空を見上げていたらニャン子が降って来たんだが? その2
アレは何?!
夜空から墜ちて来たのは?
まさか・・・人間?!
そっかぁ~~~(現実逃避)
見上げた星空から
降って来たのは
ニャン子・・・じゃなくて。
「ニャニャニャニャァッ!」
猫の鳴き声を叫んでいる・・・・
「人間ん~~~ッ?!」
紅い服で赤髪。そんでもってコバルトグリーンの瞳を湛えた?!
「ニャニャニャニャニャッ!!」
墜ちて来るのは・・・人・・・だよな?
星空を見上げたまま固まっちまった。
有り得ないだろ・・・こんなのってさ。
「ニャニャニャ(どきなさいよ)!ニャ~にゃニャァッ(そこの原住民)!」
自然落下に身を任せ・・・墜ちて来る人(?)が泣き叫びました。
眼下に居る黒髪の人族目掛けて鳴いて(泣いて)るのです。
「ニャッニャ(邪魔なの)!にゃ~ニャニャニャっ(ぶ~つかるからぁっ)!」
真っ逆さまに墜ちて来る人(?)のようなニャンコのようなのが、喚き散らしているんですが?
「ニャァ(そうだ)?!ニャニャ ニャニャニャァ~~~(その前に たしゅけてぇ~)!」
・・・結局助けを求めてるんですね?
ばたばた手足を暴れさせて墜ちて来ます・・・ニャンコの声を叫ぶ、人のようなのが。
「夢か?幻か・・・それともアニメなのか?」
上空から墜ちて来る人の姿に、どこかで見たアニメのワンシーンを思い出しちまった。
「それなら、俺の執るべき行動は一つだよな」
どうみても人で・・・女の子。
このシュチュエーションなら、執るべき行動って・・・こうだよな。
俺に目掛けて墜ちて来る少女を、受け止める・・・しかないよな?
現実逃避しちまった俺は、カマ~ン状態で腕を突き出しちまったよ。
ヒュルリラ・・・
墜ちて来る赤髪の女の子には・・・ケモ耳が着いてやがるのにも、俺は全く気にならなかった。
ヒュルルルウ~・・・
おまけに尻尾まで揺らしているし、ミニスカートを靡かせているんだぜ?
そしてトドメはさ・・・下から観てても判るくらいの・・・胸アツ。
もとい・・・真っ逆さまに墜ちて来る女の子のたわわちゃん。
ヒュルルルゥ~~~・・・・
さて・・・受け止めるとしよう。
「にゃニャッ(馬鹿ッ)!ニャニャニャ~ッ(どきなさいよぉ~っ)!」
頭から真っ逆さまに堕ちて来ました。
でも、ここでよく観てください。
彼女(?)が墜ちて来るにしては・・・スピードが遅い?
自然落下にしては降下速度が緩慢じゃないでしょうか?
「ニャニャ(アタシの)ニャニャニャァにゃニャッ(着地地点なんだからッ)!」
?!墜ちて来たんですよね?助けを求めてましたよね?
「ニャァ(あら)ニャニャニャニャァアァ(スイッチ入れるの忘れてた)」
スイッチ?
墜ちて来た猫の鳴き声を上げていた人(?)が、腰に下げている円環のボタンを押しました。
泣き叫んでいた少女が、何やら腰の金色に光る何かを叩いた・・・
俺の真上で。
くるりッ!
何が起きたか理解しろったって無理だった。
だって、もう俺の突き出した手の先だったんだぜ?
アニメだったらさ、ここで俺ががっしりと受け止める筈だろ?
メシっ!
冗談じゃねぇ~よッ!
空中で一回転した少女の・・・靴底が俺の顔面にめり込んだんだ。
「ニャッ!にゃにゃ~ニャニャニャ」」
飛ぶ意識の中で、俺に靴底をめり込ませてる少女のニャンコ声が聞こえた・・・よ。
「にゃ~~(あ~~)、ニャニャニャッニャゴニャァ~(だからどけって言ったのに~)」
魔法靴の下で眼を廻している原住民に、猫娘さんが呆れていました。
「ニャニャニャ(まさか)ニャァああニャニャにゃ(本気で受け止めようとするなんて)」
金色の円環から、緑色に発色していたスイッチが消えると。
グシャ!
「ニャッ?!ニャニャァ~」
重力が戻り体重がのしかかり、原住民を圧し潰してしまいました。
慌てて飛び退いた少女が、謝っているようですけど。
気を失っている損な少年には届きませんでした。
スタっ!
着地した猫のような少女は、赤髪を掻き揚げてから突っ伏した少年を見詰めると。
「ニャァニャァ~(しょうがないな~)ニャニャニャニャ~(気が着くまで待つか~)」
溜息を溢して周りの状況を調べるのでした。
赤髪にケモ耳、尻尾がモフモフ。
おまけに観た事も無い金属の円環を腰に巻いた少女?
どこから来たというのでしょう?
空から降って来たのですから、もしかすると転生者?
でも。
異世界から来るなんて反則ですよね?
転生者ならこんな現れ方なんてしませんよね?
問題は・・・
猫のような声、猫のような姿。
間違いなくこの世界に居る人間とは思えません・・・やっぱり転生者なのかな?
正体不明の猫少女。
さてその正体とは?
黒髪の少年をぶっ倒した猫娘さんが、辺りを見回して。
「ニャ~(あ~)ニャニャニャァニャ~ニャっ(歴史の書物通り~古ッ)!」
感嘆ともつかない声を上げてアパートを見上げていました。
地面で伸びている少年とを見比べて、なんだかノスタルジックに浸られていましたが。
「う・・・ううん・・・痛たたた・・・」
少年が気付いたようです。
「ニャニャニャぁ(あなたにねぇ)ニャ語にゃニャニャニャ(お話しがあるんだけど)?」
コバルトグリーンの瞳で有次に迫るのです。
「ニャニャニャニャニャニャ(あなたの住処はこの辺り)?」
目を丸くする少年に、猫娘は追い打ちをかけます。
「ニャニャ語ニャニャにゃ(そこで話がしたいわ)」
有無を言わさぬ強いニャンコ言葉で言い募られて。
「何言ってるのか、さっぱり分かんねぇよ」
・・・そりゃそうですよね。
「にゃ(え)?!」
少年が肩をあげるジェスチャーを見せて。
猫娘さんは胸元にある金色の鈴みたいなものを探りました。
「ニャニャ~ニャ(なぁ~んだ)ニャニャ語ニャニャニャ(同時翻訳機のスイッチが入ってなかったわ)」
猫娘さんが、鈴のボタンを押し込んで起動させたようです。
「ニャ・・・ニャッホン!ニャ~ ・・・あ~あ~」
起動させたんですよね?
「あ~・・・すぅ・・・あニャた!この星の原住民ニャ?」
・・・まだ調子がおかしいんじゃ?
「ちょっとお話がしたいニャ。住処に案内しなさいニャ」
・・・ほら。
「・・・・・・・・」
有次くんも話しかけた猫娘さんもだんまりです。
「にゃ?聞こえてるんだニャ、この星の言語で?」
聞こえている事には間違いありませんが。
「なに、にゃにゃぁ言ってんだよ、信じらんねぇ~」
「ニャ(な)?!そんな馬鹿ニャ?翻訳機でも通じていないニャか?」
通じてはいますけど・・・ニャニャァついてますよ。
「なんだかアニメから飛び出して来たみたいな姿だけど・・・
訳があるんだろ、落っこちて来たのはさ」
墜ちて来た理由ですよね、有次君の聞きたい事って。
「訳?そうニャ・・・そこも言わないといけニャ~ニャ」
フムと考えた猫娘さん。
「先ずはお互いについてだよな」
「うにゅ~、アタシはアリシアって呼べば良いニャ」
猫娘さんから最初に名を明かされました。
「俺、ユージ。野良 有次ってんだよ」
「ユージ?変なシリアルナンバーニャぁ?」
ちょっと、シリアルナンバーってなんですか?
「この星にもニャンコ族と同じノラナンバーが着いていたなんて驚きニャ!」
あの・・・何かを勘違いされてませんか?
「まぁ、その件は良いわ。今はあなたの知り得る情報が必要なのニャ!」
「は?情報?!」
ぐっと近寄った猫娘アリシア嬢。
何の事やらさっぱりなユージ。
二人の邂逅は、星空の晩に。
墜ちて来たニャンコと、足蹴にされた少年。
これから何が起きようとしているのか・・・まだ分かりませんでした。
なんだか分からないけど。
俺はどうやらトンでもない厄介ごとを手にしてしまった。
・・・かな?
(気がつくのが徹底的に遅い)
次回に続きます~~~