それ美味しいの?その3
秘密道具?!
もしや、それは?
アリシアが取り出した物とは?
どこかの猫型ロボットのように秘密道具を取り出したアリシア。
その手に掴み出したモノとは?
「なんだよその棒きれは?」
俺も萌も、アリシアの手に捕まれている金属の棒が何なのか皆目見当がつかない。
「ライトサーベル・モドキぃ~」
「・・・は?モドキ?」
ライトサーベルって言えば、あの宇宙で戦闘する映画に出て来る奴か?
でも、モドキってなんだよ?
「ねぇアリシア。モドキって何?」
俺よりも萌が聞きたがったよ。
「ライトサーベルみたいな、そうでないような。光るけど斬れないサーベルニャ!」
「・・・・・意味ないジャン」
玩具かよ?!
呆れた萌がため息を吐きやがったよ。
「相手を威嚇する時に使えば良いって、ミシェル保安官補様が教えてくれたニャ。
アタシのレベルじゃ本物なんて使わせてくれないからニャあああぁ~」
「威嚇って・・・まさに猫脅しねぇ」
明らかに萌は落胆したな。
「こけおどしじゃぁニャいニョ。ほら・・・こんなに綺麗ニャ」
何も考えてないアリシアが、棒切れに着いているボタンを押し込んだ。
ボシュンッ!
黄緑色に輝く光が棒から伸び出たんだ。
まさにあの宇宙戦争映画に出て来る奴と同じように。
「おおおおおぉ~ッ?!」
俺は感嘆の声を上げてしまう。
まるで3D画像みたいに透過している光の剣を見せられたから。
「うわぁ~これって本物?!」
一瞬で今迄の思い込みが吹き飛んだのか、萌がアリシアのライトサーベルに近寄ると。
「ねぇねぇアリシア。
どんな仕掛けになってるの?3Dホログラムか何かなの?」
「違うニャ。集束ビームを発射してるンニャ」
・・・なんだと?!
「ビームぅ?それって・・・美味しいの?」
・・・おい、萌?
「泡とか出て来ないの?」
・・・ビームってアリシアは言った筈だぞ。萌の言ってるのはビール!
あまりにも唐突なアリシアの答えに錯乱したか?
「泡は出ないニャが、触れると熱いニャ」
・・・熱いで済むのか?え、熱いで?!
心の中で毒吐いたけど、どんな物なのかも想像もつかなくなっちまったから俺は。
「火傷しちゃう?」
萌があははと笑いながら訊いてる・・・
「そうニャねぇ・・・溶けるかも」
・・・マジ、本物じゃねぇか?
「おっ、おいアリシア?それじゃぁ本物のライトサーベルじゃないか!」
そうだろ?ビームを出してるんだぜ。それがどうしてモドキなんだよ?
「違うニョ。本物のライトサーベルだったら装甲板も斬れちゃうニャ。
これは熱量はあるけど分厚い金属までは斬れないニャ」
は・・・はいぃッ?!
「それに、偽物だけあって使える時間も制約があるニャ。
フルチャージしても僅か10分ほどしかビームが出せニャい紛い物ニャ」
いいぃッ?!それでも十分なのでわ?!
アリシアの説明を受ける俺は、開いた口が塞がらなくなる。
「物体を斬る事は殆ど不可能ニャ。
強いて言えば燃える物ぐらいかニャ、これで焼き切れるニョは」
「あはははは~、十分でしょソレ」
笑って応えるのが精一杯。
これが・・・異星人の威力なのか?!
「あはあはあは・・・ゆー兄ぃ?あたし・・・まだ起きれないよ」
錯乱している萌は、夢の中だと思い込んでいたらしい。
「しっかりしろよ萌、これは現実なんだぞ」
「うっそだぁ~、ずっと夢の中に居るんだから~」
・・・萌が・・・混乱した。
不気味な笑いを続ける萌はこの際放置プレイしておこう。
「なぁアリシア、これ以外に眼を惹く物はないのか?」
ライトサーベルは実戦時に使うかもしれないから、奥の手として温存しておくべきだよな。
「そうニャねぇ~・・・後は機動ポット自体かニャ?」
「機動・・・?なんですかそれ?」
機動と言われて想像するのはアニメのロボットか。
「アルジのユージは覚えてるかニャ、アタシがぶつかった時の事を」
「うん?それが何か」
覚えてるって、空から落ちて来たアリシアに踏み潰されそうになったんだから。
「どうしてアタシに踏み潰されずに済んだニョか・・・分かってないニャ?」
「どうしてって・・・あ。そうだよな、何故なんだ?」
金色の円環を持ちだして来たアリシア(糞重いのに!)が、
「これはニャ、アタシ専用ポッドなんニャが。
機動戦闘にも対応できるように出来てるニャ、空間移動用のホバー装置も付いてるニャ」
「なッ?!なんだとぉ~ッ?・・・って、どういうこと?」
俺には何が何やらさっぱり。
「簡単に言えば、空中に浮かぶ事の出来る装置も搭載されているニャ。
自由に空中へ舞い上がれて、ゆっくりなら移動も可能なんじゃニャ!」
「はぁ?」
未だよく呑み込めない。
「極めつけはアタシには相応じゃない戦闘妖精も積載されちゃってるニャ。
冗談だろうとは思ってるニャが、女神様クラスの戦闘妖精が間違って載せられちゃったらしいニャ」
「はぁ?!」
益々もって分からないんですが。
戦闘妖精・・・って、何?
「あの~アリシア、傍で聞いてたんだけどぉ。
あなたって宇宙人だったんだねぇ、アタシの夢の中に居るんじゃない本物の?」
「萌たん・・・今頃気付いたニャか?」
気を取り直した萌が、話に割って入って来たんだが。
「あ、あ、あ・・・そっかぁ~、道理でケモ耳ついてる訳だぁ」
また眼を廻しやがる。
「おい、萌。おまえ未だ現実を直視出来てなかったのかよ」
「ゆ、ゆー兄ぃ!どうしようアタシ、頭がおかしくなったんだわ!」
錯乱してる萌・・・まぁ普通はこうなるのかもしれないな。
順応してる俺の方がおかしいのかもしれないし・・・
「もう一回言うぞ、萌。
これは現実であり萌は今、アリシアという異星人の前に居る。
そして悪の秘密結社と対峙しているんだ、分かったか?」
「・・・シクシク、ど~してこうなった?」
怒涛のように泣く萌。ある意味良い反応だぜ?!
「やっと現実に戻って来たか萌。そんじゃ~作戦会議を再開するぞ」
「ひゃいッ!どうすんのよゆー兄ぃこれから」
・・・うむ。
「アリシアと一緒に土安の前に行く。
そこで秘密道具を誇示して本当の異星人かを確かめる」
「どうやって確かめられるのよ?」
即座に萌が訊き返したな。どうやらもう大丈夫なようだ。
「秘密道具を観て、俺達みたいに泡を喰わなきゃ異星人確定」
「なるほど!」
ポンと手を打つ萌。大丈夫なのか?ホントに。
「そうなったら後は奴の出方次第だな。
仲間を呼びやがるか、若しくは退散するか。
どっちに転んでも大々的に動き始めるだろう」
「う~ん、まんだむ」
・・・大丈夫じゃなさそうだな・・・
「アルジのユージに質問ニャ。
土安の奴が他の異星人とコンタクトを取っていた場合はどうニャるの?
待ち構えていたとしたら、いきなり攻撃しては来ないのかニャ?」
ウガッタ意見だとは思うぜアリシア。
「その可能性は否定できないな。
もしも奴が仲間達と一緒くたになって攻めて来ようモノなら。
その時はその時。
ヤラレる前にやれば良いんだよ、アリシアの秘密道具とやらで」
「そうニャンか?じゃぁ反応弾でぶっ飛ばすニャ、街諸共!」
・・・辞めんか糞猫。
ジト目でアリシアを睨んでやったんだ、そしたら。
「だってニャだってニャ、アタシが殺られちゃうニャ!そんなの嫌ニャ~」
涙目になって本気で喚くんだが。
「あのなぁアリシア。
何の為にこんなことをやってると思うんだよ。
全部保安官とやらを呼び出す為だろ?
それに・・・だ。
街を吹っ飛ばした後に保安官とやらが出て来ても、アリシアの方が逮捕されちゃうんじゃねぇのかよ?」
「ニャンと?!そうだったニャァ~~~~」
本気で考え無し子だったかアリシアよ。
「じゃぁじゃぁ、どんな手でドアクダーと対峙すれば良いニャか?」
「うん、そこだよな。
派手に闘う事になったらこちらが危ないし、どんな危険があるかも分からないから」
俺には相手がどう手を打ってくるかが分からない。
「土安だけならさっきのライトサーベルで十分だろうけど・・・」
俺がアリシアへ答えていると、萌がむっつり言いやがったんだ。
「ぜぇ~んぶ、吹っ飛ばしちゃえ」
「やっぱり反応弾ニャぁッ!」
・・・凶悪な奴等には違いない、こっちの娘っ子達がだ。
俺達の意見が纏まる前に、事件が起きたんだ。
きっとアイツ等が狙ったのは間違いない。
それは・・・こうだ。
ほざく2人に愛想が着いた俺が、一息入れようと湯飲みに手を伸ばした時。
ブ~ブ~ブ~
萌のスマホがムーブ音を奏でた。
着信を知らせる音に、やっと我に返った萌が出た。
「あ、春香からだ」
SNSの着信を読んで、早速開くと。
「あ・・・嘘?」
何やら驚きの内容が書かれてあるようだ。
顔色がそれを教えている。
「ゆー兄ぃ、アリシア!大変だよ」
大変なのは顔を観てれば解る。
「土安の奴が!ドアクダーがこっちに来るって!」
「はぁ・・・土安がねぇ・・・えっ?!」
我ながら頓馬な答えをしちまった。
土安の方からこっちへ出向いて来るだって?
「なんでも早退したアタシが家に帰っていないから、
ゆー兄ぃのアパートに行くって言ってるのを春香が聞いたみたい」
「なッ?!なんだってぇ?」
そんな話があるもんか。
高校の教師が早退者の女子を気にかけて家庭訪問するか?
そして連れて帰った義理兄のアパートまで様子を観に来るか?
そしてだ。
さっき学校で会っていたというのに、素知らぬフリで出かけて来ると云うのならば。
これは間違いない。
「奴は先手を打つ気だぞ!」
事情を知る俺達が、そう考えるのは必然だろ?
「どうするのゆー兄ぃ?」
「どうするニャ?アルジのユージ」
二人に意見を求められたけど、こんなのは想定外。
「どうするもこうするも・・・」
「で?」「どうニャか?」
二人に突っ込まれるのは想定内。
「決まってるッ!戦闘用意だぁッ!」
・・・な、そうするしかないだろ?




