第四話『願いと拒否』4
俺はいつも通りみんなの冷たい視線を浴びながら教室に入った。いつまでこのままなんだ。
さて、どうするかな。まずは一年生歓迎会はいつ開かれるかだな。
俺は鞄の中をあさり、資料を再び手に取った。
「どれどれ……。……!!」
歓迎会って明後日じゃないか!!もうちょっと早く頼んでくれよ。まあHRの時に聞いてなかった自分も悪いが。
確か参加人数は三人だったな。三人一組で出された料理を食べる。その食べた数がポイントとして加算される。そのポイントが高い上位四名が決勝ラウンドに進む。そして最後に出された物食べきれば優勝!!みんな、頑張れ!!
主催者上野遥。って上野先生かよ。何か嫌な予感がするんだが。変な物、出さないよな。
まあいいや。取り敢えず一通り理解出来たな。これが参加者申し込み用紙だな。まずは俺の名前を書いて。これでいいかな。
「おお!!杉山っち、何してるんだ?」
いつも通り爽やかな霧島が声をかけてきた。相変わらずリア充男子である。
「ああ、これか? これは歓迎会で開かれる大食い大会に参加しようと思って申し込み用紙に書いていたんだ」
っておい。あまりにも爽やかなもんだからつい全部話しちゃったよ。俺にもそのスキルをくれ。
「へぇ~。面白そうだな!! 確かに優勝したら一か月間食堂無料だもな!!」
まあ俺にとってはどうでもいいんだが。呪いを解除するためだ。
「なぁなぁ。まだ参加人数満たしてないよね? 俺も参加したいな」
それは君一人だよねの言い換えですか。そうですよね。なに、自分で傷口開いてんだ。
こいつには悪気なさそうだしな。丁度困ってたしいいか。
「ああ、まだ全然人集まってないしいいよ」
「いいのかい!! ありがとう、杉山っち!!」
「別に構わない。後なるべくなら呼び名を変えて欲しいんだが」
「じゃあ、ありがとう。また詳しく聞かせてね!!」
って無視かよ。呼び名の事はもういいか。
霧島はそう言い残した後自分の席に戻った。
さて、これであと一人。誰にするかな。まあ、相当絞られているんだが。
よし、まずはこの願いをした張本人。
俺は姫野の元に行った。
「お~い、姫野。あのさあ」
「却下」
「だからその」
「却下」
「あのなあ」
「却下」
「おい!! 俺まだ何も言ってないぞ」
何も言わないで拒否るとか相当傷つきますよ、姫野さん。
姫野は相変わらずぶっきらぼうである。
「どうせくだらない事でしょ? 気持ち悪いわよ、杉山」
「なあ、段々酷くなってないか」
一言目で気持ち悪いはないだろう。
「ふん。別にいつも通りよ」
「ああ、そうですか。ならもういいよ」
俺は諦めて姫野の元を去った。
「ちょっと……」
何か止められた気がしたがまあ気にしないでおこう。
それにしても張本人がやらないとなるとどうしようか。まあ優勝した後におごれば願いとしては問題ないか。
よし、次は花澤だな。
おっともうこんな時間か。続きは昼休みにしよう。
俺は自分の席に戻った。




