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閑話:アレックス

アレックス


「あ、アレックスさん。こんにちは」

俺が馬車の準備をしていると、エリスちゃんが声をかけてきた。隣に少年がいる。エリスちゃんが友達を連れてくるなんて珍しいな。

「おや。エリスちゃんその人は誰だい?」


「この人は、ユウキだよ。私のお友達。馬車に乗りたいんだって」

ユウキ、か。珍しい名前だな。俺のことを見ている。少し間があってからユウキが挨拶をしてきた。

「あ、始めまして。ユウキです。カザミ・ユウキ。よろしくお願います」

丁寧な口調だった。いいやつなのかもしれない。

ユウキは、馬車に乗りたいと言うことだったがお金が無いそうだ。まぁ、ギルドで稼いだらもらえばいいか。

3時間ほど馬車を走らせると、スライムのPTに遭遇した。

スライムは一番雑魚のEランクの魔物だから、何も慌てることは無い。馬車に被害が出ないようにしながら、ゆっくり討伐するか。と、その時ユウキが声をかけてきた。

「アレックスさん。もうついたんですか?」

ユウキは冒険者になりたいんだったな。魔物を見せておいた方がいいかもな。

「違うぜ。魔物だよ魔物。お前も来るか?」


「行きまーす」

ためらわない・・・・・・か。冒険者の資質はあるかもな。

「ユウキ。これが魔物だ。みるのは初めてだろう?」


「はい。初めてです」

魔物をじっくり見ている。俺のときもそうだったな、鑑定スキルでも持っているのか?


「アレックスさん。俺にやらせてくれないか?」

ほう。いい度胸だ。やらせてみようじゃないか。危なくなったら助ければいいだろう。だが魔法に当たると即死する可能性があるな・・・・・・

「あぁ、いいぞ。これ使え。でも、魔法に当たるなよ」

ユウキに小型ナイフを渡してやる。

「じゃぁ、行って来ます」

ユウキがスライムに近づく。と、いきなりレッド・スライムが放った火魔法がユウキに直撃した。

助けに走り出そうとした時、火が消えて無傷のユウキがあらわになった。

何だあいつは・・・・・・火魔法をくらって無傷・・・・・・あいつは防具は何も着てねぇし・・・・・・だとしたらスキルか?

だが、耐性スキルを習得するには属性攻撃を受けつづけなきゃいけないはずだ・・・・・・本当に何者なんだ?

そう考えているうちにユウキが魔物を全て討伐してしまった。あのナイフさばきは剣術スキルだな・・・・・・

「おい、お前さん、すげぇな。初めての魔物討伐だろ?強くないか?」

驚いてそれだけしか言えなかった・・・・・・

その後は、魔物に遭遇せず無事に王都へつけた。

俺はユウキのギルド登録に付き合うことにした。ギルド登録水晶に触って、ギルドカードを取り出したレベッカは部屋を出て行ってしまった。

「アレックスさん。レベッカさんはどこに行ったんでしょう?」

ユウキが聞いてくる。登録の途中でどこかへ行くと言うことは、ギルドカードに何か問題がある時のはずだ。

ユウキは犯罪者なのか?とてもそんな風には見えない・・・・・・だが、強かったことには納得がいく・・・・・・

「さぁ?お前何かしたか?」


「ハハハ。俺は何もしてませんよ・・・・・・」

言い方が嘘っぽい・・・・・・ユウキは犯罪者なのだろうか・・・・・・

10分ほどでレベッカが戻ってきた。ギルドマスターを連れて。

ユウキ・・・・・・本当に何をしたんだ・・・・・・

「―――貴方には王宮へ行ってもらいます」

ギルドマスターの命令だった。ギルドに入った以上は逆らえない。だが、俺の知るギルドマスターはそんな権限を使うことは無かったはずだ。王宮に、だから陛下に命令されたのだろう。

ユウキの知り合いと言うことで、俺も馬車に乗せられ、王宮に連れて行かれた。

ユウキを拘束しなかったので、犯罪者ではないということが分かり、ホッとした。

王宮についた後、すぐに謁見の間へ連れて行かれた。

やはり、陛下がユウキを呼び出したらしい。

連れてこられた理由は固有スキル3つもあり、そしてその全てがユニークスキルだかららしい。

固有スキルは普通は、無しか1つで、稀に2つある人物がいると言うが、3つもあるというのは初めて聞いた。

そして、その全てがユニークスキルらしい。ユニークスキルを持つものは少ないが存在する。だが、ユニークスキルを3つも持っていることは驚きだ・・・・・・本当に何者だユウキは・・・・・・

「して、ユウキ。君はどこから来たのかね?」

陛下がユウキに聞いた。ユウキはどこから来たのだろう。エリスちゃんと一緒にいたと言うことはあの村のものなのだろうか。だが、村では一度も見かけなかったはずだ。

「言っても信じないでしょうが、異世界から来ました」

と、ユウキは答えた。異世界・・・・・・10年程前、異世界から勇者を召喚したと聞いたことがある。ユウキはその異世界から来たのだろうか。だとしたら、あの強さにも納得できる。

だが、近衛騎士隊長によると召喚はおこなっていないらしい。王宮魔術師まで分からないとなると・・・・・・

陛下は、この件は詳しいことが分かるまで保留にするという判断を下した。

「あ、あの。俺は元の世界に帰れるのでしょうか?」

やはりユウキは元の世界に返りたいのだろう。

「わしは分からんが、後で王宮魔術師と話しをすれば分かるだろう」


「分かりました。では、ユウキ殿ついて来てください」

ユウキは王宮魔術師について、謁見の間を出ていったので俺もついていこうとしたら、陛下に呼び止められた。

「アレックス、だったかな。君はここに残りたまえ」

謁見の間の扉が閉まるのを確認してから、陛下は口を開いた。

「アレックス。君はこれからどうするつもりかね?」


「どう、と言いますと?」


「君は、これからユウキと共に行動するかね?」


「はい。ですが、3日ぐらいで別れようと思っております。」


「ふむ・・・・・・ユウキとは明日で別れなさい」


「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「理由は・・・・・・今は教えられない」


「そうですか・・・・・・分かりました。明日のうちに必要なことは全て教え、ユウキと別れることにします」


「それがいい。さて、君はユウキを迎えに行くといい。王宮魔術師の部屋は、階段2階を上がった所にある」

俺はギルドマスターに、ユウキに渡してほしいと言われ、ギルドカードをもらい王宮魔術師の部屋へ向かった。

部屋の前についたが、まだ話しているようなので扉の前で待っておくことにした。その間、ユウキのギルドカードを見てみる。


名前:ユウキ・カザマ

レベル:6

スキル:『料理Lv2』『治癒魔法Lv1』『剣術Lv45』『身体強化Lv3』『火魔法Lv17』『水魔法Lv2』『光魔法Lv2』『毒魔法Lv2』『打撃耐性Lv18』『精霊術Lv15』『精霊契約Lv19』『火の魔術師Lv12』『全属性耐性Lv7』

固有スキル:『覗きの魔眼Lv2』『異世界の物Lv1』『Rスキルコピー』

ギルドランク:E


ありえない。俺はそう思った。スキルの量が多すぎるし、そのスキルのレベルが高すぎる。

と、いきなりユウキのスキルが変わった。


名前:ユウキ・カザマ

レベル:6

スキル:『料理Lv2』『剣術Lv45』『身体強化Lv3』『打撃耐性Lv18』『精霊術Lv15』『精霊契約Lv19』『火の魔術師Lv12』『全属性耐性Lv15』『全属性魔法Lv29』『無属性魔法Lv19』『空間魔法Lv15』『百発百中』

固有スキル:『覗きの魔眼Lv2』『異世界の物Lv1』『Rスキルコピー』

ギルドランク:E


ギルドカードは自動に更新されるので、レベルが上がったりスキルが増えたりすることはあるが、この変わり

様はおかしかった。やはり、ユウキが異世界から着たのと何か関係があるのかもしれない。それとも、この固

有スキルのせいだろうか。

そう考えているうちに、ユウキが部屋を出て来て俺に、待たせてすいません、と謝った。

「いや、いいって。それよりお前。異世界人だったんだな。あ、そうだこれ。ギルドカード無くさないようにってギルドマスターが言っていたな。金はいらないそうだ」

といって、ユウキにギルドカードを渡す。

「お前。これからどうするつもりだ?」


「俺は、ギルドで依頼を受けて、レベルを上げようかと思っています」

そうか・・・・・・明日までに達成できる依頼だったら良いんだが・・・・・・

「そうか。なら俺も一緒にに付き合ってやるよ」


「え、でも、馬車とかはいいんですか?」


「いいんだよ。ずっとお前といるわけじゃないし」

明日には別れろと、陛下が言ってるしな。

「そうですか。ありがとうございます」

俺とユウキは宿を借りて、明日依頼を受けることにした。



「おい!起きろー!」

俺はユウキを起こす。くそ、寝過ごしてしまった。今日はやることがたくさんあるって言うのに。畜生!

「もうちょっと優しく起こしてくれてもいいのに」


「うるさい。今何時だと思っているのだ」

自分も寝過ごしてしまったので、人のことは言えないがこれもユウキのためだ。

ユウキは自分の腕にはめている『何か』を見る・・・・・・何だあれ?・・・・・・時計か?

「うぉ。何だその時計。もしかして、お前の世界のものか?」


「アレックスさんにも上げましょうか?」

に持って事は、エリスちゃんにでも上げたのかな?いいよ、と言おうとした時ユウキの前が光った。

ユウキはその光に手を突っ込み、中からユウキと同じ形の時計を取り出した。

「はい」

取り出した時計を俺に渡す・・・・・・はい。じゃねぇよ・・・・・・!

「はい。じゃねぇよ。何だよその魔法」


「ひ・み・つ」

ピキッ俺の額に青筋が浮かぶ。こんな珍しい時計、売れば高く売れるだろう。

「うぜぇ!そうだ。お前、金が無いとか言ってたけどこれ売ればいいんじゃねぇか?」


「後で時計屋行きましょう」


「おう。それでお前の借金が返せるな」

借金って言っても、銅貨5枚なのだけど。

「まずは腹ごしらえしましょう。あ、でもそのまえに時計屋行きましょう。今日は俺が奢る」


「それはいいな。名案だ」

ご飯代で銅貨5枚ぐらい奢ってくれれば借金はなくなるからな。

俺は、ユウキを案内して王都でいちばん有名な時計屋に連れて行った。

行く途中ユウキは、腕時計とやらを10個召喚した。時計屋のオヤジは腕時計10個を白金貨20枚で買うと言っ

た。最初は耳を疑ったが、ユウキによるとこの腕時計はソーラー電池というもので動いているらしい。動力は

光だそうだ。普通の時計は魔力が動力なので魔術が使えないものには持っていても意味が無い品だ。

だが、その動力が光となれば、お金がある人ならば誰でも持てるようになるだろう。異世界とは凄い所なんだ

な・・・・・・まぁ、オヤジがこの値段で買うと言うことは、これの倍以上の価値があるのだろう。まぁ、これで俺

と別れても金に困ることは無いだろう。


その後、ユウキにドラゴンの血と肉という豪華食べ物を奢ってもらった。いつかは食べてみたいと思っていた

が、こんなに早く食べれるとは思わなかった。ユウキに感謝。


レストランを出て、ギルドへ行った。

俺は依頼を今日中に終わらせようと、依頼ランクAのオーガ討伐をユウキに薦めたが、ユウキはSランクの火

属性ドラゴンの討伐を受けてしまった。今日食べたドラゴンが美味しかったからだろうか・・・・・・?

ドラゴンは、普通ギルドランクB以上の冒険者が10人以上いるPTがやっと倒せる強さである。

いくらユウキのスキルが強くても、2人で倒すのは無理だろう。まぁ、討伐が無理だとしても依頼の体験にはな

るから、今日中に分かられるだろう。

だがこの時のアレックスは、違う形でユウキと別れることになるとは知らなかった。

ユウキが、依頼を受けるとすぐに討伐しに行こうと言った。

だが、ユウキは防具も武器も身につけてはいなかった。ユウキはいらないと言ったが、ドラゴンの攻撃は下手

をすると一撃受けるだけで即死する可能性があるので、これだけは譲れなかった。


防具屋へ行ったユウキは、1番性能の高いやつを買うと言った。お金がもったいなくて防具がいらないと言った

んじゃなかったのか??と、ユウキに突っ込みを入れた。

防具屋のオヤジが、持って来た防具はドラゴンの鱗製の防具だった。この防具をつけている限り、ドラゴンの

攻撃を受けても、一撃でHPが4分の1以上減ることは無いだろう。ドラゴンの鱗製の防具・・・・・・いいなぁ、

俺より性能いいじゃねぇか。

ユウキはその防具を、金貨10枚とお買い得な値段で買った。普通は金貨15枚する代物だ。


防具屋を出て武器屋へ向かおうとするとユウキが声をかけてきた。

「なぁ、アレックス。このお金どうにかならないのか?」

その疑問はそうだろう。そんな大金持って歩くのは怖いだろう。

アレックスはそう解釈したが、ユウキは重たくて邪魔だと思っているだけだった・・・・・・

「普通はそんな大金持って歩かないからな・・・・・・確かお前、空間魔法使えたよな?」


「何で知っているんだ?」

そりゃぁ、知っているに決まっている。ギルドカードに表示されていたスキルが大幅に変わったんだからな。

「ギルドマスターからお前のギルドカードもらったんだけど、お前の所に行く途中で、いきなりスキルが増えて驚いたから、今も覚えている」


「スキルはあるし、使えるんだと思うけど、俺は1回も使ったことが無い」

おいおい。どういう事だ?

「じゃあ、どうやってあんなにスキルレベルが高かったんだ?もしかしてお前の固有スキルか?」


「うん。まぁ、そういうことにしといて」

どこまで規格外なやつなんだ。精霊術とかも持っていた気がする・・・・・・

「お前って本当に・・・・・・凄いよな。他のスキルレベルだって俺よか高かったし、習得が難しいっていわれてるスキルもあったよな」


「ま、まぁ」


「それで空間魔法が使えたら何なんだ?」


「俺の知り合いが使っていたのは、空間に穴をあけてそこに物をしまうんだとさ。討伐した魔物を入れてたりしてたな。時間が止まっているらしくて、腐らないんだ」

俺の知り合いと言うのは、王宮魔術師だ。昔一緒にPTを組んで戦っていた。まぁ、意見が分かれて別れてしまったが。

「俺にもできるのかな?」

スキルがあるなら出来るはずだ・・・・・・まぁ、普通は習得したらスキルがあらわれるんだがな・・・・・・

「俺は魔法使えないけど、スキルがあったら出来るんじゃないか?」


「出来るんですか?じゃぁ、やって見ます」

王宮魔術師も1ヶ月ずっとそれだけ練習をしてやっと出来た魔法だから、ユウキもすぐには出来ないだろう。

出来なかったら、励ましてやるか・・・・・・そう思っていたら、ユウキの目の前に黒い空間が現れた。

その中に、ユウキのポケットに入っていたお金が吸い込まれていく。

マジか・・・・・・だが、ユウキはこれより凄いことも出来るのだろう。こんなことでは驚かないようにしなければ。

「もう俺は驚かねぇ」


「よし。じゃぁ、武器屋に行こう」

武器は何がいいだろうか・・・・・・剣術と魔法が使えるのだから・・・・・・魔法剣でいいかな・・・・・・たしか、魔法の威力が増える剣があったはず・・・・・・




第5話にするか、閑話にするか迷いましたが、結局、閑話にしました。

この間話は、アレックス視点です。こういうのは初めてなのでうまくかけたかは分かりませんが・・・・・・

作者の励みになりますので、感想や、評価を入れてくれたら嬉しいです。

登場人物の希望や登場人物の名前、こんなスキルがあったらいいな、とかも、お待ちしております。希望等の物は、作者に直接メールで送っていただければ嬉しいです。

変な文章や表現・誤字・脱字があれば、遠慮無く指摘してください。

武器屋の親父の名前・・・・・・決まらない><


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