ずっと君を護る! その1
いよいよ!
ドアクダーに審判が下されようとしていたのです!
・・・が?!
蒼き貴公子の使徒が放つのは、邪悪を滅ぼす審判の輝き。
使徒<サンダルフォン>から撃ち出されたのは、ユージが継承した勇者の力。
「その瓢箪で光が吸い込めるか?!
正義の審判を素直に受けてみるか?」
ユージがドアクダーへ忠告します。
「ぬぅッ?!」
一撃で勝負が決まるか?
神々しい蒼き光が、キンギンへ向けて伸びていきます。
邪な欲望の化身と成っているドアクダーに、正義の審判が下されようとしていたのです。
ですが、キンギンは、手にした瓢箪を向けて来ました。
「くはははッ!
如何なる異能だとても、この琥珀浄瓶には通じんぞ!」
魔法の瓢箪は天使の異能でさえも飲み込めるというのでしょうか?
「キサマが狙うのは捕えた娘達を救い出す事だろう?
この瓢箪を破壊しようとしても、向けられた魔力を吸収するだけだ!」
直接瓢箪を狙っても、どんな異能だろうと飲み込んでしまうと?
口先に向かった光が捻じ曲げられて・・・
ギュルルル・・・・・
瓢箪はユージが放った波動を飲み込んでいきます。
図らずもユージが警告したように、キンギンは魔法の瓢箪で回避したのです。
「この破壊波動を飲み込んだ後、同じ力を貴様に放ち返してやろう」
飲み込むだけではなく反撃の一手にすると?
でも、どうやって?
飲み込んだ異能を送り返す方法があるのでしょうか?
「面白いじゃねぇか。
どうやって返せると言うのかを見せてみやがれ!」
光が瓢箪に飲み込まれていく中、ユージは使徒の言っていた意味を悟りました。
まず最初にドアクダーへと審判の剣を向けよと言っていた訳が分かったのでした。
ドアクダーに攻撃を向ければ、必ず瓢箪によって回避しようとするだろうからと。
それによって、二人を瓢箪から助け出す方法が明かされるのだと分かったのでした。
「簡単な話だ!
瓢箪を天地逆様にして、入り込んで来た順路を逆転させれば済む事だ!」
勝ち誇ったキンギンの手が、瓢箪をひっくり返します。
飲み込んだユージの波動を<元へ還す>ために。
「喰らうが良い、これが儂を倒す為にお前が放った異能だ!」
ドォオンッ!
瓢箪から蒼き光がユージに向けて放射されます。
「そうか・・・それで助け出せるんだな」
薄く笑ったユージへと波動が到達した時。
蒼き光がユージを飲み込むかに見えたのです・・・
が。
バキィイィンッ!
審判の輝はユージの手に持たれた使徒によって両断されてしまったのです!
「「自らが放った魔砲を防げぬとでも思ったか」」
あっさりと波動を打ち砕く魔剣・・・しかも魔法ならぬ魔砲と言ったのです。
「「これで救う手段が示されましたぞ、我が主」」
そう言う事だったのですか?!
使徒サンダルフォンは初めから狙っていたのですね?
「ああ、思惑通りに嵌ったな。
今度こそ奴を倒して、二人を救い出すぞ!」
敵ドアクダーキンギンに救う手段を示させる・・・それがこんなやり方だったとは?!
「使っている奴なら、虜にしたモノを取り出せる筈だと踏んだからさ。
単に吸うだけじゃぁないと思っていたんだ。
どうやって取り出すのかを示させる・・・それが狙いだったという訳さ」
魔剣を構え直すユージが、使徒から授けられた知恵を教えました。
「し・・・しまった?!」
反撃の一手を、あっさり弾き返されたキンギンが狼狽えます。
「い、いいのか?
儂を滅ぼせば、この中に居る娘も一緒に・・・」
「滅びるとでも思うのか?滅びさせると思うのかよ!」
再び魔剣を翳したユージが、言って除けました。
「言っておくぜ。
俺の使徒は悪しき者だけを滅ぼす。
お前のような奴は滅ぶが、二人には痛痒も無いんだぜ!」
「なっ?!なんだとぉッ?」
天使の異能を誇る元王者の剣<サンダルフォン>は、そう言っていました。
悪しき者を質すのが使徒の務めだと。
それが審判の女神より授かった異能なのだと・・・ユージニアスも告げていました。
「それになぁ。
光を放つだけが魔剣じゃぁないんだぜ?
直接剣で斬ればどうなるかな?」
剣の本当の使い方・・・剣が剣である証。
「う・・・?!」
今の今迄、キンギンは魔力を吸い取る事ばかり考えていたのです。
ユージを吸い込もうと考えたのなら、応答していた間に出来たというのに。
「しまった?!忘れていた」
慌てて瓢箪を向けて来るキンギン。
ですが、最早手遅れです。
「正義の審判を喰らえ!」
振り被ったユージが突っ込んで来たのです。
「これで終わりだ!」
使徒<サンダルフォン>が蒼き光を放ちます。
刀身に込められた異能を、直接敵へと叩き込む。
本当の魔剣の使い道・・・激攘。
「やめろぉおおおおぉッ!」
逃げるでもなく、唯吼えるだけで固まったキンギン。
踊りかかるユージに向けられた瓢箪も意味を為しません。
キラリ!
碧き輝きを放つ刀身が、邪悪なる化身に振り下ろされ・・・
ズガッ!
頭上からの一太刀。
魔剣に因って、ドアクダーに審判が下されます。
勿論、邪悪なる者の最期がやってきます。
ドガッ!!
偉大なる審判の女神より授けられた魔剣。
いいえ、元を正せば<マルクト>である大天使。
天使<サンダルフォン>の裁きを受けて、無事でいられる敵はいません。
物質世界なら死を齎す威力が十二分にありました。
バキバキバキ・・・バリバリバリ
邪悪なる者は裁きを受けて潰えていくのです。
「ぐああああああぁッ?!」
魔法結界の中で、斬られた邪悪は審判の時を迎えるのです。
「馬鹿な?!この儂が?
宇宙を支配する筈だった、この儂が?」
審判は確実に邪なる者を打ち負かしました。
「儂が・・・儂が消える?馬鹿な・・・馬鹿なァッ!」
邪悪は潰える時を迎えても、まだ粛罪しようとしませんでした。
抗い朽ち果てるのを認めず・・・滅ぶのです。
魔剣を片手に携えたユージが言って除けるのは。
「お前は生まれ変わっても邪悪に染まるのか?
再び生を受けても尚、欲望に染まる気なのかよ?」
勇者剣士ユージニアスの遺志を受け継いだ者として、神の威光を翳す者として。
悪しきを挫く正義と成って・・・最期の時を迎える者へ警告するのです。
「だとしたら。
次に出会う事になる正義に因って再び滅ぶだろうな」
「あがががが?!」
滅ぶ邪悪がのたうち・・・やがて。
ボシュゥゥン!
跡形もなく消えてしまいました。
粉々になり塵と化し・・・どこへと消えて行ったのです。
「終わったな使徒」
魔剣を一振りし、消え去った跡に残された瓢箪に目を向けて。
「次は二人を助け出すぞ!」
使徒の異能に、今一度頼むのでした。
「「アルジが望むままに」」
魔剣から天使<サンダルフォン>が答えて来ました。
これからが本当の救出劇なのですから。
勇者剣士を受け継いだユージ。
手にした異能は蒼き輝を放つ魔剣。
それは偉大なるユージニアスにも後れを取らない程の光を放っていたのです。
・・・そう。
受け継いだのは魔力だけではありませんでした。
正義、そして・・・彼と同じように守るべき者への・・・
勇者剣士から授かったのは異能だけではないと?
2人を助けるには、帰る場所を選ばねばならないのです。
二人が望むのは?
どこが望む場所なのでしょう?
次回 ずっと君を護る! その2
もしも・・・君が帰るというのなら。停めない・・・だけど。




