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第二話『多重なあいつの多重な事情』6

 「なるほどそういうことですか」

 俺は一通り花澤に呪いについて話した。

 「分かってくれたか?」

 「にわかに信じがたいですが、今杉山さんが嘘ついてるとは思えないので一応信じます」

 そりゃそうだよな。普通なら呪いって言っても相手にもされないな。だが少しは信じてくれたみたいだから良かった。

 「まあとりあえず俺と姫野は呪いを持っていて、姫野は時々変になるってことだけ理解してくれればいい」

 「ちょっと!! 変って何よ!!」

 「あれを変と言わずなんと言うんだ?」

 「異常と言ってもらえるかしら。他にはないでしょ」

 「それもほとんど変と同じ意味だから」

 ようやく人格が元に戻ったと思ったらこれだもんな。はぁ~。いいことないな。

 「あの~? とりあえず移動しませんか? このままだと風邪引いてしまいます」

 「そうだな」

 「それに……透けてますし……」

 ようやくそのことに気づき俺は顔が真っ赤になった。

 「すっすっすまん!!」

 「……!! この変態が!!!」

 「グホォ」

 花澤に言われて気づいた姫野に腹に頭突きをされた。あまり速すぎて避けれなかった。にしても頭突きって。

 「とりあえず保健室に行きましょうか」

 「ええ、そうね。杉山、あなたは後ろ向きながら歩きなさい!!」

 随分高難易度だな。

 「分かったよ」



 俺たちは急いで保健室に向かった。(俺は後ろ向いたままで)

 「とりあえずまずは着替えますから、杉山さんは外で待っていてください」

 花澤はそう言い、今にも爆発しそうなくらい強張った表情をしている姫野を連れて保健室に入っていった。移動してる途中も殺気がプンプンしていた。俺はなんとか姫野たちのほうを一切見ずにここまで来れた。我ながら頑張ったと思う。後ろ向きに関しては1位とれるじゃないか。まあないからどうでもいいことだ。

 「はぁ~……」

 俺は何度今日ため息をついただろうか。寿命が3時間くらい縮んだじゃないか。っておい少ないな。というくらい俺は疲れている。今は保健室には着替えをしている女子たちがいる。中学生時代の友達の友達に、

 『覗きはジョブである!!』

と言っていた俺いや友達がいたが、さすがにそいつでも俺と同じ状態だったらそんなことをする気力もないだろう。(ちなみに俺は変態ではない。そいつだけだ。)そりゃあ健全な男子なら見たくもなる。俺だって見たいという気持ちはあるが見る気はない。ぜっぜっ絶対ないからな。例え、姫野たちみたいにスタイル良くてもな。ほっほっ本当だからな。なんか自分で言っていて恥ずかしくなった。

 「お~い! まだか?」

 「後、もう少しです」

 「どんだけ見たいのよ!? この変態が」

 「別に見たいなんて言ってないだろう。時間がやばいんだよ」

 もう12時だ。さすがに長時間遅れるわけにはいかない。

 「もう大丈夫です」

 そう言い花澤が扉を開けた。

 「スペアの制服が保健室にあったのでそれを着ました」

 「……」

 様子を見た感じ先ほどよりは機嫌はいいみたいだな、花澤。

 「何よ。早く行くわよ」

 「ああ、そうだな」

 俺たちは保健室から出て、教室へと向かった。その途中で、

 「はぁ~。やっと見つけました」

 へとへとになった上野先生に見つかった。まずい。どうする。

 「あの、先生。実は……」

 「事情は姫野さんと花澤さんに聞くから、杉山さんは先教室に戻ってください」

 「先生? どうしてですか?」

 「あなたには仕事があります。だからお願いします」

 そこまでお願いされた断るわけにはいかない。

 「分かりましたよ」

 俺は渋々答えた。

 「ありがとう。でも気を付けてね」

 「どういうことですか?」

 「いいから早く」

 「では行きます」

 俺は一人で教室に向かった。



俺が教室に着くとただならぬ殺気を感じた。いったいどういうことだ。俺は恐る恐る教室に入った。

 「あの~。何かありました?」

 俺に対してみんな怖い目つきで見ていたのでそう聞いた。

 「やあ、杉山。お前ちょっと殴っていいか?」

 「えっ。どういうこと」

 「だからお前が姫野と花澤を池に落としあんなことやこんなことをやったから殴らせろ」

 「いや、根本的に勘違いしてるぞ。誤解だ」

 「そんなこと関係ねぇ。よくも俺たちの前でイチャイチャしてくれたな。

 「もう趣旨変わってきてませんか?」

 「うるせぇ!! みんなかかれ!!」

 「おお!!」

 いつの間に団結してんだよ。おい、女子もそんな死んだ魚を見るような目をしないで。

『砕け散れ、リア充』

 ここでお前もか!!痛い、痛い、痛あああぃぃぃ!!

 「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!」

 俺は激痛に耐えながら男子生徒にぼこぼこされた。ある者は蹴り、殴り、叩き付け本当に最悪だ。仕事ってこういうことかよ。

 俺は高校生活から二日目にしてクラスの男子を敵に回した。


 ああ、そうだ。あの時のことを訂正しよう。もう二度変えない。

 やっぱり今日は最低で最悪の日だ。



 

 

次回から第三話です。また更新が少し遅くなる可能性があります。

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