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機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
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闘う少女 その5

とうとうと、言いますか。


やれやれと嘆くかはそれぞれ。


損な子である主人公はやらかしてしまったようですね。

耳に飛び込んでくるのはうなり声・・・


「うう~ッ」



俺の所為じゃないんだ。

何もしてもいなった筈だし、こんな事になるなんて思いもしなかったんだ。


「信じてくれよ萌」


「うう~ッ!」


唸り声をあげている萌に、何とか怒りを収めて貰わないと。


「俺だって知らなかったんだよ!

 まさかあの蒼い珠を触っちゃいけなかったなんて・・・」


「うう~~ッ!!」


宥めようとしている俺の脇から糞猫アリシアが、


「そしてアルジのユージに新たな下僕が誕生したニャ」


火に油を注ぎやがった。


「改めて契約主となったアルジよ、宜しく頼むぞ。

 主人は下僕の面倒も見て貰わねばならんのだからな」


トドメはセッカが引導を渡しやがったよ。


「うう~っ!ゆー兄ぃッ!」


「ひぃいッ?!俺は悪くないんだぁッ!」


右手の中へ消えてしまった蒼い珠。

その正体は氷結のセッカが古から受け継いだという契約印。


氷の魔法を属性にするセッカと、魔法契約を結べる証だという。


「普通の人間だったら、唯の蒼い宝石に当たるのだがな。

 アルジには秘められた魔力があるのだろう。

 少なくともドアクダーに匹敵する異能を持っているのだろう」


セッカが勝手な解釈を述べやがる。

だけど俺には魔法なんて使えやしないんだぜ?


「あのなぁ、俺は唯の高校生なの。

 魔法やら異能なんて持ってる訳がないし」


魔法が使えるのならドアクダーに怯える必要がないじゃないか。


「あのニャ、アルジのユージ。

 さっき見せた剣は、誰が観たって魔法剣ニャぞ?」


「そうだ、アリシアの言う通りだぞ」


「だからぁ!俺には記憶が無いんだよ!」


二人して俺がドアクダーを斬ったとか言いやがるんだ。

意識が消えた後なんて知りようがないじゃないか!

もしも仮に俺が斬ったとしたって、それは野良有次おれがやったんじゃないんだよ。


「おかしなことを言う奴だな。

 王者の剣で叩き斬ったのは誰だというのだ?」


「王者の剣だって?どこぞのRPGかよッ!」


セッカに食い下がると、傍で聞いていた萌が手を打った。


「そっかぁ~、ゆー兄ぃは勇者だったんだぁ~・・・って。

 勇者は下僕なんて持たないからね!何とかしなさいよこの状況を!」


手を打ったというより、打開しろって脅迫してきましたが?!

で・・・この状況ってのを説明しなきゃ~な。



校長室に居るのは居るんだけど。

ここは氷結のセッカの結界せかい

寒くて声まで悴みそうだし、じっとしていたら風邪をひきそうだ。


ズボンを穿いた俺が冷えるんだ、スカートの萌はもっと寒いだろう。

結界を貼ってる主のセッカは素足だけどね。


寒いうえに理不尽極まりない下僕宣言を受けて、俺よりも萌が苛ついているのはセッカの一言からだったんだ。


<<契約主と居を同じくするのは下僕の務めだぞ>>


・・・つまりだ。


「下僕なニャン子だけでも大変なのに!もう一人養えって言うの?!」


「下僕ニャか・・・シクシク」


萌の怒りはこんな所にあったんだ。嘆く糞猫アリシアはほっておいたらいいけど。


「それは警告を聴かなかった主に問題があるぞ」


「言うのが遅いんだよぉ~」


最早手遅れですよ・・・セッカさん。


「契約印を体内に宿したのだからな。

 契約を解除出来るのは、ユージ次第なのだぞ。

 ユージが死ぬか、若しくは私が消えるか・・・どちらかしかないのだからな」


「損なぁ~?!」


どっちも嫌ですから。


「うニュ・・・こうなれば認めるしかないニャぞ?!」


脇から口を挟んで来たアリシアに、萌が一喝したよ。


「アリシアは黙ってて!」


「悲ニャぁッ?!」


怖ろしい目で睨まれたニャン子が這う這うの体で隠れたよ。


「ゆー兄ぃ!どうするのよ」


「どうするも・・・認めない訳には」


俺が諦め半分に答えたら。



 ギロリ



まるで鬼のような目で睨まれたんだな・・・


「悲ニャぁッ?!」


素っ頓狂に叫んじまったよ。

大分アリシアに感化されて来たかもな。


「いいことゆー兄ぃ。

 下僕を養うだけの稼ぎをしなさいよ・・・良いわね?」


「ウッ・・・ワカッタヨ」


ぎろりと睨まれた俺は、納得出来なくても快諾しなきゃいけなかったんだ。

なにせ家計は萌に握られていたんだから。


「どうやら萌殿にも了解して頂けたようだな」


「してないわよッ!」


怒る萌の声を無視したセッカが、俺に言ったんだ。


「アルジに言っておきたい事があるのだ。

 現実世界の雪華せっかは、知っての通り恥ずかしがり屋なのだ。

 接し方には注意した方が身のためだからな」


「ああ、気に掛けておくよ」


俺は氷結のセッカの忠告を軽く聞いてしまったんだ。

頭の中がパニくっていたからもあるけど、雪華さんとの共同生活を想像出来なかったからもあるんだ。


「そうか?それでは・・・宜しく頼むぞ」


貼ってあった結界が解けていく。

それは氷結のセッカでは無くなるとの意味もある。




「・・・・・・はっ?!私・・・どうしたの?」


結界が解けた。


俺の眼には東雲高校の制服姿の雪華さんが映っていた。


「って?!うひゃぁッ?」



 ずざざざッ!


俺の顔を観た途端、雪華さんが飛び退いたんだが?


「あわわわわっ?!メモ・・・筆記用具は何処?」


慌てて周りを探し出す雪華さん。


「ちょっと!下僕に収まったからってメモを取る必要なんてないんだからね」


急に慌てふためく雪華さんを相手に、萌の奴が怒ると。


「ふぇ・・・1年生に怒鳴られた」


涙声になり真っ赤になられましたけど?


「ちょ、ちょっとぉ?いきなり泣くなんて反則よ!」


「びいぃええぇ~んッ!」


本泣きされてるんですが・・・どうするんだよ萌?


「あのねぇ、泣いてたら話が出来ないでしょ?」


「ひっく・・・」


萌が諭すように話しかけると、雪華さんは周りを見渡し俺を見つけると。


「あ・・・」


慌てて校長の机からメモと万年筆を手に取り。



 さらさらさら~



何かを必死で書いたんだ。


「へ?!会話はメモでします・・・ですって?!」


「ひぃん!」


訳を知らない萌が声を荒げたら、雪華さんが小さくなったよ。


「あ、萌たん。

 この雪華ニャンは極度の恥ずかしがり屋ニャんだ」


「極度って・・・さっきまで男言葉で話してたじゃないの!」


うん、結界の中に居たのは別人格ってやつだぜ萌。


「俺のクラスに編入して来たフローズン・雪華さんだ。

 観ての通りハーフの子だから、会話は筆記が早いと思うんだ」


「え?!そうなの・・・って。いやいや、マジですか?」


マジだぜ。

ある意味、こっちの雪華さんの方が手強いかも知んねぇぜ?


「そっかぁ。

 魔法使いの雪華さんとは違うんだよね?」


萌が念を押したら、雪華さんの手がさらさらと動いて。


「なになに?

 違うけど聞こえてはいましたから・・・宜しくお願いします・・・

 ・・・なんじゃそりゃぁーッ!」


吠える萌さん。


ぺこりと頭を下げる雪華さん。


「ううう~ッ!やっぱり下僕は解除できないみたいね」


「諦めるニャ~~~」


横合いからアホニャンが笑う。

それを鬼のような目で観た萌が。


「アリシアに言っておくわよ、今晩から晩御飯減らすからね」


「ニャ?!損ニャ馬鹿ニャ~~?!」


慌てたアホニャンが俺に向けて言い募るのは。


「アルジ!養うニャ~~~~ッ!」


あのね・・・そう言う事は家計を握る方に言ってくれ。


「ご飯を減らされたニャら、大変ニャぞ?!」


飢えてしまうのを懼れたか?

それとも何も考えていないのか?


慌てふためくアリシアを横目で見ていた雪華さんがパァっと顔を輝かせて。



 さらりさらさら・・・



またもや筆を奔らせたんだ。


「うニュ?これから宜しく養ってね・・・ニャと?!」


萌だけじゃなくニャン子まであしらわれたようだな。


にっこり笑う雪華さんは、まるで日本人形のように観えたよ。

微笑みを浮かべる黒髪の少女からは、悪意なんて微塵も感じ取れない。



挿絵(By みてみん)



本当にこんな子が同居するのかって。


俺も萌みたいに信じられなかったよ。



どうなるんだ・・・野良家のエンゲル指数は?

 

アリシアのみならず、雪華さんまで?!


居候は2人に増えてしまう結果に?

萌さんも我慢できないでしょうねぇ。

しかも美少女が同居するなんて、白熱してしまうじゃないですか?

なにガって?それは・・・・


次回 日常という幸せ その1

そう!敵が来なくたって生きるのは戦いなんですよ?

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