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第三話『ありえない現実と非休日』4

 「これで良いか、心?」

 俺は心が食べ残した分を食べながらそう尋ねた。

 「うん!! ありがとう、お兄たん❤」

 「ぶはぁ!!」

 「お兄ちゃん、大丈夫?」

 急に萌える言葉を言うな。いちいち警戒しなくてはならないじゃないか。

 「お兄たんとか言うな。マジで死んじゃうから」

 「そうなんだ。ごめんね、お兄たん❤」

 お前は確信犯か。その上目遣いでさらにやばい。これを聞いて萌えない人はいないだろう。あざと可愛いぞ。

 「にしてもお前食いすぎだ。もうお金が無くなるんだが」

 最近、肉食女子が多いのは本当のようだ。黒毛和牛のステーキに、神戸牛のステーキ、レアのステーキ……っってステーキばっかじゃないか。それと全部高いよ。まさに暴飲暴食とはこのことである。もちろんこころが飲んだのはジュースだが。それもやたら高かった。でも全て美味しかった。どうやら詐欺ではないようで安心した。

 「テヘへへ☆」

 それで許される妹キャラ心に少し腹が立つ。このままでは妹というものは兄を誘惑して利用するイメージが付いてしまう。

 「まぁ、取り敢えず楽しそうで良かった」

 「本当に楽しかったよ。ステーキも美味しかったし。特にジュースが!!」

 ジュースかよ。ちなみにジュースは確か五種類あり、オレンジ、アップル、ピーチ、マンゴ、マスカットだった。(こころは全て飲んだ)まあ確かに美味しかった。一杯300円は辛かったが。おにしても俺の好きなグレープジュースが無かった。マスカットがあってないのはおかしいだろうと抗議したかったが我慢した。

 「これで十分だよな?」

 「う~ん。食べ物は十分だけど、心のお願いはまだ沢山あるよ」

 「まだあるのか? どの位後あるんだ?」

 「う~ん……。分かんない」

 分かんないのかよ。しっかりしてくれ。

 「でもこころが満足するまでだと思うよ。心はまだ全然満足してない」

 「そうか……。まあ分かった。今度またお願い聞くよ」

 それが呪い解除の近道ならしょうがない。にしても酷である。神様は俺になんて罰を与えたんだ。

 「皆様!! もうご退場のお時間です。ありがとうございました」

 周りから盛大な拍手が広がった。もうこんな時間なのか。1時から始まり5時終了の食べ歩きツアーはもう終わりを告げていた。

 「じゃあ出るぞ、心。心……?」

 「お兄たん……。むにゃむにゃ……」

 って寝てるし。後お兄たんやめろ。寝顔の心はまさに天使だった。そのままでいてほしい。

 「お客様!! もう時間ですのでお願いします」

 「あっあっすいません」

 でもどうする?ああもうしょうがない。

 「おっお客様なんて大胆な……」

 「……!! 違いますよ!!」

 やべぇ。可愛い過ぎてお姫様抱っこしてしまった。急いで背中に背負って会場から出ていった。一瞬寒気がしたが気にしないでおこう。

 「ありがとうございました!!」

 その言葉を聞きながら俺はこころを背中に背負って走った。あぁ背中に何か柔らかいものが。いかんいかん。健全な男子にとってはたまらない一時でもあった。

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