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レメゲトン  作者: ズラ丸
第一話
7/28

【ランチ・タイム】


 工房ラボを出て右手にしばらく進んだ先の四つ角に、ヒュッテという名の喫茶店はあった。

 バイクは工房ラボに置いてあるので、当然その間は徒歩である。


「行くぞ」


「ほーい」


 喫茶店の中はわりと広く、案内に促されるまま窓際の席へとつく。

 テーブルに置かれたメニューをみると、分厚いハムとチーズのパニーニの写真が一際目を引いた。どうやらこの店で一番人気の商品らしい。

 ──よし、これにしよう。

 まずはその店のオススメから。

 こうした初めてくる店で、僕が料理を選ぶ基準は至極単純だった。


「決めた? 注文していい?」


「ちょっと待て、早いぞお前。むっ、……よし、いいぞ」


 アディルの許可を得て、僕はウェイトレスさんを呼ぶ。

 二人分の水をトレーにのせ、パタパタと駆けつけてくれるポニーテールのお姉さん。

 彼女は水をテーブルに置くと、伝票片手にペンをとり、僕らの注文を待つ姿勢をとった。


「えーっとね、僕はこの一番人気のやつ、サラダセットで。あとカフェオレ。アディルは?」


「俺はこのチリドックのデスソース三倍がけを二つ。あとコーヒーをホットで」


「はい、えーと、砂糖とミルクはいかがなさいますか?」


「なしで」


「かしこまりましたー」


 ウェイトレスさんはそういって注文を復唱すると、厨房の方へと消えて行く。


「相変わらず辛党なんだね。味覚壊れてんじゃないの?」


「うるせー、黙ってろドチビ」


「……ち、チビじゃねーし! アディルやレティ姉さんがデカイだけだし。身長一六一あっしー!」


「嘘こけ。お前一五八だったろ」


「何で知ってん……いやいやいや、伸びてるから! 成長期舐めんなよ!」


 お姉さんの運んできた水を氷ごと口に入れる。ガリガリ氷を噛み砕きながら、僕は頬杖をついて窓の外へと目をやった。


「五月蝿いのがいると思ったら、お前かチビガキ」


「あん?」


 背後からの声に、目を三角にして振り返ると、そこにいたのは──


「……………………誰?」


「なっ!?」


 サラサラの青い髪に三白眼の男が、白い顔を一瞬で朱に染め、口をパクパクとさせている。

 ふむ、鯉が餌を待つのに似ているな。

 黒い制服と佩剣からして、僕らと同じゲーティアの所属だということはわかった。


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