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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第3章 Heaven On Earth 地上の楽園
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警告?!その2

来訪者はミハルを名乗る?

損な子と認めるのは解るのですが・・・


何を語りに来たのですか?

美春さんが見せた未来像。

仮初めだとは言え、俺が銀河の保安官になるんだと?!


「無理だ。いや、成りたくはねぇ」


俺にはそんな御大層な役職が務まる訳が無いと思えたんだ。

仮に成れたとしても、拒否するだろう。


何故かって?


「俺には保安官になるよりも重要な約束があるから」


それは横に居る子を守り抜く決意を刻んだから。


寄り添う萌を護るのが、俺が決めた唯一の務めなんだ。


「ゆー?」


皆が騒ぎ立てる中、萌だけが俺を観ている。

心配そうに、悲しそうに・・・だ。


「心配すんな。俺は何処にも行きはしないぜ」


勿論、萌の傍からって意味で。


「でも。ゆーが保安官に成れるのなら・・・」


「ならねぇって言ってるじゃないか」


萌は俺が保安官になるとでも思うのか?

なって欲しいのかよ?


「ん~っと。将来の就職先にどうかなって」


・・・な。なるほど?!


・・・・

・・・

・・


「・・・おい、萌?」


本気マジで痛い目をして観ちゃったよ。


「ありゃ?良いかと思ったんだけどなぁ~」


すっとぼけてやがるが、表情は明るい。

俺が完全に拒否った事で、萌の心配の種が潰えたみたいだ。


だって、机の下でVサインをしてやがるんだから。←分かり易いぞ萌!



「そうニャかアルジィ~?」


これはアリシアの残念がる事なのか?


「保安官に成るんニャったら、アタシを次官補にしてくれたら良いニョにぃ?」


おい、他人を宛にするなよアリシア。


「そしたらニャ、名実ともにアルジニャぞ?!

 本当にアルジのユージって名乗れるニャぞ!」


・・・遠慮しときます。


アリシアが俺が保安官に成るのなら付き従うと言うんだが。


「そこの赤毛。

 何を勘違いしてるのかしらね。

 あなたには立派な主人が居るんじゃないのかしら?」


不意に美春さんがしなやかな指先でニャン子を指名して言うんだ。


「そ、そうニャが・・・

 ミシェル様は遠いブルドック星に居られるニャ?」


訊き質されたアリシアが事実を言ったら、美春さんが頷いた。

どうしてその事実を知っているんだろ?


「でもニャ。

 レミュウス様もミシェル様もアタシが独りで苦労してるのを知らないニャ。

 女神様だってチタマまでは来てくれないニャ・・・」


「そうかしら」


アリシアが嘆くともため息とも吐かない声で話す合間、黙って聞いていた美春さんが否定したのを聞き洩らさなかった。


もしかしたら・・・だけど。

美春さんに宿っているのは?




「あのぅ?お話の途中で申し訳ないのですけど。

 先程仰られていた警告というのは?」


雪華さんにはじれったかったのだろうか。

それとも自分達に関係のない話と踏んだのだろうか。


「ふむ・・・それね。

 警告と言うのは、保安官に成れる筈の男がしくじった場合の話よ」


・・・また、俺ですかい?

またしても俺にまつわる話かと、いい加減ウンザリしちまったよ。


「この星で暗躍しているドアクダーを知っているかしら?」


勿論。


皆が一斉に頷く。


「そいつらの主犯格は大幹部なのよね、ドアクダーの。

 どうしてなのかは・・・分かるわよね?」


俺を・・・というより、萌を見詰める美春さん。


「地図の巫女を狙っているんですね?」


私とは言わない。いいや、言えないのだろう今の萌には。


「そう・・・思うのかしら。

 残念ね。

 違うのよ<エル>、アナタではないわ」


美春さんは看破していたのか?!

既に継承していた萌を天使と呼んだぞ?


「・・・だとすれば、何を狙っているのです?」


萌の口調が切り替わった。


「あの兵器を手にしたとしても。

 鍵が開かねば使い物になりませんよ?」


モエルさんの記憶が支配したのか?

萌の眼が美春さんを疑いの目で観ている?


「兵器が作動しようがしまいが、奴等には関係のないこと。

 それを手に出来たってだけで十分なのよ。

 だって・・・半次元重力子を誘爆させる方法があるのだから」


咄嗟に俺は萌を観たんだ。

美春さんが教えた方法に気が付いて。


「私を兵器と共に死滅させる気なのね」


「ええ、宇宙の半分と一緒にね」


聞いてしまった。聞かなければ良かったのに。

俺の考えた方法通りの結末を。


以前聞いた事がある。

モエルさんを死に追いやれば、兵器は発動してしまうと。

だから無限の辛苦を越えて、はるばる此処まで堕ち逃れて来たのだとも。


死を賜る事も出来ず、唯眠っているだけだとも。


肉体は滅んだとしても、意識は・・・魂は死に絶えれずにいると。

あまりの惨さに吐き気さえも覚えたよ。

エルは生み出されてから数万年の時を越えても尚、死を迎えられずに居るんだ。


モエルと名乗り、信じ愛した勇者剣士ユージニアスに護り続けられて。


「それが彼等の目的?そうでは無いでしょう?」


萌の口がエルの言霊を紐解く。


「宇宙の半分を費やしてまで、得る物があるのかしら?」


犯罪組織であるドアクダーが、儲けを台無しにする訳が無いと踏んだのか。


「本当の目的は、兵器の使用じゃなく・・・連邦政府を揺さぶるのが狙いね」


爆弾魔が身代金を要求するように・・・か。


犯罪者心理でエルが訊ねたんだ。

もしもそうなのなら、捕えられる訳にはいかないのだと。


勿論、俺達が居る限り護ってみせるぜ。きっとだ!


だが。

美春さんは首を振る。


「甘いわね、あなた達も。

 歴史上では悲劇は起こってしまったのよ・・・後、数週間後に」


美春さんは悲劇と言った。

それがどう言った悲劇なのかは言わないが。


「でもニャ?アルジは女神クラスに成れた筈ニャったが?」


「傍らに居たのは誰なのかしら?」


手にしていたタブレットの画像を拡大させて、俺達に突き付ける美春さん。


画像の俺の傍らにいるのは?


「赤毛の士官かな?」


シンバにはそう見えるのだろう。


「ニャン子星人だニャ?しかもアタシと同じ赤毛族ニョ」


アリシアにだって分かりようもないか。

でも、俺には。いいや、俺達義兄妹には誰なのかが分ったぜ。


「機動少女の・・・」


名前は知らさない事にする。

萌と俺だけの秘密にしておく。


画像に写り込んでいるのは、間違いなくアリシアだ。しかも機動少女の方の!


「赤毛族の先輩ニャンていたニョだろ~か?」


小首を傾げるアリシア。


「居た様だねぇ?」


俺が突っ込んでやると、閃いたように言いやがったんだ。


「アタシが成ったらいいニョだな!

 機動女神としてアルジの傍らに居れば良いだけニョ話ニャ」


そうだと・・・良いんだがな。


でも・・・そうなれば?


「寄り添えなくなった・・・のかな」


エルが・・・萌が涙を溜めている。


「ニャン子星だもんね、部外者なんて行けやしないんだもんね」


萌が強がっている。

エルさんを押し退けてでも、言っておきたいらしい。


「ゆーの為だもんね・・・銀河の平和の為だもんね」


ポロリと・・・萌の頬に流れてしまった。


萌を・・・泣かせた?!




 ドクン!




負の感情が俺に何かをさせようとする。


「そう。銀河の平和の為には犠牲を支払わねばならない。

 その時、君はどちらを選ぶ?

 もしも邪悪なる者に二つの内どちらかを選べと言われたら?」


美春さんが画面をタップさせる。


そこに現れたのは・・・


「妹か古の巫女か。

 君はどちらを選ぶの?」


萌とエル。


義妹か地図の巫女か?


もし地図の巫女を失えば、宇宙はドアクダーのモノとなるかもしれない。


もしも萌を失ったら・・・世界には影響はしないだろう。



「だけど・・・そうだとしても」


俺は躊躇なんてしないから。


「俺が選ぶのは・・・・」


誰憚る事があるもんか!決めたんだ、覆す事なんて絶対にない。


「萌を!俺は萌を選ぶ」


きっぱり言い切ってやったぜ!



「ふぅ・・・」


美春さんが大きなため息を吐く。


で。


萌の画像をタップしたんだ。





 ブブ~!



画面がブラックアウトした。

そして骸骨の画像がケタケタと笑いやがるんだ。


不正解ってことだろ。

分かっていたけど、俺に選べる選択肢はそれしかないんだ。


と。


思っていたんだが。


「残念ねぇ、君。

 選択肢は二択じゃないのよ?」


「え?」


訊き直したのは萌なのかエルだったのか。


「教えてあげなさいよ紅ニャン。

 本当に勇者剣士の継承者なら、最期に笑うのは誰と誰かってのをね」


美春さんがアリシアを指して解答を求めた。


しかも・・・紅ニャンだと?!


「それはニャ、アルジのユージ。

 二人共救えば解決ニャぞ!」


二択じゃなかったとでも言うのかよ?!


「独りを選ぶのは最後ニョ手段ニャ。

 そうニャったら・・・アタシが犠牲にニャってでも護るニャぞ!」


いや、アリシアは画像に居るだろ?


「アリシアの言う通りだぞアルジ!

 何としても萌さんを守れ!何が有ろうとも地図の巫女共々、守り抜け!」


シンバ?


「私達がついています!いつだって」


雪華さん?!


「ゆー君が頼むのなら、私だって決断するわよ!」


嵐さんッ?!


「トッポイボーヤ・・・なんて言わなくしてみろよ、この私を!」


京香先輩もッ?!



「ありがとう・・・みんな」


萌が・・・エルが。涙を湛えて感謝を口にする。


だったら・・・俺は?


「みんなの気持ちを無にしたりするかよ!

 萌もエルも、そしてみんなも!

 俺がこの手で護り抜いてみせるから!」


美春さんに言い切ってやったぜ。

未来は自分の手で切り開くんだってね!


「そう・・・じゃぁ。

 私に言える言葉は・・・もうないわ」


ニコリと微笑んだ美春さんが、タブレットを片手に仕舞うと。


「ビール・・・美味しかったわ」


もう用事は済んだとばかりに立ち上がる。


「京香・・・さんだったっけ?

 あなたにも警告しておきますよ、仕事中は飲酒を辞めておきなさいとね」


笑いながら、冗談さえも口から飛び出す。


「それと・・・・」


立ち上がった美春さんがアリシアに近寄ると・・・いきなり?




 クイッ!



顎に手を添えたかと思ったら、自分に向かせて。


「紅ニャン!しっかりと任務をこなしなさい。

 ちゃんと見ている者がいるんだと、心しておく事ね」


厳しい言葉とは裏腹に、優しい瞳でそう言ったんだよ。


まるで・・・魔法使いが呪文を掛けるように。


「でないと・・・デコピン。

 喰らわせちゃうからね?」


魔法の術をアリシアに掛けるように。


「はい・・・」


蒼き色に染まった美春さんがアリシアから手を離すと。


「はい・・・心しておきます」


まるで双璧の魔法使いに術を掛けられたみたいに、アリシアの身体が固まっていた。

そして・・・ニャ語が消えていた。


「宜しい。

 それじゃぁ・・・ご機嫌よぉ」


美春さんの声が耳に入って来たのを最後に・・・


一瞬だけど、俺達も固まっちまっていたらしい。


現れたのも突然、帰ったのも気が付かなかった。

唯、空になったビールグラスだけが名残。


そしていつの間に書き残したのか、置いてあったメモには。


~~~~


皆さんの心を知れて、ここまで来た甲斐がありました


銀河の平和はあなた方に懸かっているのですよ


どうか明日への未来を自分達の手で切り開いてください


 追伸 ビール美味しかったです。お代を置いておきますね


   左銀河連邦局武装保安官ミシェル


~~~


しっかり無銭飲食ではなかった!



んで。

メモを観たみんなが・・・



「嘘だろぉ~!」



喚いていたんだが、アリシアはというと。


「嘘・・・どうして?」


まるで自分の躰ではないような顔つきをしていたんだけど?


ニャンと?!

一体あなたは誰なのですか?


紅ニャンとアリシアを呼べるのは?


まさか・・・女神様?!

警告というのはユージを保安官にする為なの?

それともアリシアを?


次回 警告?!その3

帰っていく来訪者。それは地球に何を求めるのでしょう?

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