輝の中で その3
魔剣サンダルフォンを薙ぎ払ったユージ。
結界の勝負はここに決着をみる!
輝きに包まれる魔剣。
ユージに仕える天使の容は、究極の剣に成っていた。
最期の剣・・・それは人類が手に出来る最強にして終焉を齎す刃。
だが、本当の最期の剣には昇華しきれずにいた。
「ああ、分かってるよサンダルフォン。
俺が人だから、覚醒出来ないんだよな?」
使徒である魔剣に、言っておいたんだ。
「もし。
もしも俺が保安官になったのなら、覚醒出来るんだろ?
人を超越した存在になれれば、双璧の魔剣に進化出来るんだよな」
勇者剣士の記憶が知らせてくれた。
この宇宙のどこかに居たという二柱の女神は、並び称されることの無い偉大なる異能を誇っていたんだと。
女神は二柱で勇名を轟かせた。
金髪の女神は審判を司る。
蒼髪の女神は理を司ったという・・・
彼女達に奉られた名は<双璧の女神>・・・・
並び称されることの無い魔法力と神力を誇る。
絶対にして不可侵の領域に存在する者として、語り継がれたと聴いた。
双璧を名乗れる魔剣を手に出来るのは、人を超越した存在だけ。
アリシアが言っていた保安官ミシェルさんだったら、サンダルフォンとシェキナを同化させられるのだろうか?
女神級と呼ばれる保安官なら、その卓越した能力で可能なのか?
「もう一度訊くぞ魔剣。
俺にしか出来ないってのは、本当の事なのか?」
魔剣に質してみる。
「「我が主は野良有次なり。その他の誰にも非ず。
因って、我が最期の剣ならしめれるのはアルジのみ・・・」」
「まったく・・・主人に尽くそうだなんて古臭い考えだぞサンダルフォン」
いいや、元々の話。
人である俺に天使が傅くなんてのが、おかしな話なんだよな。
いくら勇者剣士の生まれ変わりだとしたって、何の異能も持たなかった俺に天使が仕えてるなんて。
「もし、俺が保安官になれたのなら、最期の剣を手に出来るのか?」
魔剣に訊いたんじゃない。
俺自身に問いかけたんだ。その器なのかって・・・ね。
「「保安官になろうがなるまいが、関係ございません。
アルジが己が力に目覚められた時、我は最期の剣に昇華するでしょう」」
魔剣が答えてくれた。
保安官に成らなくても、手にする事が出来るのだと。
「勇者剣士ではない者になれと?俺は何に目覚めれば良いんだ?」
「「答えは自らで見つけねばなりますまい」」
ヒントすら貰えないのかよ。
「「目覚めの時は直ぐそこまで来ている・・・とだけ、申し上げておきましょう」」
「分ったよ魔剣」
最大級の魔力を以って振り抜いた後、俺は暫く魔剣と話し合えた。
邪悪なる者を滅ぼす魔剣により、目下の敵を討ち倒して。
輝きの中で、俺は天使が何を求めているのかが分かった気がしていたんだ。
魔剣が最期の剣へと昇華するのを望んでいるのだと。
双璧の魔剣へと。
天使が仕える、神のみが携えられる神刃へ成ろうとしているんだ。
輝きを纏う魔剣を手に、俺はゆっくりと結界に降り立った。
「アルジ!良くやった!」
「アルジ、やっぱり凄いや!」
セッカもシンバも、俺が斬ったのだと言うんだけど。
「いいや、魔剣のおかげさ」
俺は何もしてはいないんだ、唯、魔剣にこいつ等を打ち倒せと命じただけなんだから。
「いいや、違うよアルジ。
アルジだからこそ、こんな作戦を思いつけたんだから」
「シンバの言う通り。
アルジ以外にやれなかっただろう。大したものだ」
二人はシールドを壊した3連鬼を、ものの見事に討ち果たしたと褒め囃すけど。
魔剣の一撃をもろに受けても、黒の3連鬼は生きていたんだ。
「さて・・・どうするかな?」
魔鋼鎧は大破している。
魔剣の破壊波動を受けて、ズタズタに斬られてはいるのだが。
「どうするもこうするもないんじゃないか。
3匹を始末すれば良いじゃないか?」
そう・・・3匹。
「邪気を打ち倒したアルジの魔剣に因って、本来の姿に戻ったんだろう?」
そう・・・本来の姿だとも言えるんだけど?
「それにしても、これが宇宙人の姿だとは・・・思えないね」
シンバが困ったように俺へ笑いかけて来る。
「斬られる前は、偏屈な親爺共だったのになぁ?」
セッカも如何に処分して良いのか、判断を俺に委ねて来るんだ。
「鎧が姿を変えさせていたのか。
悪意が人の姿へと換えていたのか・・・ウサギを」
俺達の前でひっくり返っているのは、黒いウサギだったんだ。
いや、俺の知る限り。
こんなウサギは世界中を観たっていないだろう。
「ウサギねぇ?
ボクには可愛らしいウサギなんかには到底見えないけどね」
シンバが苦笑いを浮かべて言うのも納得出来る。
何故かって?それは・・・
「ウサギって、抱っこが出来るくらいの大きさだろ?
こいつ等みたいに人と等身大のウサギなんて、着ぐるみくらいじゃないのかい?」
そうなんだよなぁ・・・ウサギというよりは。
「まったくだ。
私もウサギというより、バニ男って言いたいくらいだ」
・・・セッカ。バニ男ってなんだよ?
大破した魔鋼鎧から観えるウサギ男達。
端で観たら、化け物そのまんまだけど?
「それじゃぁ、こいつらをどうするかだけど」
「斬ってしまうか?」
俺にセッカが訊くんだけど。
いくらなんでも、この姿を見せられちゃぁな。
「拘束するのは時間と手間の無駄だからなぁ」
「埋めちゃおうか?」
埋めるって・・・結界の中にかシンバよ?
「斬るのも埋めるのも無し!」
どっちにしたって殺すのは無理だ。
「なんだよぉ~、つまんない」
待てシンバ。
「アルジは変な処で気を廻すからなぁ」
違うよセッカ。
こいつ等を結界に捕まえておく理由がなくなったんだよ。
悪意があるとしても、もう脅威でも何でもないんだ。
「こいつ等を結界からほっぽり出す!」
「えッ?!赦しちゃうの?」
突然俺が放り出すと言ったらシンバが眼を剥いて驚くんだ。
「そんなの駄目だよアルジ。
もしかしたら、また悪事を働くかもしれないんだぞ!」
「そうだアルジよ、シンバの言う通りだぞ?!」
セッカも許したら、後々の為にはならないと言うんだけど。
「待てよ二人共。
俺は赦すとは言ってないぜ。
逆に二度と悪さが出来ないようにしてやろうと思うんだ」
「ほぇ?」
俺の言った意味が通じていないみたいだ。
「こいつ等を赦すなんて言っていないだろ?
放り出すって言っただけだぜ、俺は」
「はいぃ?」
セッカも分らないのかよ?
じゃぁ、説明しよう。
「結界から出たら、俺達のアジトの中だろ?」
「そうなるな」
此処までは了承済。
「そこには保安官補助手のアリシアが居るよな?」
「ああ、だけどニャン子は逮捕出来ないだろ?」
ちょっと難しいかな?
「この間、どこかの美春さんに化けていた人が居たよな?
確か、アリシアをずっと見ているらしい上司様が」
「ああ、そういえば来たよな・・・って?!
まさか、アルジはアリシアを出汁に?」
出汁にする気はないんだけどな。
「黒の3連鬼って犯罪者を、逮捕出来るとしたら?
アリシアの手柄にしてやれば?
保安官様にも顔向け出来るって事だろ?」
「つまりアルジは。
ニャン子の手柄にしてやるつもりなのかよ?!」
そうじゃないけど、結果的にはそうなるのかな?
「こいつ等、逃げ出さないかな?」
セッカが少し不安気にウサギ達を見下ろして訊いて来た。
「逃げ出したって、直ぐに見つけられるさ。
なにせこの姿形なんだから、眼を惹くに決まってるしな」
等身大のウサギなんて、コスプレイヤーだってやりはしないだろう。
「フン縛っておこうか?」
シンバが地龍の縄を取り出して訊いて来る。
「ああ、任せた」
気休めだけど、捕えられたのを意識させるには良いだろうから。
「黒ウサギってさぁ、大きいとグロテスクだよなぁ」
「それは言わないでやってよ」
シンバとセッカが手分けして拘束していくのを観て。
「それじゃぁ、結界を解くからな」
気絶した黒ウサギ達との戦闘を終了すると宣言したんだ。
「ああ、帰ろうか」
「帰ろ帰ろ~」
セッカとシンバが来てくれて、何とか勝てたんだ。
俺一人だったらどうなったことか。
「ありがとうなシンバ、セッカ」
結界を解く瞬間にお礼を贈った。
勝利に輝く結界の中から、現世へと還る俺へ。
二人の笑顔が応えてくれていたんだ・・・
黒いウサギだった?!
そういえばアリシアがニャン子で、ミシェル様が犬族でしたね。
ウサギ族が居たって良いではないですか?
でもなぁ、等身大のウサギでおっさんだったなんて。
想像したら気持ちが悪くなりますよ・・・想像したら。
(挿絵にできない理由がそこにあるのです)
さぁ。ユージは3悪人を打ち破れたのです。
次なる相手は?
当然のこと、ダレットなのですが。
この方達が初めに接触するようですが?
嵐「居たのを忘れてたんじゃないの?!」
京香「まぁ・・・そうだろうな」
次回 気まぐれな天使のテーゼ その1
あの歌が脳内に流れます・・・が。気にしてはいけません!少年よ神話になぁ~れぇ♪




