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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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嵐の夜 その3

呼ばれたのは有次ではない。


目覚めるのは俺ではない・・・奴なんだ!

風の異能を放てる妖狐が願った。


大切な人を邪なる者から護って欲しいのだと。

自分を投げ打って、一番に願うのは友を闇から護って欲しいのだと言ったんだ。


俺の中に居るもう一人へと。


ドアクダーの結界の中、守るべきはかけがえのない人だとランさんは言い切ったんだ。




 ドクン・・・




俺の中で何かが目覚める。


誰かが俺を眠らせようとしやがる・・・入れ替わる為に。



「ゆー兄ぃ?!」


萌が動きを停める俺を呼んだ。


「ユージ!護ってあげて!」


いつもと違う萌の声。


「あなたなら、彼女の想いを聴き遂げてあげられるでしょう?!」


そうだな・・・きっと<俺>だったら護ってやる筈だよな。


意識を失う瞬間、萌じゃないと気付かされたんだ。

萌は俺を<あなた>なんて呼ばないから・・・さ。




 ザゥッ!




項垂れた<俺>の髪が逆立った。

誰かに呼び出された・・・異能(スタント)の<俺>が眼を開く。


目覚める前から分かっていた。

呼んでいた子が願っていたから。


俺が護るべき子は頼っているのだ・・・勇者剣士(ブレイヴナイトを。


「そなたの願い・・・確かに受け取ったぞ」


金色に染まった髪、蒼き瞳で彼女を見据えた。

俺の後ろに居て、俺を目覚めさせた娘を。


「ユージ・・・また現れてくれたのね」


<俺>をユージと呼べるのはあの子しかいない。

翠の瞳を向けて来る・・・<俺の宝>だけが呼べるのだ。


プラチナブロンドで翠の瞳を湛える娘・・・


「ああ、モエルが願うのならば。

 俺の禁忌に触れる奴を赦しはしない。

 ・・・それに、この娘も願ったのだからな」


手傷を受けて座り込んでいる<旋風のラン>を顧みて、


「古の束縛から解放してやるのには早過ぎるが。

 友を護ると約束していた通り、隠れずに立ち向かった。

 気高き想いには応えてやらねばなるまい」


右手を突き出して答えとした。


「剣士としても、古き宿命のを時間の狭間より解き放たねばならん。

 自ら進んで怨敵に立ち向かった気高き行いを、無にする訳にはいかぬ」


勇者剣士となった<俺>が妖狐の前へ進み出る。


「よくぞ友の為に立ち上がった。

 今こそ、そなたの真心を受け取った。

 護るに値する、真の想いと願いを見せて貰ったぞ」


<俺>から蒼き光が沸き起こる。


「我はエモルを守護する者。

 エモルが願うのであれば、如何なる敵をも打ち砕く。

 我が禁忌に触れる者に審判(ジャッジメント)を与えてやろう」


突き出した右手にひかりが集い、王者の剣を模り始めた。


「我が剣は審判を下す。

 我が剣は闇を切り裂く。

 我は正義を貫くやいばなり!」




 黄金の柄、王銀の鍔・・・蒼き刀身の<王者の剣>が現界した。



輝を纏う勇者剣士がそこに居た。


「我が審判を受けるが良い。

 喩え姿を見せずとも、この剣は邪なる者を赦しはしない」


王者の剣を腰だめに構えて。


「旋風のランよ、よく見ておくが善い。

 これが正義の審判。

 我が剣技の前に、邪なる者が潰えるさまを目に焼き付けておけ」


背後に居るランに告げた。



挿絵(By みてみん)



「は、はい!」


あまりにも力強い声に、妖狐は起き上がりもせず眼を見張る。


「そなた等も、見ておくが良い」


京香やセッカ、それに萌の姿をしたもう一人にも促して来る。


「ユージ!この闇を打ち砕いて」


萌じゃ無い子が勇者剣士に頼んだ。


「それが守護者たる者の務めだと言うのであれば」


背中で答えた<俺>が剣へ異能を込める。





 ドオオオオオオッ!




異能の奔流が剣に注ぎ込まれ。




 ギュゥウウウッン!




王者の剣が巨大化していった。

全長は3メートルを遥かに超え、最早剣なのかも判らない破壊兵器と化した。



「王者の剣よ、審判を下せ!」


強大なる魔力と、超絶なる破壊波動を併せ持つ<王者の剣>。

その形は剣というには大き過ぎる。

異形の刃は、超絶なる破壊波動を秘めて・・・


「ケラウノス・・・絶対の神が放つ審判のいかずちだ!」


勇者剣士が振り抜いた。





 ドゴオオオオォンッ




蒼き光が刃から放たれ、世界けっかいそのものを切り裂いた。




 バリバリバリ!



 ガガガガ~ンッ!



蒼き光が結界を引き裂いた。


いいや、そうではない。

結界を造った主である者をも、同時に切り裂いたのだ。



「ぎゃああああああ~?!」



潰え去る瞬間、ドアクダーが断末魔の叫びを振り撒いたのだが。

王者の剣に因って審判が下され、滅びを与えられたようだ。



ものの一撃。

たったの一振りで・・・



手強いドアクダーは掻き消されてしまった。

結界を我が物としたドアクダーは、自らも消滅して果ててしまった。


あまりにも強烈。

断じられた審判の威力は、まさに無敵かとも思える。


もしもこの力が現実世界で使われたのなら?

破壊波動に因って街なんて、ひとたまりもないだろう。





勇者剣士の異能(スタント)は、まかり間違えば星をも滅ぼしかねない。

それ程の威力を持っているように感じられたのです・・・


「「これが<翠の瞳>の威力ってのかしら?」」


腕時計型の装置を通して観ていたのは。


「「ミシェル様程の方でも御し難いと仰られる程だものね」」


赤毛の保安官補助手アリシアだったのです。


「「これをドアクダーが手にしたら、確かに物騒な話よね」」


勇者剣士が手にする魔戒剣が、敵手に渡るとでも?


「「でもまだ奴等は気付いていない。

  <翠の瞳>を掴んではいないから・・・大丈夫ですよね?」」


機動少女のアリシアが、装置を通して観ていたのは。


「「アルジのユージ様、お早くお気づきになられますように願っておりますわ」」


自らの願いを込めるかのように、<彼>へと溢すのでした。


それがどちらのユージなのかは・・・まだ内緒らしいです。






上空には星が瞬いていた。


結界が破れたって事は?



「あ・・・終わったのか?」


意識が回復した時、俺の周りには京香先輩の姿は見えなくなっていたんだ。


「京香先輩?!

 おい雪華さん、萌ッ、先輩を知らないか?」


振り返って呼んだら、どうやら心配しなくても良いことに気が付いたんだ。


「そっか・・・そう言う事か」


京香先輩は<びっくりモンキー>の片隅で誰かと話しているんだ。

それが誰なのかは言わずもがな。


「もう、隠れていなくったって良いんだよな、嵐さん」


京香先輩は茶髪の嵐さんに寄り添いながら話し込んでいる。

きっと今迄の事を話しているんだろう。


4年もの歳月を時間の狭間で過ごして来たのだから・・・




「それじゃぁ萌、雪華さん。帰ろうか?」


さっきまで結界の中で闘っていた雪華さんを労う意味もあり、さっさと帰ろうと言ったんだが。


「野良君、大変よ。

 萌ちゃんが・・・起きないのよ」


「え?!今度は萌が寝込んじゃったのかよ?」


そこで思い出したんだ。

機動戦を終えたら眠る奴の事を。


「そういえば今回、アホ猫を観なかったんだけどさ?」


機動ポッドを取りに帰らせたのは俺だけど。

何時まで経っても現れないんだけど?


「さぁ?どこかで道に迷ってるとか?」


雪華さんも、なぜ現れないのか不思議がっているよ。


闘いも済んでしまったし、ニャン子が必要な訳でもなくなったから。


「ま、その内現れるだろ」


帰ったらこっぴどく叱ってやろう。


俺は眼を廻して眠る萌をおんぶしてやると。


「雪華さん、京香先輩と嵐さんだけにしといてあげようよ」


「そうですね・・・やっぱり野良君は優しいです」


帰ろうと促した雪華さんに微笑まれちゃったよ。


「そうかな?気を利かしてあげるのが後輩の務めだからさ」


軽い萌を背中に背負って、見上げた夜空には。


「今日はまた、格別に綺麗だな」


「あら!綺麗だなんて・・・嬉しいです」


あ、いや。雪華さんがじゃなくて星が・・・とは、言えない。


機嫌を良くした雪華さんと伴に帰る。

背中に背負った萌は、どんな夢を見ているんだろう。


「くす・・・クスクス・・・すやぁ」


なんだか楽しそうなんだけど?







「楽しくないニャぁッ!」


ニャン子が吠えているのは家の玄関。


お判りでしょうか?

機動ポッドを取りに帰ったまま、戻らなかったニャン子。


「今から戻っても、絶対に怒られるニャ。

 しかも手ぶらでニャんて・・・どうすれば良いニャ~~~!」


あらまぁ・・・


「こ、こうニャったら。

 反応弾で玄関を吹き飛ばすニャぁッ!」


おいおい・・・ヤバいんじゃ?


「あニャ・・・反応弾を出そうにも機動ポッドがニャいニャァ~!」


・・・どうにもなりやがりませんよ。


「どこかから入れニャいか?」


天を仰ぐアリシアが自分の部屋があるベランダを見たとき。


「そうニャ~~~~!」


絶叫を張り上げたニャン子がいましたとさ。




闘いは既に終わっちゃってますが・・・ニャン子さん?


「ニャンと?!」

圧倒する力

圧倒的な破壊力。


彼の魔剣は破滅的な裁きを悪に与えたのでした。


戦いは勇者剣士に因って終わらされたのです・・・が?!


アリシアは一体何をやっていたのでしょうねぇ?


次回 平穏家庭戦線異状アリ?!その1

ああ、きっと彼女は願う事でしょう。いつの日にか想いを遂げる日が来てくれると。

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