プロローグ『救世主と出会った日』
人は誰でも欠点を持っている。たとえどんな偉人だとしてもだ。
それは内面的なものだけでなく外見にも表れる。例えば勉強が出来ない、背が低い(男としては大変つらい)、空気が読めないなど数えきれないほどたくさんの欠点が世界には存在している。
完全無欠という言葉があるがそんなものはほぼありえないだろう。何度も言うが人には必ず欠点がある。アニメのキャラには完璧な人がいるがそれは嘘だ。絶対嘘だ。
何故なら皆が完璧であるとしたらそんなアニメは見ないからだ。話が逸れたきた。俺にももちろん欠点がある。
そう俺、杉山懸は呪いと言う欠点を持っている。その事を除けば俺はどこにでもいる高校生だ。(自分で言うのも変だが。)
ちなみに俺の呪いは『ラブコメが出来ない』というものだ。そんなの呪いといえるのかと言ってくるものもいるかもしれないが、俺にとっては重大なことであり本当に最悪である。
何故なら、それは青春を送れないということになる。アニメであるあんなことやこんなことが出来ないのだ。俺は中二病ではないからな。
十代前半の俺はとてもじゃないが我慢出来ない。ストレスがとんでもない程ある。
今でもこんな呪いを与えた神様に訴えたいぐらいだ。もちろん自分なりには抵抗した。
だが、誰が判定しているのかは分からないが、ラブコメをしていると俺が思うと(いや思わなくても)突如天罰のように俺の脳内にありえないほどの激痛が襲う。俺が中学生だった頃、四六時中どんな時でも呪いは発動した。
そのせいで男子には嫌われてしまった。もちろん女子にもだ。つまり今俺は絶賛ぼっちである。だが今だけだ。いつか誰かが救いの手を差し伸べてくれるだろう。まあそんな都合のいい人が存在するわけないが。
だがもういいのだ。高校生になった今少し諦め気味になっている。自分はそういう人間なのだ。なんか某バラエティのあの人みたいになってるな。今は開き直りたい。
そんな俺が自暴自棄になりつつある時とある出来事が起こる。高校生になった今だ。
今俺の前には一人の美少女が立っている。俺は美少女とぶつかったのだ。こんなのありえない。
いかにも定番なシチュエーションだ。こういうので青春は始まっていくのだろう。俺にはそんなの存在しないがな。呪いがある限り。
また呪いが発生し青春はぶち壊れる。
「……あれ?」
何も起こらんぞ。いつものように呪いが発動するはずが発動しなかった。
俺は驚きのあまり何もしゃべる事が出来なかった。俺のキャパシティを超えていた。どうして今?どうして今更?こんなこと初めてだった。
俺はただ状況が理解出来ず座っているだけだった。そんな俺を無視するように美少女が口を開いた。
「ねえ、あなたも呪いの持ち主何でしょ? 呪いを解きたかったら私の人格全てと付き合ってハッピーエンドにしなさい!!」
俺は耳を疑った。え、どういうこと?
俺は何か雑音が入ったのかと思った。念のためもう一度聞いておく。
「ごめん。今なんて?」
「だから呪いを解くために私と付き合いなさい!!」
「はぁ!?」
俺はただ唖然としていた。付き合って?付き合って!?
突如現れた美少女救世主をただ見つめる事しか出来なかった。
俺は大変な日常を歩もうとしている。
はぁ~……。意味分かんないな。