第二話『多重なあいつの多重な事情』2
とりあえず俺は人格交代した僕っ子桜に事情を話した。
「なんだ、そういうこと。驚いちゃったよ。ってきり不審者に連れ去れたのかと思ったよ」
「想像が豊かなんだな」
意外と毒舌なのか。まあ、姫野の人格ならそういうのが似合っていると思うが。
「じゃあ君が呪いを解くために僕と一緒にいるんだね」
「まあそういうことになるな」
「にしても違う人格の姫野はブレスレットを壊しちゃったんだね。なかなかのどじっ子だね」
それは確かに。あそこまでおっちょこちょいなんて思ってなかった。
「なあ、人格交代は今すぐに出来ないのか?」
「うーん、今すぐには無理だよ。それに僕自身が交代したくないもん」
「それは困るぞ。俺はまだ呪いの解き方をまだ完全にあいつに教えてもらってない」
さくらは少し考えた素振りを見せてから答えた。
「心配しなくていいよ。今回は一日だけだから。それに君の知っている姫野が持っている呪いの知識はもうないと思うよ」
「随分と意味深な発言をするのだな。それはどういう事だ」
「一応説明すると、多重人格の呪いは一人一人感情や知識などが異なるものなんだ。だから君の知っている姫野はもう持っていないと言ったんだよ」
そういうことか。記憶も異なるから俺の事を桜は知らなかったのか。
「それにこの呪いには期限がある。その期限を過ぎれば、君の知っている姫野に会えるよ。ただし今回のように一日だけとは限らない」
「じゃあもっと長い期限になることもあるのか?」
「そうだね。この呪いも気まぐれだからね」
相変わらず身勝手なもんだな呪いは。
「ああ、もうこんな時間か。長話しすぎたな」
俺の携帯の時刻は6時を過ぎていた。
「そっか。じゃあどうしようかな……?」
「帰る前に俺の家で朝食を食べていったらどうだ?」
「いいの?」
「ああ、両親いないから大丈夫だよ」
「そっちじゃなくて。君、料理出来るの?」
「そういう心配かよ!! 作れなかったらこう言わないから」
やっぱり毒舌キャラなのか?
「なら、お言葉に甘えて……そうするよ」
「よしじゃあ……」
こんな瞬間を待っていたのだろうか。俺が言い終える前におなじみの激痛に襲われた。
『爆発しろ!!』
もう完全に非リアの言葉だな。ってなんで発動した!?
「痛い、痛い、ぎゃああああ!!!」
「ああ、ちなみに僕は君と同じ呪いは持っていないからね」
「それ……早く…………言ってくれよ」
「ごめんね、反省するよ。でもね……」
さくらは急に冷酷な表情を見せ、
「そんなじゃ呪いは解けないよ、ヘタレ君」
急に毒を吐かれて精神的にもダメージを負った。後、怖い。
「それじゃ僕はこれで。学校で会おうね、ヘタレ君」
いつの間に俺は呼び名がヘタレになったんだ。そう思った時には俺はもう意識を失っていた。