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第四話『願いと拒否』6

 水野と幸せのひと時を過ごした後、俺は参加者探し続けた。だが、絶賛ぼっち状態の俺と組んでくれる者は当然いるわけなく結局参加者は集まらなかった。精神的にも結構辛い。

 ある人は無視したり、またある人は哀れな目を俺に向けたり……もう引きこもるレベルまで来ているぞ。まあ慣れているから別にいいが。

 俺に呪いがある限り今の状況は変わらない。あれはたまたまだったんだ。リア充のような会話、リア充のような生活。どれも俺は憧れていた。だが俺にはそんなのは存在しないのだろう。俺は今日一日でそれを痛感してしまった。自分でも情けない話である。願いが叶えれない気がしてきた。

 完全に俺は意気消沈状態である。

 俺はただ一人で夕焼けが見える校舎の外へ出た。こうして見る夕焼けも悪くないな。まあそんな気分にはなれないが。

 「はぁ~……」

 俺は自分でも呆れるほどの深いため息を吐いてしまった。

 「相変わらず情けないため息ね」

 この声は!!

 「姫野か。どうしたんだ? まだ帰ってなかったのか?」

 「色々と先生の手伝いしていたのよ。まさかこんな時間になるとは思わなかったわ」

 意外と真面目なんだな。少し見直した。

 俺が少しやるなという顔を見せると冷酷な目で俺を見てきた。いやあ、やっぱり氷の女王だな。

 「それにしてもまさか杉山が残っているなんてね」

 「悪かったな、残ってて」

 相変わらず冷たさである。『杉山君と帰れて嬉しい』とか言ってくれないのかよ。自分で考えていて恥ずかしくなってきた。

 「その様子だとまだ参加者が集まってないようね」

 「別に問題ない」

 俺はつい反抗してしまった。

 「そうかしら? 今日は一段とキモイわよ」

 「俺の事どう思ってるんだよ」

 やっぱり分かってるみたいだな。気持ち悪さで判断して欲しくないが。

 「それよりどうなの? 集まってるの? 集まってないの?」

 「すいません、集まってません」

 その今にも凍え死ぬような言葉の言い方やめてくれ。怖いっていうレベルじゃないぞ。

 「やっぱりね。私、全て見てたから」

 「……!! もしかして水野との会話もか!?」

 「ええ、もちろん。まさかそういう趣味だとはねぇ……」

 「ごっごっ誤解だ。俺はけっけっ決してそういう趣味はない!!」

 「どうして少し動揺してのよ」

 姫野は呆れた顔で俺に話しかけている。

 「まぁいいわ。何か可哀想になってきたから助けてあげるわ」

 だったら最初から助けろ。後なぜ上から目線。

 「何をしてくれるんだ?」

 「出てあげるわ」

 「えっ」

 「だから、大食い大会に参加してやるって言ってるの!!」

 「案外優しいんだな」

 「当然よ!! 私はいつでも優しいわ」

 無自覚って罪だな。

 「もちろん、ただではないわ。後で何か奢ってね」

 ほら、やっぱりな。

 「杉山の願いを叶える為よ」

 お前の為だよ、チクショウ。

 「分かったよ。はい、これ参加用紙」

 姫野は紙を受け取るなりスラスラと申し込み用紙に書いていった。

 「これでよし。はい」

 「ああ」

 「じゃあ、また明日ね」

 「おい……!!」

 そう言い残し素早く去ってしまった。

 俺と一緒はそんなに嫌なのか。でもこれで参加出来る。

 いつもは酷い事ばかり言ってくる姫野もこういう時はいい奴だと分かった。ほんの少し暖かい気持ちになった。

 「さて、帰るか」

 俺は紙を片付けようとすると何か用紙にメモが挟まっている。

 『おごりはあの有名なパフェね。よろしく』

 あいつ。やっぱり姫野はいい奴ではない。俺はまだ彼女の事を何も分かっていなかった。

次回から第五話です。

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