表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/70

第十話『歓迎、そして一歩踏み間違える青春』7

 「料理教室って言われても……どうすれば?」

 俺が料理教室をすると宣言して、一番困っていたのはもちろん桃だ。

 「取り敢えず、俺たちの前でもう一度クッキーを作ってみろ。話はそれからだ」

 まずはどこまで料理が苦手なのかを調べなければいけない。

 味から考えれば、何となく分かるが。

 俺たちは桃の作業を静かに見守る。

 「では、作りますね……」

 緊張した面持ちで、クッキーを作り始める。

 だが、少しずつ俺たちの表情は曇っていく。

 姫野は顔に手を当て、花澤たちは少し苦笑いをしている。

 まあ、予想はしていたがここまでとは。正直、料理をしない方が良いんじゃないかと思う。

 恐らく、先ほどのクッキーは姫野たちも手伝っていたのだろう。

 作業の一つ一つがとても危なっかしい。とてもじゃないが、料理とは言えない。

 「出来……ま……した……」

 最後の文字が聞き取れないぐらい、弱々しい声を出しながらクッキーみたいなものを差し出す。

 うむ。やはりまがまがしいな、これ。

 再びクッキーのようなものを口にする。

 やはり不味いな。

 「よし、桃。お前、料理を止めよう」

 「「それで、いいんですか!?」」

 俺の言葉に花澤と桃は突っ込んできたが、これはどうしようない事だ。

 う~ん。どうしたものか。

 「では、他の料理はどうかしら? クッキーが駄目でも他のなら行けるかもしれないわ」

 姫野は桃にそんな提案をする。

 確かにそれはそうだな。

 「じゃあ、親子丼作ってみろ。その次には牛丼と豚丼を」

 「全部、丼じゃないの……。それにそんな物、披露会で出せないわ」

 いや、他って言ったら丼しかないだろう……ありますね。

 「まずはケーキはどうかしら?」

 「クッキーよりレベル高くないですか……」

 何を作らせようか、俺たちは悩む。

 「じゃあ、シュークリームは?」

 「それはそれで無理があるだろう」

 霧島の案もすぐに無くなる。

 万事休すとはまさにこの事かと思い知らされる。

 「やっぱりクッキーしかないな」

 「そうね、他は無理そうね」

 「クッキーがお手軽ですよね」

 「俺もそう思うぜ」

 「僕も同感です」

 その様子を見た桃は拗ねていた。

 「いいですよ。どうせ、私は何も出来ませんから……」

 「別に出来ないとは言ってないだろう」

 俺の言葉に桃は少し驚いた表情を見せる。

 よし、食いついたな。

 「いいか。人生何事努力が必要だ。料理もそうだ」

 「それは、あなたに一番似合わない言葉だと思うのだけれど……」

 うるさいぞ、姫野。

 細かい事は良いんだと目線で姫野に送る。

 それを理解をした姫野は少し呆れた表情を見せ、俺の話に耳を傾ける。

 「とにかくだな、まだ時間があるんだし大丈夫だ」

 「でも、このままじゃ他が……」

 「他は気にするな。俺たちがやるから」

 俺はせめてもの慰めでそう言った。

 時間がないのは事実だし、他の仕事だってある。

 だが、桃は自分なりに一生懸命に頑張っている。

 俺らしくもないが、そんな奴を応援したくなった。

 「まあ、無理だったらそん時だ。それは気にするな」

 「はい!! 私、しっかり頑張ります!!」

 どうやら、ようやく元気を取り戻したようだ。

 こういうのは高城がやるべき事なのだがと思いながら、高城を見る。

 高城はそんな俺に笑顔で返してきた。

 「とはいえ、今日も時間だし……ここで終わりするぞ」

 「そうですね!! では、皆さん解散!!」

 ようやく、披露会準備二日目が終わった。

 まだ、これがしばらく続くと思うと、憂鬱でしかなかった。

 お~い俺の休息はどこに行ったんだ!?

 俺は心の中でそう嘆いた。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ