誤解?もっかい?!地下一階!その1
萌VSアリシア?!
さて、前回からの決着は・・・どうなるの?
校舎脇で空気が凍り付いた。
間違いなく二人の間には・・・だけど。
「良く分からないニャが・・・なにか勘違いしてるニャ?」
ケモ耳を立てるアリシアが萌を諫める。
「アルジのユージと云ったけど、そこがおかしい話になってる様だニャ?」
「どうおかしいってのよ?」
睨んで来る萌から俺に視線を向けたアリシアが。
「これに居るアルジのユージが名乗ったニャ。
アタシの星で言う処のシリアルナンバーと同じ、ノラユージって」
「ノラユージがシリアルナンバー?
んな馬鹿なことがあるわけないでしょーが!」
火に油を注ぎまくってますよアリシア?
「信じないのは勝手ニャが、本当ニャンだこれが。
アルジはノラ。だから野良有次はアルジユージニャンだ。
あたしが呼んでいるのは単に慣例に従ってるだけニャ・・・
どうしても分かって貰えニャいのニャら・・・」
そう答えたアリシアが缶紅茶を置いて立ち上がり。
「アタシがこの星の住人じゃないのを見せるしかニャいニャ」
被っていた帽子を脱ぎ去ってみせたんだ、萌に。
ぴょこんと立つケモ耳。
赤毛の間に立つ猫耳って奴を。
「・・・良く出来たツケ耳ね」
萌はコスプレイヤーだと確信してしまったようだ。
ピョコン モフモッフ
カーゴパンツから零れ出ている尻尾をフリフリ。
「電動尻尾なんて珍しくないわ」
いや・・・十分珍しいでしょ萌さん。
アリシアと萌の二人が見つめ合う・・・いいや、お互いにどう反応して善いやら分からなくなっているようだ。
「まだ駄目なのかニャ?」
「困った事に・・・理解不能ね」
アリシアは自分の姿を晒したのだが、どうした事か萌は人外生物を生理的に拒否しているみたいだ。
「困ったニャ・・・アタシを異星人だと分かって貰えないニャ」
「ほほほっ!ホント残念ねぇ赤毛の女・・・・人?!」
やっと現実逃避から戻って来たようだな。
「ちょっ、ちょっとゆー兄ぃ?!これって何の冗談?!」
急に慌てだした萌に、
「冗談なもんか、俺も昨晩からずっと痛い目に遭ってるんだぞ!」
事実を突きつけてやった。
「悲ぃいいいいっ?!ゆー兄ぃが異星人に拉致られた?!」
「拉致ってないニャ」
ぼそっと突っ込むアリシア。
「単に運が悪い男の子だけニャ」
確かにそうと云える・・・俺にはね。
「赤毛のモフモフ異星人が、ゆー兄ぃに何の用があって?」
一緒に学校まで来ているの・・・と、言いたかったらしいけど。
ばたん・・・・きゅぅ
ひっくり返って気絶しちまったんだ、萌の奴は。
「ありゃま・・・おいたわしや・・・ニャぁ」
ひっくり返った萌に、アリシアが心底気の毒がるが。
「こういう反応が普通なんだろーな」
萌を抱きかかえてアリシアに教えてやった。
「そうニャ?その割にはアルジのユージは気絶しなかったニャ」
その言い方じゃあ、俺が普通じゃないみたいに聴こえるだろ?
「それだけ鈍感ニャンだニャ、アルジのユージって」
うんうん、納得するなよ!
「このままじゃぁどうしようもない。今日の処は引き上げるか?」
「そうニャね、取り敢えずは学校という場所が分かったから」
萌を恐慌状態のままで授業に出す訳にもいかないから、早退手続きを取って帰る事にしたんだ。
勿論、適当な言い訳をしておいて…だよ。
萌をおんぶして、アリシアと連れ立って。
俺はアパートへ帰る・・・
その後ろ姿を物陰から観ていた奴の事なんか知りもしなかったんだ。
そいつから放たれる殺気のような物にさえ気付かずに。
「どっこらせ・・・」
萌って意外なほど軽かった。
ワイシャツを通して背中に当たっていたモノの感触が気になるくらい、軽く感じられたんだ。
ベット迄運んで寝かせてやった。
「アルジのユージ、気が付いたようだニョ」
降ろした途端に萌えの眼が開いたようで。
「あ・・・ううん?あれ・・・」
ベットを屈み込んで観ていたアリシアと目が合った・・・らしい。
「悲ぎゃあっ!」
赤髪のアリシアを観た途端に叫ぶのは辞めて貰いたいもんだ。
「驚かなくても良いニャ。ここは秘密基地の中ニャ」
「ひいいぃっ?!とうとう異星人に拉致られちゃった!」
違うだろ、落ち着いて周りを観ろ。
喚く萌に俺が近寄って、
「萌、俺のアパートだろ、しっかりしろよ?」
ベットから起こして部屋の中を見せると。
「いいや、これにはきっと仕掛けがある筈!
異星人がゆー兄ぃの部屋を模して作ったのかも」
どんだけ疑り深いんだ?
「信じられ無かったら確かめてみたら良いニャ」
アリシアが萌を促した。
「そ、そうよ!そうするわ」
途端に萌が向かったのは?!
・・・おい、おいってば!
納戸の引き戸を開けやがった!
待てよ、そこには・・・
「あ。ありやがんの!」
萌が思いっきりほっとしやがる・・・って、おい!
秘蔵のコレクションを隠してあったのに!
俺のお気に入り画像集を・・・なして知ってる?
「やっだぁ~本当にゆー兄ぃの部屋だぁ~」
安心したのか、それとも呆れているのか。
「それは何にゃ?アルジのユージが開けるなと言っていた場所だニャ?」
イカン!遺憾ッ!教えるんじゃないぞ萌!
「ああ、これ?これは・・・」
俺の顔を観やがる萌に、強烈なインパクトの顔を見せてやった。
これで沈黙を守らざるを得ないだろう。
「これは、ゆー兄ぃの秘蔵ピンナップ集みたい・・・やらしい奴」
言うんかいッ!
いくら異星人だからってバレてしまっただろーが!
「やらしい?・・・アルジのユージは犯罪に手を染めていたのかニャぁ?!」
やらしいの意味が違います。
ま、どーでも良いけど・・・Orz
痛い目で観て来るアリシアと、なんだかほっとしている萌が対照的。
「ゆー兄ぃ、この状況を説明してくんない?」
アリシアを上から下まで観察している萌が頼んで来た。
「いや、俺にも詳しいことが教えられない状況でさ。
先ずは自己紹介から始めよーや」
俺達3人は向き合って話し合う事にしたんだ。
言葉通り向かい合って座り、今迄の事や今後の事を含めて喋ったんだ。
先ずアリシアが夜空からお逢い降りて来た事。
偶然にもそれが俺の上だった事。
そして保安官とか言う奴をアリシアが探しているのも。
「そっかぁ~いろいろあったんだねぇ~」
話半分で萌が感嘆のため息を漏らす。
「マジで、昨日帰った後に・・・さすがは損な子ゆ~兄ぃってとこかな」
「そんな処にさすがはいらない」
義理妹に突っ込んでやると、
「でもほら!ユー兄ぃは昔からトラブルメーカーだったから・・・あ」
軽口を言った途端に俺の顔が変わったのを気付いて。
「ごめん・・・」
俯いて一言謝りやがった。
「ン?二人の間には過去に何かあったニャ?」
こんな処だけは妙に鋭い。
アリシアには関係がないし、あまり思い出したくもないから。
「別に。何もないよ俺達になんて」
そうなんだよ、俺達兄妹には何もなかった・・・
「ゆー・・・ゆー兄ぃ」
ビクンと身体を震わせた萌。
俺を呼んだのは過去の思い出に触れてしまったからだろう。
自分の軽口から、俺がまた思い出したとでも考えたのだろう。
「萌、俺は気にしちゃいないぜ」
本当は俺に重く伸し掛かった事件だったんだが。
萌には気にして貰いたくはなかったんだ。
せめて卒業する位迄は・・・重しになって貰いたくなかったから。
俺と萌の顔色を観ていたアリシアが、何かに気付いたみたいに。
「ふふ~ん、訳ありニャ二人だニャ」
勘ぐる事もしないで笑ったんだ。
遺憾よ遺憾!
萌さんはまがいナリにも妹でしょ?
モフモフなニャン子ならイザ知らず。
背中に当たる感触なんて・・・きゃ!
どうなるのでしょう?2人は?
なんて。
「関係ないことは後回しにするニャ~!!」Byアリシア
必死なニャン子を忘れそうですW
次回 誤解?もっかい?!地下一階!その2
おおぅ?!もしや・・・打開策なのか?萌たんナイスアドバイス!