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第四話『願いと拒否』1

 ガラン。俺は休憩室にある自動販売機のミルクティーを買った。

 「ふぅ~……」

 俺は一人寂しく休憩室にある椅子に座ってミルクティーを飲んだ。

 あの濃い三日間から約一週間ちょっとが過ぎた。俺のクラスの男子は誤解は解けたものの嫉妬心から一向に話しかけられない。いや、一人除いてだな。ある人だけは妙に俺に話しかけてくる。

 また女子は変わらず警戒されている。姫野や花澤は俺に気を使っているのか最近はあまり話しかけてこない。俺としては他のところで気を使って欲しい。

 まあ言わなくても分かると思うが俺は現在ぼっち状態になりつつある。と言うか中学生時代大半そうだっだが。このままでは呪いを解くどころかまともに高校生活を送れないかもしれない。少し焦っているがまだ解決策が思い浮かばない。以前このような状態になった時は謝罪などして詫びていたが今は通用しないだろう。さて、次は謝罪どうするかな。いやいや、謝罪じゃ意味ないだろう。どうやら随分とぼっち状態になっているようだ。

 「はぁ~……」

 最近ため息が漏れるばかりである。俺の周り、二酸化炭素やばいんじゃないか。このままでは地球温暖化が進んでしまう。まあ本当はメタンガスがなくらない限り進み続けるだろうが。っておい。俺は環境を保護する人か。一人ボケ、一人ツッコミが俺の中で交わされていた。今はツッコミだけだが。

 何もしてないのに何か疲れてきた。まああの次の日もあまり休めなかったしな。

 「お~い!! 杉山っち一人か!!」

 そんな少し悲観していた俺に話しかけてくれたのは俺のクラスで唯一話す男子霧島哲きりしまてつだ。

 「ああ、そうだよ」

 なんで人は相手が一人だと分かっているのに一人かと聞くのだろうか。どう見たって一人だろう。昼休みに休憩室に来ているのは俺くらいだ。大抵の男子は娯楽室に行くだろう。

 「相変わらずぼっちを満喫してますな~!!」

 「ぼっちじゃない。今はそういう状況にあるだけ」

 霧島は俺よりも爽やかな顔立ちをしている。男子と仲良くもちろん女子ともな。完璧なリア充男子である。今もすごい笑顔で腹が立つ。俺は少し霧島を睨んだ。

 「まあ、そう怖い顔しないで。俺がいなかったら君は他のクラスからも嫌われたんだよ」

 「……。そうだったな。すまん」

 そう霧島はさっき言ったとおり男子と仲が良い。俺の嫌な噂を俺のクラスだけで留めてくれた。もし水野が知ってしまったら俺は死ぬところだった。つまり霧島には借りがある。まあでも何か企んでいるわけでもなく本当にいい奴だ。まさに女子の理想だ。やっぱり腹が立つ。

 「別にいいよ。全然気にしてないから」

 「なあ、どうして俺を助けてくれたんだ?」

 「そうだね……。君が何かに縛られていた気がしたんだ」

 「え?」

 どういうことだ。もしかして呪いについて何か知ってるのか。

 「冗談冗談。なんとなく君に興味があっただけなんだ」

 「そうか」

 なんだ、冗談かよ。ちょっと気になったじゃないか。

 「俺に対して興味を持つなんて霧島が初めてだ」

 「そうか?嬉しいな。これからもよろしくね、杉山っち!!」

 「まあ、その呼び方を許可した覚えはないがな」

 「相変わらずだね」

 そう言い霧島も自動販売機に近づきミルクティーを買った。

 『当たりだよ!!もう一つ選んでね』

 何だと。あの日からここで買っているが一度も当たった事がない。なのに一回で。

 「あはは、ラッキー」

 ラッキー過ぎだろう。くそ、ラブコメの神様め。俺には疫病神しか付かないぞ。ぼっち解消薬とかありませんかね。

 「もう一つはこれにしよう」

 そう言い霧島はマスカットジュースを選んだ。

 「ほら」

 俺は突如霧島に投げられたマスカットジュースを受け取った。

 「いいのか?」

 「うん。これで女子とかに渡して会話しなよ」

 やっぱり霧島は超いい奴だ。俺も呪いがなかったら霧島みたいに優しく出来たかもしれない。女子は急すぎるが。

 「ありがとう。じゃあ俺は先行くぞ」

 「うん。じゃあ後で」

 俺は霧島の爽やかな笑顔を見ながら休憩室を出た。

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