ブラックバーニア・アタック その1
大変な事に?!
地球に残された時間は?
地球滅亡まで・・・あと?
なんですとぉッ?!
横須賀港に停泊している貨客船<アイン>で。
「要塞からのワープ通信が途絶えた?」
モニターに映された爆光でも、尋常為らざる事態だと分っていたのですが。
「連邦はアレを使ったというの?」
ドアクダーの情報網により、連邦艦隊には惑星破滅ミサイルが装備されていたのは承知していたのでしたが、まさか本当に使われてしまうとは想定外だったらしいのです。
「要塞カイツールの犠牲は止むを得ないという事ね」
破滅ミサイルに因って吹き飛ばされてしまったのは残念とも言えたのでしたけど・・・
「奴等はもう、破滅ミサイルを撃ち込めない・・・」
主防衛線を破られたが、この星に対しての攻撃には使えない。
「情報に因れば、奴等に装備されていたのは1発だけ。
カイツール要塞に撃ち込んだのなら、手数は残ってはいないだろう」
客船のオーナー室で、ダレットは細く笑んだのでした。
でしたが、通信係が申告したのです。
「ナンバー11に申し上げます。
最期の通信では、奴等の発射した本数は3発だと聞いております」
それは情報を信じていたダレットにとって、寝耳に水とも言えたのです。
「なんだと?」
聴き間違えたのではないかと、もう一度質したのでした。
「3発の内1発の迎撃に成功した模様でしたが。
残りの2発の内1発が要塞を破壊したようです」
「なんだと?!」
ステルス性能の高い破滅ミサイルを迎撃出来たのは、内通者に因る情報を元に迎撃システムを構築できていたからでした。
それも1本限りだったのですが。
「2発は分かった。
後の1本の所在は何処なのだ?」
ダレットは3発目の行方を知らせろと命じました。
「行方不明。ステルス性能に依りレーダーでの捕捉は不能です」
超長距離レーダーの性能からしても、破滅ミサイルの発見は容易ではないみたいです。
「今後も宙間観測機による捕捉に務めますか?」
「見つけるまで続けるのよ!」
的を外したミサイルが何処へ向かうのか。
まかり間違って近くの惑星にでも飛び込んだのなら、地球にも甚大なる影響を齎すから見つけねばなりません。
「探索班にシュミレートさせなさい。
カイツールを外した軌道から逆算して、何処に向かってるのかを割り出すのよ」
ダレットは敵の放ったミサイルの結末を危惧していたのです。
「まさか・・・この星になんてぶつからないわよね?」
もしもの場合。
地球から逃げ出す時間の余裕があるのか?
その時、折角見つけた地図の巫女を放棄できるのか?
「もしもの場合に備えなきゃならなさそうね」
目的の完遂とは云っても、命があっての話ですから。
「でも、もしも地図の巫女が消滅してしまえば?
反次元爆弾も作動してしまわないのかしら・・・」
作動の成否は、巫女の運命と深くかかわっていると聞き及んでいたようです。
「あの勇人とか言う歴史学者が断じていたが。
もしも本当なら、星が消し飛ぶだけでは済まなくなる?」
地球がミサイルに依って消滅してしまえば、巫女も運命を共にせざるを得ない。
そうなれば銀河系の半分はブラックホールに飲み込まれてしまう・・・
「そんなことになったら、私の野望も絶やされてしまうわ」
爆弾を手にして、銀河連邦に睨みを利かす。
そして富と栄誉を総べて自分の物にする・・・のが、ダレットの最終目標だったのです。
それが、もしかすると霧散してしまう結果になる?
「急いで解析結果を私の元へ!」
シュミレーション結果次第では、残された時間が制限される。
ミサイルを迎撃するのも、巫女を手にするのも時間に制約されるでしょう。
「最悪の事態にはならないで貰いたいわ」
ダレットの言う最悪とは?
「発見が遅れて手の下しようも無くなってしまう。
撃ち落とすのも逃げるのも・・・間に合わなくなってしまえば」
地球の消滅だけで済まないと?
「シュミレート完了。
最悪の場合ですが・・・」
探索班からの回答が齎されます。
「目標を失したミサイルが直進するのであれば。
後2日でこの星に到達してしまいます・・・」
最悪の結果だったのです。
最も恐れていた報告が齎されてしまったのです。
「なんだと?!ミサイルを迎撃出来ないのか?」
宇宙空間において、ミサイルを撃ち落とせないかと質したのですが。
「レーダーに映らないのですよ。
通常兵器での迎撃は困難というより不能です」
「そんな馬鹿な?!」
ダレットは目の前が暗くなってしまう程の絶望感に浸されたのです。
これまでやって来た事が、何もかも崩れていくような感覚に捕らわれたのでした。
「でも、まだ2日ある。
急げば間に合うかもしれないわ」
気をなんとか持ち直し、ダレットは目的の完遂に目を向けるのです。
「手段を選んでなんて居られなくなっただけ。
もうなりふり構わず巫女の奪取に取り掛かるだけよ」
反次元爆弾の鍵である巫女を我が手の元へと・・・
ダレットはモニターに映された爆弾の起動スイッチを握り締めるのでした。
モニターに映るのは、どこに搬入された空震波爆弾だったのです。
「奴等には、囮になって貰うわ」
奴等?それは黒の3連鬼ですね?
彼等はユージの剣を狙っていますからねぇ。
ダレットは部屋の奥に向けて眼を向けます。
「あの少年を引き付けておいて貰えば・・・後は私直々に」
そこにあるのは機動の鎧。
保安官が所有できる機動鎧が隠されているのです。
・・・・(=^・・^=)・・・・
「そう言う訳で。頼んだからな」
俺が頭を下げて頼んでいるのに、こいつらときたら・・・
「いやぁ~アルジから頼まれてもなぁ」
「そうですよ。いつまでとかの制約はないのでしょうか?」
ぶつくさ文句を溢しやがるんだ。
「アタシも日中は仕事に行かなきゃだし・・・」
「私も図書館で調べものをしなくちゃですから」
シンバも雪華さんも頼れないのか。
「それにそもそもだ。
どうしてアルジが萌の護衛をアタシ達に頼むかが分りかねるが?」
「そうですよ~。萌さんを守るのがナイトの役目ではないのですか?」
二人に交々捲し立てられるんだが。
「訳は詳しく話せないんだ。
唯言えるのは、俺の居ない時に護衛して貰いたいってだけなんだよ」
「だからぁ~、なぜ萌も連れて行かないんだ?いつもみたいに」
シンバに痛い処を突っ込まれた。
「そうですねぇシンバさん。
野良君は萌さんを護るだけに全精力を使って来たのですから。
それが今になって護衛しろだなんて・・・おかしな話ですよね?」
ううッ?!雪華さんもか。
二人に訳を話してしまえば、きっと萌にも漏れてしまうだろう。
「それに!アリシアはどうするんだ?
アルジと行動を伴にするのかよ?」
「いや、初めはそのつもりだったけど。
機動ポッドを装備して萌と俺の両方を護らせる訳にはいかなくて」
相手の出方次第なんだ。
もしもあのおっさん等が萌を奪いに来るのなら、アリシアを向かわせる手筈だった。
だけど、どうやらアリシアはダレットとか言う女幹部に目を奪われているみたいなんだ。
アリシア曰く、ドアクダー幹部ダレットを倒さないといけないらしい。
黒の3連鬼とかいうおっさん達は、ダレットに仕えているだけなんだと。
「萌を護り続けたいのは山々なんだが、黒の3連鬼が狙ってるのは俺なんだ」
だから、現れた時には俺だけで立ち向かう気なんだ。
「そっかぁ~・・・萌を危険な目に遭わせたくないというんだな?」
シンバはなにか感じる処があるのか、考え込む仕草を見せる。
「やっぱり萌さんを大事に想われているのですね」
羨ましそうに天井を見上げる雪華さん。
「分って貰えたのなら、頼むよ二人共」
これ以上説明しないでおく。
いくら俺が魔剣を駆使出来たにしろ、相手は3人のドアクダーなんだ。
倒せないまでも追い払うには、相当の覚悟が必要なんだよ。
「アルジはたった一人で立ち向かう気か?」
シンバが念を押して来る。
その意味が俺には分かっていなかった。
「そのつもりだけど」
アリシアの援護が欲しい処だけど、ダレットが横合いから萌を狙う可能性が否定できない以上。
「俺一人で闘えるさ」
苦戦したとしても手を借りる訳にはいかないだろう?
俺の答えを聴いた二人が、目で何かの合図を交わしたんだが?
「それじゃぁ・・・アタシの答えはNOだ」
え?
「私もです」
え?ええっ?!
どうして?了解してくれるんじゃぁなかったのかよ?
「萌の護衛はアリシアに任せる。
因って、アタシ達はアルジを守護するッ!」
はいぃッ?!
「と。いうことなので・・・お断りするのです」
ニャンと?!
俺は開いた口が閉まらなくなった。
「嫌だと云っても駄目だかんな。
アタシとアルジは主従関係なんだぞ。
主人が闘うのに下僕が付き従わないでどうすんだよ?」
「野良君をほったらかしに出来る訳がないでしょ?
私を下僕にしたのですもの、勝手に居なくなられては困りますから」
二人は萌より俺を採ったのか。
主人と下僕として?いいや、二人の眼はそうではないと知らせてる。
「俺は二人を護れないかもしれないんだぜ?」
黒の3連鬼と闘って、二人を無事に還せる自信は無いよ。
「あはははッ!端からアルジを守護するって言ってんだろ!
アタシ達が護られるんじゃなくて、アタシ達が護るんだよ」
「これでも結界を張れるくらいの異能を誇っているのですよ?」
地の龍を宿すシンバ。
氷結の異能を誇る雪華さん。
二人と出逢えて、二人と契り・・・俺は此処に居られてるんだ。
「どうなったって・・・知らないからな」
俺は本当に良い友を持てた・・・そう思うから。
「頼むよ二人共。
俺と共に闘ってくれないか?」
言い直したんだ。
新たに頼んで確かめたかったんだ。
「おぅよ!」
「はい!」
今度は力強く頷き返してくれた。
それがどんなにか頼もしく思えたか・・・分かるだろう?
俺は二人の友と闘える幸せを感じていたんだよ。
「駄目ニャ?」
アリシアが困ってるけど。
「そう!アタシにはゆー兄が居るから」
はっきりユージに任せるって言い切っておいたの。
「どうしてアタシでは駄目ニャの?」
「どうしてって・・・決まってるんだから駄目なのッ!」
食い下がるアリシアに、意味もなく断り続けるアタシ。
意味もなく・・・ではないわ。
ちゃんと理由があるもの。
「ユージはアタシを護ってくれるから・・・」
頭の奥でも、もう一人の私が言っている。
「「あの子はきっと護ってくれる」」
・・・あの子って?ユージのことだよね?
モエルさんではない声が頭の奥で応えてる。
アタシにはどうしても分からない声の主。
その声は一体誰?アタシの中に宿っているの?
当惑気味のアリシアが、アタシを観て困ってる。
でも、譲れない。譲りたくないから。
「ゆー兄は、アタシを護るって約束してくれたの。
兄としてだけではなく、独りの剣士としても誓ってくれたのよ」
そう・・・じゃない。
ずっと昔からアタシは、ユージに護り続けて貰っているの。
新たに約束したからって、何も変わらないんだから。
譲りたくないのは約束ではなくって、
「アリシアにゆー兄を譲りたくない・・・」
頭の隅で、あの女の声が教えている。
アリシアがいつの日にか、アタシのユージを奪ってしまうのではないかって。
私が居なくなったら、ユージは誰を護るのかって。
もしも私が天使になったら。
傍に居るのはアリシア?アリシアしか居ない?
「譲れない・・・この気持ちだけは。
ユージの傍に居られるのはアタシだけなんだから」
ブツブツと自問自答を繰り返してるアタシに、アリシアは困り顔で。
「だからニャ~?
アルジは黒の3連鬼と闘う気なんニャ。
危ないから萌たんの護衛を言い渡されただけニャんだが?
何故断るのニャか・・・分らないニャ~~~」
ヤンデレ状態のアタシに言っているようでした。
のっけからずれてるユージ達。
方やダレットは焦りまくり。
そしてこのおっさん達は?
欲望に目が眩んでいるようですね?
次回 ブラックバーニア・アタック その2
一言言っておく。ブラックバーニアだ。間違ってもブラックバニーなんて言うんじゃねぇぞ?!
誰かが喜ぶだろうが!(それって誰?)




