好みは巨乳じゃないんだって、整っている美乳なんだってはっきりと。
「言えるか!」
逡巡する事僅か0コンマ1秒。
「目の毒ってのはだな、麻薬の様に繰り返し見たくなるって意味だ」
俺なりに言い訳を考えたつもりだったんだ。
「麻薬?それって・・・やっぱり毒じゃないの!」
・・・うむ。失敗だったか。
おまけにニャン子にまで、
「逮捕ニャァッ!」
揶揄われる始末・・・とほほ。
口は禍の元とは、こう言うんだろうな・・・
・・・・・(=^・^=)・・・・・
夏の太陽が燦燦と照り付ける午後。
「アリシアに訊ねたい事があるのよ」
ベランダで洗濯物を干しながら、マタタビ缶を与えた萌が訊きました。
「ふぅニャァ~ニャンでも訊いてぇ~」
ラりってるニャン子に。
「どうやったら・・・どうして大きくなれたの?」
「ニャァ~~~ニャにがぁ~~?」
ラりるニャン子に、萌の指先が向けられて。
「ニャっ?もしや・・・ッパイニャか?!」
たゆんと揺れるたわわちゃんを指された?
「もしかしてぇ~、帰宅中の一件ニャか?」
アリシアは萌が気にして訊いて来たと思い込んだようです。
ですが?
「そう、それ!・・・なんて言うと思った?」
違ったようです(あれ?)
笑う萌さんはアリシア自身を指しているようです。
「ニャ?大きくって。どこを指して訊いてるニャ?」
ラりってる筈のアリシアが訊き返すのです。
「アタシのどこが大きくなってると言うニャか?」
しっかりとした口調で。
どこかぎこちない感じで。
「誤魔化せるのはユージだけよ。
アタシには隠し通せないわよ、機動少女のアリシア」
え?!
萌たん?!
「あの晩、美春さんに触れられた後。
急に口調が変わった、そして体つきも少しだけど大人びた。
前のアリシアが幼い感じだったのに、今はお姉さんみたいに成長した。
・・・どうやって?」
看破してるッ?!
洗濯物を干し終わった萌がアリシアの傍に来て。
「アタシの記憶では、機動少女なアナタってポッド無しでは現界出来ない筈だった。
なのにこうしてニャン子なアリシアとして現れているのは何故なのかって訊いてるの」
あわわわ・・・驚愕の暴露?!
ですが、流石の機動少女は取り乱しませんでした。
「やっぱり巫女の異能を継承しただけあって鋭いわね」
ニャ語さえも消えています。
「それはお互い様でしょ。
アタシはモエルさんの、あなたは機動少女としての力を授かった。
でも、訊きたいのは何故なのって話。
どうしたら大きくなれたのかって・・・訳を話して貰いたいのよ」
マタタビ缶を抱いて横になっているアリシアの傍に腰をおろした萌が、
「美春さんから教わった敵の存在が理由の一端なの?」
話さずにはおられ無くして来たのです。
じっとアリシアの顔を探り、表情から読み取ろうとしていました。
「そうね・・・誤魔化したって無駄・・・だよね」
ラりっているのもフリなら、ニャ語も誤魔化す為。
マタタビ缶を放したアリシアが起き上がると。
「それじゃぁ、あなたの事はどう呼べば良いのかな?
萌、それともモエル?いいえ、天使とでも?」
「今は未だ、萌で良いよ」
肩を並べて座る二人。
本当の姿ではないにしろ、此処にいるのは機動少女と巫女天使。
互いに隠す訳があるようでしたが。
「機動少女じゃないアリシアはどうなったの?
美春さんが今の姿にした後、ニャン子なアリシアはどこに行ったの?」
萌はずっと一緒だった娘の安否を訊ねるのです。
「うん、大丈夫だよ萌。
此処に居る、私の中に仕舞ってあるから」
ポンと胸を打ち、心配しないでとアリシアが笑いかけて来ます。
「それと。
あれは美春さんとか言う人じゃなくて、私の上司様なんだ」
「上司様?」
うん、と頷いたアリシアが。
「保安官様・・・私の所属する事務所の主幹。ミシェル女神様が化けておられたの」
苦笑いを浮かべると事実を打ち明けたのです。
「なんですって?保安官が地球にまで来ているの?」
萌が驚きの事実を聞いて訊ね返します。
「うん」
否定せず、でも首を振ったアリシアが。
「来ているんじゃなくて、見張っておられるだけなの」
「え?!それって?」
辻褄が合わない・・・そう萌は言いたかったのです。
「手を出してくれないって事?!」
部下が窮地に陥っても?手助けして貰えない?
「地上の事件には。
この星上で起きることには不干渉を決められているの」
でも?・・・と、萌は思いました。
「ミシェル保安官は、アタシ達の前に姿を変えてまで教えに来てくれたじゃない?」
不干渉と言いながら。
「それはね。
事件が想わぬほどの展開になったから。
はっきり言うと、並行世界の未来では起きなかった歴史になったのよ」
「え?!歴史が替えられた・・・の?」
そうです。
本来ならアリシアによって齎されるのは、野良有次が継承するだけの話だった。
彼が秘められた勇者剣士の異能を授かりさえすれば帰還する手筈だったのです。
未来の保安官ノラ・ユージを伴って。
ですが、現地に赴いたニャン子なアリシアによって<地図の巫女>までもが目覚め、二つの魂が選択してしまったのです。
ユージと萌。
二人に運命をも授けてしまったから。
それにより、事件はあらぬ方へと走り出してしまったのです。
古から秘められ続けた秘宝の鍵が、今こそ開かんとして。
大銀河を破壊と暗黒に染めようと目論む輩達に因って・・・
萌さんはアリシアの変化を見破っていたようです。
そして、彼女と話す内に・・・
どんどん知らされていく真実。
それは未来から来たアリシアだからこそ知り得たのですが・・・
次回 脅威 その2
ユージの母って・・・なぜ見つけられないの?その訳とは?




