第三話『ありえない現実と非休日』1
「うぅぅぅっ……」
俺は昨日の痛みに耐えながら、ベットから起きた。
俺は保健室から戻って来て教室に入ると、男子軍にぼこぼこにされた。(呪いと一緒にな)その後上野先生と姫野たちが戻ってきて、男子勢を説得してくれた。まあ、なるべくなら早めに来てほしかったが。だが男子どもはそういうわけではなくただ嫉妬していただけらしい。やっぱ嫉妬って怖いな。友達と書いて道連れと読む。そう、とばっちりだ。後は姫野と花澤はクラスの中でも1位2位を争うほど人気なようだ。(資料男子どもの手帳より)っておい。いつの間にグループ作ったの?みんなメル友なの?ありえないほどの団結力に俺は驚きしかなかった。とりあえず俺は精神的に重傷なわけだ。まだ痛いしな。
「はぁ~……」
俺は恒例のため息を漏らし一階へと降りた。
俺の家はあまり裕福でもないし貧乏でもない。普通の一軒家だ。家族構成は3人で俺は一人っ子だ。つまり朝起きると『おはよう、お兄ちゃん❤』的な展開はない。そもそも俺には呪いがあるし現実にそんな妹は存在しないはずだ。ないとは限らないからな。
「おはよう」
「……」
まあ今は両親どちらも海外出勤でいない。だから何の返答もないだろう。家では今孤独なのだ。
「とりあえずテレビでもつけるか」
一人で悲しくそう言いテレビをつけた。
「おはようございます。さて今日の天気は晴れです。デートにはちょうど良い日でしょう」
なんだ、この番組。世界中誰でもリア充じゃないぞ。少しは気を使って欲しい。まあテレビに八つ当たりしてもしょうがない。他の番組にしよ。
「今日はデートスポットを紹介したいと思います!!」
「お花見はぜひあの人と……」
チっ……。俺はただストレスが溜まっただけだった。第一呪いのせいだ。
「クソっ」
ドンっ。俺は机の角に足をぶつけた。また痛い所が増えた。とりあえず落ち着く。
「しょうがない。外に行くか」
俺は着替えて外に出た。まあとりあえず都心まで行くか。
俺はスマホで行きたいところ調べることにした。国立公園か。そこにするか。
少しでも気を休めよう。ちょうど東隠学園に近いしな。
俺は駅までゆっくりと歩いた。少しでも気を紛らそうとして走ると余計に悪化するからだ。少しトラウマになっている。
昔朝走って気を紛らしていたがある時怪我をして辞めた。
休日だしこれぐらいゆっくりでもいいだろう。早歩きもいい。いや辞めよう。
最近競歩の特集をしていた。案外走るより競歩の方が辛いらしい。ルールも厳しい。
はぁ~。相変わらず考える程暗くなっていくな。
こんな時に妹的な人がいれば……。
「杉山お兄ちゃん❤」
そう、こんな感じ。えっ。
俺の前に見覚えるのある人物が立っている。頭でも打ちましたか?
「ねぇ、お兄ちゃんってば」
「えぇぇぇっ!! 姫野!?」
どうやら俺には休日は存在しないらしい。突如現れた3次元の妹キャラ姫野に俺はただ絶望するしかなかった。俺に拒否権はない。