表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?  作者: さば・ノーブ
第2章 ブルーブラッド
31/144

共同生活?!その2

これからを決められてしまうのだろうか?


いよいよ進退が窮まった感が・・・・


ユージは大人しく実家に戻るのか?

じゃぁアリシアはどうなる?

家路へと向かう間、萌と二人で作戦を練っていたんだ。

どう言えば説得できるかってね。


「先ず親爺の事だから、俺が何と言ったって聞き耳持たないだろう」


「そうかも・・・」


相手はこうと言ったら曲げない奴だ。

初めから五分五分の闘いになんて為りはしない。

こっちの話なんて訊かない事も想定できる・・・が。


「そこで・・・だ。

 俺が切り出すから萌がゴネるんだ。

 親爺は萌には甘いから、説得をし易くするには泣き落としに限る」


「アタシが泣くの?泣いたら聴いてくれるかな?」


駄目元って奴だよ萌。

端から話なんて訊くような親爺じゃないが、萌が泣きついたら少しは可能性が出てくるかもしれないだろ?


「うん・・・嘘泣きだろうが何だろうが、やってみる」


よしよし、萌のぶりっ子に期待するぞ。


「でも、アメリア母さんが見破ったらどうしよう?」


「う・・・うむむ。その時は・・・俺も泣くよ」


男が簡単に泣く訳にもいかないけど、ここは二人揃ってゴネルしかないだろ?


「ゆー兄ぃが?泣くの・・・かえって状況が悪化しそうなんだけど?」


そう言うなよ萌。

俺だってどうしたら説得出来るかなんて分かんねぇんだから。


「ともかく・・・だ。親爺の態度を見極めたうえで、対処するしかないぞ」


「結局行き当たりばったりなんだねぇ?」


そう・・・考えったって妙案が出る訳じゃないだろ?

当って砕ける他ないじゃないか。


「あ・・・ゆー兄ぃが開き直った」


嫌味を言ったのに返さない俺を、萌が見切ったようだ。


「そうだよ、こうなりゃ意地と意地のぶつかり合いを覚悟しとかなきゃな」


「ふ~ん、ゆー兄ぃは勇人さんと渡り合えると思うんだ」


ニヤッと笑う萌が、俺の脇腹をこ突いて来た。


「なんだよ?」


「う~ぅん、なんでもないよ。ちょっと頼りにしてるって言いたかっただけ」


義理妹もえが学校で俺へと向けない素直な微笑みを浮かべている。

二人っきりの時にだけ、昔の笑顔を俺に見せてくれる。


もし、アパートを引き払って実家へ帰らされたら、きっとこんな微笑みは観れなくなっちまうんだろうな。


萌だってそうだろう。

もしも俺が実家で暮らすようになったら、二人の距離は近くに居たって遠くなっちまうのを感じ取っているんだ。


好まない結果になるのを懼れているに違いない。



萌の手が俺のシャツを引っ張った。


それが何の合図なのかは、俺だって分かる。

家の前に来ちまったから・・・野良家の前に来たからだ。


「ねぇゆー兄ぃ。喧嘩だけは辞めてね?」


俺の緊張感が伝播したのか、萌が細い声で頼んで来る。


「分かんねぇよ・・・親爺次第だ」


答えた俺は、萌を伴って玄関を開けたんだ。




 ばたんッ!




勢いをつけて玄関を開いた・・・瞬間。



「待っていたぞ!」


「待ってたのよ二人共」


待ち構えてやがった親爺とアメリアさんに気勢を削がれちまった。


でも。


待て?



俺の前に居る二人は・・・何故だかトランクを小脇に抱えているんだが?



「まぁ・・・上がれ」


「二人に聞いて貰いたいのよ」


・・・はい?聞いて貰いたいって?


俺は何が何やら皆目見当外れな状況に戸惑った。

いきなり怒って来るものとばかリ思っていたんだから。


俺の後ろに居る萌も、キョトンと俺を観ているだけだ。



俺と萌を置いて、二人はそそくさとダイニングへと入っていく。

これはきっと何かある・・・二人は俺達二人へ何を言うんだろう?


さっさとダイニングの椅子に座った二人が、開口一番に言ったのは・・・



「話というのはな、儂とアメリアで学術調査に赴く事になったんだ」


・・・は?


「そうなのでぇ~ス。勇人さんとワタシで、古文書を解き明かす旅に出るのでぇ~ス」


・・・はいぃっ?!


二人は相談ではなく決定事項として俺に言ったんだ。


「そこでだ有次。

 お前は実家に帰って来て貰わねばならん。

 萌の身を守る約束を果たして貰わねばならんのだ」


「親爺の言ってることが分らないんだけど?」


学術調査に行くって言ったって、数日間の話じゃないのか?

それだったら実家に帰るんじゃなくて、萌をアパートに来させれば善いだけじゃないか?


「ふむ、察しの悪い奴だ。

 儂達が行く学術調査にはかなりの日数がかかるのだ。

 家を空けておけば、泥棒に入られる虞がある。

 それにお前のアパートに萌を住まわせるのは手狭だろうが」


「手狭で悪かったな」


元々俺のアパートは単身者用の部屋なんだぜ?

多くても二人がやっと住めるくらいの間取りなんだ、それくらい承知してるさ。


そうだ・・・萌と二人でも手狭だったのに、アリシアが居るんだっけ。


「有次君は戻って来たくはないでしょうけど、頼みを聴いて貰えないかしらァ?」


アメリアさんが俺に戻れと言って来た。


「萌を一人にしておくのは問題なのでぇ~ス」


確かに・・・問題だな。


「そこでお前を番犬として住まわせるのだ。

 儂達が帰って来るまでの期間、アパートではなくこの家で暮らすのだ」


「そうなったらアパートはどうするんだよ?

 引き揚げろって言うんじゃないだろうな?」


俺をこの家に住まわせると言うのなら、アパートから引っ越さなきゃならないのか?


「勘の悪い奴だな有次は。

 さっきから言っているだろうが、学術調査に出向いている期間だけの話だと。

 何年もかかる話ではないのだぞ、アパートを引き上げる必要などない。

 儂達が戻るまでの数か月だけこの家に居れば良いのだ」


・・・勝手な云い様だぜ、いつもながら親爺って奴はよ。


親爺とアメリアさんが言いたい事は、俺に萌の面倒を見ておけって事だろ。

番犬かどうかは知らないが、泥棒避けに住んで居ろって言うんだろ?


文句の一つでも言ってやろうかと思ったけど、傍に居る萌の眼が停めさせたんだ。


俺が嫌がるのではないかと、心配そうな目で観ているんだ。


二人で暮らす・・・両親に邪魔されずに。

それは萌が望んでいた理想でもあったのだろう。


「有次、今日から帰って来い。支度を終えたら直ぐに家に戻って来るんだ」


親爺は俺に拒否権を与えない。


「そうでぇ~ス!私達は今晩の飛行機に乗る事にしたのでぇ~ス」


アメリアさんが、玄関にあるスーツケースを指差して教えて来た。


性急に過ぎやしないか二人共?

それに俺が断らないと見切っていたのか?


「勝手過ぎるとは思わないのかよ二人共?」


「有次が断れる訳がないだろう?

 儂にはお前を呼び戻す権利があるんだからな。

 そしてお前は萌を守ると約束したではないか」


う・・・その話をこの場に持ち込むのかよ?!


「儂等が留守の間に、もしもの事があればどうするのだ有次。

 萌を一人にしておいても、お前には痛痒も感じれないのか?」


くそッ!その話を持ち出すなんて反則だぜ。


俺が言い返せずに黙り込んでしまうと。


「そう言うことだ。

 お前はこの家に居て萌の身を護れ。

 期間は儂等が戻ってくるまでの間。

 早く戻れても1か月はかかるだろうから、しっかり門番をするようにな」


「俺は番犬じゃねぇ!萌だって拘束されたら嫌だろうに」


思いっきりゴネてみたんだ。

そう言っておかないと怪しまれてしまうかもしれなかったから。


「そ、そうだよ勇人義理父ゆうとおとうさん。 

 ゆー兄ぃと二人だけだなんて・・・却って危ないよ」


声が上ずってるんだがな、萌?

本当は嬉しいのだろうが、素直に喜べない処がもどかしいのか。

俺を警戒するような言葉を吐いて、ワザと拒否っているようだ。


「あらぁ?萌。それなら一緒にメキシコまでついて来る?」


「え?!メキシコ・・・だって?」


そう言えば、学術調査の場所を聴きそびれていたぜ。

まさか中米迄向かおうとしてるなんて・・・思いもしなかった。

 

「そうメキシコだ。

 その地に埋蔵されてあったミイラが、今回の学術調査対象なのだ。

 写真で見る限り人間であって人間では無いモノ。

 それを確かめる為に現地へ赴くのだ」


はぁ・・・御大層なこって。

どうせまた、古代の呪術師がこさえた偽物だろうよ。


声には出さなかったけど、俺は毎度の事だろうと呆れていたんだ。

世界中に点在するロストワンって奴は、大概が嘘八百な品物だ。

誰かが面白半分に造った物が、現代において発掘されただけの話だったから。


聴いた俺は、またかと思ったんだ。


でも・・・今回は。

俺達にとって良い話だとも言えた。


そう・・・<俺達>にとってはね。


二人が居なくなっている間は、この家に住める。

それは狭いアパートなんかじゃなく、<3人>で住めるだけの間取りのある場所に居られるって事だろ?



「今晩からって言ったけど、もう出発するのかよ?」


俺はカマをかけてみた。


「そうだ・・・もうこんな時間か。

 アメリア、急がなければ直行便に間に合わなくなるぞ」


親爺が時計を見て慌て始めた。


そうか・・・今晩から?

今晩からは、娘っ子に邪魔されずに寝られるのか。


明日はもう月曜日なんだ。

学校にも行かなくてはいけないし、バイトだってあるんだ。


バタバタし続けた3日間が、今となっては嘘のようだ。


俺の返事も待たず、親爺とアメリアさんは玄関に出ると。


「いいか、有次。

 帰って来るまで萌を頼んだからな」


言い残すのはそれかよ?


「萌、良いでスか。

 有次君に頼ってばかりじゃいけませんヨ」


金髪のアメリアさんも、萌に言い聞かせている。


「分かってるわよ・・・それくらい」


アメリアさんに反感を抱いている萌が、そっぽを向いて応えているんだが。

その顔は、どこか嬉し気に観えたよ。


「それでは・・・行って来るぞ」


親爺は呼びつけていたタクシーに乗り込む時、ちらりと俺の顔を睨んだんだ。

その顔には萌との関係を訝しんでいるようには見えなかった。

唯、俺を一人の男として観ている気がしたんだ。


「ああ、任せろ。萌はしっかり守っておくから」


返した言葉を聞いた親爺が、俺だけに頷いた。

きっと約束は守る・・・だから心配するな。


俺の顔には、そう書かれてあったんだと思う。

だから親爺も頷いたんだろう。


二人を乗せたタクシーが観えなくなるまで、萌と一緒に玄関先に佇んでいた。


「行っちゃったね・・・」


ポツリと萌が呟いた。


「本当にこんなことが起きるなんて・・・」


俺を見上げてニコリと笑う。


「これで暫くは共同生活が出来るね?」


突然降って湧いたような出来事に、萌は期待を膨らませているようだ。


「アリシアが居なかったら・・・二人っきりだったのにね?」


お?!そうだった。忘れてたよニャン子のことを。


呆然としていたのは俺の方だった。

萌はちゃんと気を廻していたんだな。


「偉いな萌は。俺なんて忘れていたぜ?」


「そう?いっその事アリシアをアパートに残しておく?」


馬鹿を言え。

そんな事をしたら、ニャン子に街を滅茶苦茶にされかねんぞ?

あのアホ猫は、管理者が必要なんだ。


「出来ないよね、ゆー兄ぃなら。

 見ず知らずの人にも手を挿し伸ばす位だもん・・・アタシ知ってるから」


そうかい?俺ってそんなに人が善かったか?


「あ~ぁ。折角のチャンスだったけど、仕方ないよね。

 これから暫くはニャン子の世話を焼かないと・・・だね?」


背伸びした萌が、俺に笑いかけて来た。


「そうだな、少なくともニャン子が探している保安官とやらに合えるまでは」


答えた俺は、アリシアとの契約を思い出したんだ。

ユオンの設定とやらを改変しとかないとってね。


主人と下僕の関係を終わらせないと・・・って。



「ねぇ・・・ユージ。

 これからも・・・お願いします」


不意に萌が溢したんだ、二人っきりの今。


「アタシを護ってね。

 これからも・・・約束を守ってね」


微笑んだ萌の翠の瞳に、星明りが映ったのか金色に光ったように観えたんだ。

まるで機動少女(アリシア)の瞳みたいに輝いたんだ。


「ああ、傍から離れるんじゃないぞ」


ドキリとした俺がそう促したら。


「うん!」


ニコっと笑って返しやがった。

満面の笑みって奴で・・・



なんて・・・ご都合主義ナ?


こうして3人の新たな生活が始まるようです?!


良かったのか悪かったのか?

喜んだのは?


ニャン子アリシアだけのようですW


次回 共同生活?!その3

秘密基地が移転しました。どうやら3人にとって新たな門出にもなるようですが?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ