第五話『試練、そして少し変わる日常』3
「皆さん!! 間もなく大会が始まります!! それまで待合室でお待ち下さい」
大会司会者の声を聞き俺たちは待合室で居ることにした。
「……………。なあ、何か話さないか」
「そうは言われてもな」
残念ながら俺たちは普段話す事をほとんどしないのでもう話題がないのだ。
こういう時は読書か音楽を聴く事しかぼっちの俺にない。いつの間にぼっちって認めちゃってるし。
「ねぇ、ちょっといい?」
そんな悲しい沈黙を遮ったのは昼食中にもあまり口を開かなかった姫野だ。
「ああ、何だ?」
「そういえばどうして急にこの大食い大会に参加しようと思ったの、杉山?」
「いやぁ、それはだな……」
どうしよう。返しに困るな。ここには霧島がいるから呪いの事は話せないからな。
しょうがない、話題を変えよう。って話題が何もないんでした。
「でもどうしてそんな事聞くんだ?」
俺はこう切り出すしかなかった。
「それは明らかに変だったからよ」
その変って言うのは悪口にしか聞こえないのは気のせいですか。気のせいですよね。
俺は姫野が真面目な顔しているので今の考えを消去した。頼むからそんな真面目な顔をしないでくれ笑ってごまかせないじゃないか。
「変って例えばどこがだ?」
俺はいつもポーカーフェイスで特に変って思われる要素がない。
「歓迎会って二週間前から説明を受けてるでしょ?」
「そうだったか?」
「はぁ~……。まあいいわ。それでその時にこの大会の説明もあったのよ。でも杉山は説明があった時凄く嫌そうな顔をしていたわよ。」
なんだと……。ぼっちポーカーフェイスと言われている俺がそんな顔していたのか。っておい、ぼっちポーカーフェイスってなんだよ。自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
「俺はそんなに嫌そうな顔をしていたか?」
「ええ、こんな大会出てやるかくらいに」
普段自分滅びろ。ああもう話題すら変えられないぞ。ないから一緒か。
「と言うか俺の事見ていたのか」
「いや違うわよ。ぼっち臭がしっていたからたまたまそちらを見てしまっただけよ」
「そうですか」
そこまであっさり言われると流石に傷つく。
「それでどうして?」
上手い事言ってやっぱりごまかすしかない。
「入学してから俺、嫌われてるだろう」
「それは昔からでしょ」
「俺の中学生時代を悪く言うな」
まあほぼ合っているから否定は出来ない。
「まあ、なんて言うんだ……。名誉挽回だ!! そう、名誉挽回です!!」
大事な事なので二回言いました。
「まさかそれだけ理由で参加しようと思ったの?」
「ああ」
「はぁ~……」
自分はこんな事の為に参加しているのかとそう後悔しながら深いため息を姫野は吐いた。
しょうがないだろ、今は話せないんだから。とは言えこれでやる気を削いでしまったな。
「まあいいわ。退屈だったから少し楽しみ。でも私は小食だからね」
「ああ、分かっている。」
それは昼食で重々分かっている。でもあそこまで小食なのは驚いた。カレーの半分以上は俺が食べた。少し心配である。
「あの……。俺、忘れてない?」
「「あっ」」
しまった、すっかり忘れてた。霧島は少し寂しそうな顔している。
「でも二人がそんなに仲良しっていうのが分かってよかった」
「「はぁ?」」
今のどこを見てそんな事言えるんだ。俺はアイコンタクトで姫野に俺たち仲いいかと聞いた。
即座に姫野は首を横に振った。おい、少しくらい肯定しろよ。
「いやぁ、さっきから二人で話していたからさ。てっきり恋人同士かと思ったよ」
「「絶対に違うから」」
「そうか? さっきから息ぴったりだけど」
「こんなゴミクズ人間と一緒にしないで」
「それはこっちのセリフだ!! こんな雪女と一緒にして欲しくないな」
「やっぱり仲良しだね」
「「違うから!!」」
ガチャ。誰か扉を開けた音がした。
「あの~……。もう時間ですよ?」
「この続きはまた今度だ!!」
「そうね!!」
「じゃあ行こうか」
俺たちは待合室を出た。いよいよ午後の部が始まる。




