第二話『多重なあいつの多重な事情』3
俺はどのくらい意識を失っていただろうか?また遅刻か。しかも二日連続で。
「さて、今何時だ?」
俺は家の玄関の前で携帯の時間を見た。時刻は7時30分ちょうどだった。あれ?意外と早めに起きれたな。つまり間に合う!!
「行ってきます!!」
誰もいない家に挨拶をし、俺は家を出た。
「はぁ~……」
俺は登校途中深いため息をついていた。全く呪いのせいで散々だ。今日は最悪の日だ。にしても人格変わるだけ本当に別人だったな、姫野。まさかあんなに毒舌だとは思ってなかったが。言いたいことはたくさんある。まず一つ目は・・・。
「あの、東隠学園の人ですか?」
後ろから可愛い声がした。おい、また女子か。もう散々なんだが……。
「はい、そうですけど・・・。えっ!!」
俺が後ろを向くと男子の服装をした人が立っていた。顔は天使だった。おいおい。まさかの男装か。
「君は女子か? 男装は悪くないが」
そういう人もいるから俺は否定しない。
「ええとね。僕は男子だよ」
何だって!!こんな天使の顔をした人が男子なのか!?
「それはすまん。つい……」
「別にいいよ。でも良かったよ。ありがとう」
俺は何もしていないんだが。やばい、男子として見れない。
「僕は水野輝兎です。よろしくね」
水野は俺に天使の笑顔を今まで以上に見せつけた。まずい、別の何か目覚めてしまう。頼む、その上目づかいやめてくれ。
「君のことは知ってるよ。確か、杉山懸だよね?」
だよねとか萌える。俺は……以下略。
「そうだけど。どうして知ってるんだ?」
「入学式に意識不明になった人だからみんな知ってると思うよ。でも僕は上野先生から聞いたんだけどね」
俺ってそんなに有名になってたんだな。ってそれ原因、上野先生だろう!!
「そういうことか」
俺はそういった。
「じゃあ一緒に行かない?」
いやあ、本当に天使だ。それに・・・以下略。
「ああ、一緒に行こう」
さすがに男子同士なら問題なかろう。良かった。
学校に着くまでに水野に昨日のことを教えてもらった。ああ、男子で良かった!!おかげで呪いは発動しなかった。
「よし、余裕で着いたな」
「うん! 本当に良かったよ。ありがとう、杉山君」
こんな可愛い水野に名前で呼ばれた。最高です。なんか俺が変態っぽくなってきてる感じがする。
「おお!! 世紀のミラクルボーイ、おはよう!!」
「先生、一度遅刻と気絶したからって変なあだ名付けないでください」
テンションの高い上野先生は今日は絶好調だな。
「ごめんなさいね。それに水野さん、おはよう」
「おはようございます、先生」
「おお!! 今日も水野さんは可愛いですね。それ!!」
いつの間にそんなに生徒と仲良くなってるんだ。まだ二日目なのに。
「ちょっとやめてくださいよ。恥ずかしいです」
上野先生は水野のほっぺをつんつんしている。
「先生、やめてあげてください」
「おお!! 嫉妬ですか?」
「俺はそういう趣味ありません!!」
まあほっぺつんつんはしたいが。
「さて、君たちをいじるのはやめて会議があるので、先に行ってますね。じゃあ教室で、水野さんとミラクルボーイ」
確信犯ですか、先生。
「杉山です」
俺は先生にそう答えた。上野先生はよりいっそう笑顔になりながら、歩いて行った。
「じゃあ、教室行こう?」
「ああ」
朝のことは訂正しよう。今日は最高の日だ。俺たちは教室に向かった。




