第七話『記憶と勝負』6
ダウト勝負は中盤に差し掛かっていた。
「「「…………」」」
みんな、ただ集中するために静かにしている。
俺も流石にここまで本気の勝負は初めてだ。
現在、俺の手札は八枚。茜は十五枚、優姫は七枚、高城は五枚だ。
そして、今置かれているトランプは十七枚。誰一人ダウトと言おうとしない。
この状況の場合は攻めない方が良策と言える。とはいえこのままでは高城が上がってしまう。
流石、ダウトをやりたいと言っただけあって、非常に上手い。だが、それもここで終わらせる。
「七です」
そう言い、優姫はトランプを置いた。ポーカーフェイスあってか全く動揺していない。
それに比べて茜は。この手のゲームは苦手なようだ。先ほどから目が泳いでいる。
まあ、今持っている手札が証拠だ。
さて、次は俺の番だ。
「八だ」
俺はトランプを置いた。今回は本当の八だ。
すると、少し動揺している人が隣にいる。高城だ。これはチャンスかもしれない。
だが、少し裏を読んでしまう。これは演技で、嘘なのではかと。これが、ダウトの怖い所である。
考えれば考えるほど分からなくなってしまう。一種の賭けだと言ってもよい。
「九だよ」
高城がトランプを重ねた。
これは賭けだ。やるしかない。
「ダウトだ!!」
俺は一か八か宣言した。
「ふっ」
高城が少し笑った。どうやら嘘じゃないようだ。
駄目だったか。
「やるね、杉山君。まさかここで宣言とは」
「じゃあ……」
「ああ」
そう答え、高城はトランプを裏返した。
その数は二だった。まさか嘘だったとは。
宣言したとは言え、意外だった。
「参ったね……。これはもうこうするしかないな」
「……!! お前、何してるんだ!?」
何と急に高城は服を脱ぎ、始めた。
俺と茜は非常に困惑している。ちなみに優姫はなぜか嬉しそうだった。
そうだ、こいつ変態だった。今、ようやくそれを思い出した。
「いや、だってこういう時は罰がないと!!」
「だからってな……」
やる事にも限度がある。このままでは茜たちも脱ぐはめになる。
「それに!! ここからルール追加!! 三ターン以内に誰かがダウトを宣言しなければじゃんけんで罰ゲームを決めることにする!!」
「「はぁ!?」」
茜とはもった。茜も納得出来ないらしい。
「それと……。もちろんダウト宣言した時は今みたいな罰があるよ!!」
こいつ、バカか。嫌だぞ、こんな所で脱ぐなんて。
「ふむ。我はここで……」
「おっと!! 途中退出は認めないよ!!」
マジですか。茜も今にも魂が抜けそうな顔をしている。
確かにこんな所で止めるわけにはいかないだろう。
「ごほん。じゃあ、再開しようか」
こいつ、これが目的か。
「じゅじゅ十!!」
茜は明らかに先ほどよりも手が震えている。
流石に可哀想だ。こんな所でダウトを宣言するわけにはいかない。
他の人も宣言しないようだ。高城はやる気満々である。
「十一です」
いつも通りトランプを置く。だが、今までより優姫は笑顔だった。
正常なのは俺と茜だけのようだ。
「十二だ」
流石に手札がもうやばい。
俺は窮地に立たされていた。
健闘虚しく、俺はダウト見破られた。
この後もこれを繰り返した。




