2:アレックス
昨日の男との戦いの夢を見て、目が覚めた。
「あぁ、やっぱり昨日の事は夢じゃなかったのか」
そんなつぶやきが、俺の口からもれる。
ゆっくりと上半身を起こす。と・・・・・・なんでエリスが俺の横で寝てるんだ?
「お~い。起きろ~」
俺は、エリスの肩をそっと揺らす。
「んぁ。ママ」
エリスが目を覚ました。
こっちを見ている。
頬の色が徐々に赤くなっていく。
一気にエリスは、ベッドから降りた。
「えっと、何で俺の横で寝てたの?」
「この家に、ベッドが1つしかないから」
「あっ。そうだったのか。ごめん」
「いいの。あ、ご飯食べるでしょ?昨日は何も食べていないもんね。
「あぁ、ありがとう。王都へ行く馬車は何時に出るの?」
「12時だよ。時計は村の真中に1つしかないから、後で一緒に見に行きましょう」
エリスによると、時計は高級品で高いそうだ。
俺は時計がほしかったので、腕時計を召喚することにした。
俺の固有スキル。『異世界の物』を発動し、腕時計をイメージする。俺の目の前が光だし、光の中に腕時計が出現した。俺がそれを取ると、光は消えた。
「な、何?今の」
「えっと、これは、腕時計というもので。これを出現させたのは、俺の固有スキルだよ」
「へぇ、これが腕時計というものなんだ。」
エリスは、俺の腕にはめてある腕時計を見る。
「1個あげようか?」
「えっ?そんな。こんなに小さい時計なんて、王都でも無いのに。高いでしょう?」
「いやいいって。ほら、あげるよ」
俺はそう言って、腕時計をもう1個召喚する。俺は、エリスの腕に時計をつけてあげる。
「わぁ。ありがとうございます」
「いいって」
俺は、エリスの作ってくれたご飯を食べ、それから村を見て回ることにした。
俺は、色々とエリスに案内された後、馬車が出る場所へ向かった。
「あ、アレックスさん。こんにちは」
「おや。エリスちゃんその人は誰だい?」
「この人は、ユウキだよ。私のお友達。馬車に乗りたいんだって」
エリスは、馬車の準備をしていた男に声をかける。無精ひげを生やしている。
んーと。どれどれ。『覗きの魔眼』を発動してステータスを覗く。
名前:アレックス・ソンパー
レベル:20
HP:11000/11000
MP:1200/1200
スキル:『剣術Lv4』『馬術Lv3』
固有スキル:『身体強化Lv3』
備考:ギルドランクB
ん?すごい。身体強化に剣術か。ほしいな。コピーコピーと。『スキルコピー』を発動させ、『剣術Lv4』と『身体強化Lv3』をコピーする。
ギルドランクって何だ?
「あ、始めまして。ユウキです。カザミ・ユウキ。よろしくお願います」
「あぁ、よろしく。俺は、アレックスだ」
俺は、エリスに聞く。
「なぁ、ギルドランクって何だ?」
「えっと、私もよく知らないんだけど、ギルドに入って、依頼を受けていくとランクが上がっていくの。一番低いのがEランク。そして一番高いのがSSランク。魔物と一緒よ」
「へぇ。それって俺も入れるのか?」
「たぶん。お金さえ払えば誰でも入れるはずだよ。詳しいことはアレックスに聞いてね。私もう行かなくちゃ。これから、市場で夜ご飯の材料買わなきゃいけないし」
じゃぁね。と、エリスは手を振りながら走っていってしまった。
「アレックスさん。馬車に乗るのはお金要ります?」
「もちろんいるけど、見たところ、君はお金を持っていないように見えるし、王都で稼いでからはらってくれればいいよ」
なんて優しい人なんだ。
「ありがとうございます」
ゴトゴトと馬車に揺られ走ること3時間。馬車が止まった。もうついたんだろうか?
「アレックスさん。もうついたんですか?」
御者をしているアレックスに聞いてみる。
「違うぜ。魔物だよ魔物。お前も来るか?」
ん~。どうしよ・・・・・・魔物見て見たいし行ってみよっかな。
「行きまーす」
俺はそうアレックスに向かって言った。馬車を降り、アレックスの所へ向かう。
「ユウキ。これが魔物だ。みるのは初めてだろ?」
スライムだった。ザコキャラスライムだった。赤色・水色・黄色・紫色と、それぞれ2体ずついる。
「はい。初めてです」
ムヨムヨ動いて気持ち悪い。
一応『覗きの魔眼』を発動させてステータスを見る。
名前:レッド・スライム
レベル:4
HP:140/140
MP:200/200
スキル:『火耐性Lv2』
固有スキル:『火魔法Lv2』
名前:ブルー・スライム
レベル:5
HP:200/200
MP:250/250
スキル:『水耐性Lv2』
固有スキル:『水魔法Lv2』
名前:イエロー・スライム
レベル:5
HP:400/400
MP:420/420
スキル:『光耐性Lv2』『治癒魔法Lv3』
固有スキル:『光魔法Lv2』
名前:パープル・スライム
レベル:6
HP:100/100
MP:500/500
スキル:『毒耐性Lv3』
固有スキル:『毒魔法Lv2』
全員俺よりレベル高いじゃねぇか。全てのスキルと固有スキルをコピーしておいた。
「アレックスさん。俺にやらせてくれないか?」
「あぁ、いいぞ。これ使え。でも、魔法に当たるなよ」
と言って、小型ナイフを渡してくれた。
「じゃぁ、行って来ます」
俺は、遠足にでも行くように言うと、スライムへと歩いていった。
いきなり赤いやつ(レッド・スライム)が火魔法を放ってきた。いきなりのことで避けれなかった。
俺の腹に火魔法が直撃し、後ろにいるアレックスが大丈夫か?と叫ぶ。問題ないと、叫び返しておく。
いやぁ、火耐性コピーしといて良かった。
赤いやつも、魔法が直撃したのにダメージを与えられなかったので、首をかしげている。首がどこか分からないけど。
まず、赤いやつをナイフで切る。1発で死んだ。弱いなこいつ。もう1匹の赤い奴も倒し、青いやつ(ブルー・スライム)が、魔法を放ってくる前に、2匹とも切る。ん~弱すぎじゃね?つまらん。
黄色いやつ(イエロー・スライム)が放ってくる光魔法をかわしナイフで刺す。もう1匹も刺す。
紫色のやつ(パープル・スライム)もナイフで2匹いっぺんに切る。『剣術Lv4』のおかげだろうか。ナイフが思い通りに動く。終わった。楽勝でした。
一応自分のスキルを見ておく。どれどれ。
名前:ユウキ・カザマ
レベル:6
HP:7500/7500
MP:34000/34000
スキル:『料理Lv2』『治癒魔法Lv1』『剣術Lv4』『身体強化Lv3』『火耐性Lv2』『火魔法Lv2』『水耐性Lv2』『水魔法Lv2』『光耐性Lv2』『光魔法Lv2』『毒魔法Lv2』『毒耐性Lv3』
固有スキル:『覗きの魔眼Lv2』『異世界の物Lv1』『Rスキルコピー』
レベルが6に上がってる。やったね。同じ魔法は複数入らないのか・・・・・・『覗きの魔眼』がレベル2になってるな。『スキルコピー』は、Rがついたか・・・・・・レアってことか?どれどれ。
『覗きの魔眼』
説明:【見る】ための魔眼。レベルが上がるごとに見えるものが多くなっていく。
開放済み:Lv1『生物のステータス・隠蔽』Lv2『物のステータス』
物のステータスか・・・・・・
『スキルコピー』
説明:対象のスキルをコピーできる。コピー制限は存在しない。
開放済み:R『同じスキルの場合、経験値をプラスする』
ほぉ、同じスキルの合計経験値になるのか。いいなこれ。
「おい、お前さん、すげぇな。初めての魔物討伐だろ?強くないか?」
「そんなこと無いよ」
『Rスキルコピー』のことは言わないでおこう。チートすぎるスキルだ。
「将来良い冒険者になれるぜ。ギルド登録するんだろ?」
「えぇ、まぁ」
その後は、何のトラブルにもあわず、無事に王都へたどり着いた。
入ってみた感想は、都会だな。うん。都会だねぇ。人が行き来している。賑やかだわぁ。
「さて、ユウキは、ギルドに行くんだろ?俺も付いていってやるよ」
「ありがとうございます」
なんていい人なんだろう。
5分ほど歩き、【冒険者ギルド】と書かれた看板がのっている石造りの建物に着いた。
「ここだ。ここが冒険者ギルド。さぁ中に入れ」
アレックスにせかされ、俺は建物の中に入る。
筋骨隆々なマッチョな人たちがたくさんいる。なんか怖い。
奥の受付らしき所まで、アレックスに連れて行かれた。
「あら。アレックスさんではありませんか」
受付に座っているお姉ちゃんがアレックスに挨拶をする。
「久しぶりだな。レベッカ」
本当はここで『覗きの魔眼』を発動する所だが、相手が女性なのでやめておく。
「そちらの連れは誰?」
「あぁ、こいつか?こいつは、ユウキと言ってな。ギルド登録しに来たやつだ」
「あら。そうなのですか。登録でしたらこちらへ来てください」
と、レベッカさんに奥の部屋へ連れて行かれる。
「さてと、登録でしたね。この水晶に触れてください。名前、レベル・スキルをカードに記憶させますので」
「えっ?スキルもですか?」
やばいかもしれない。こんなスキルを持っているとばれたら・・・・・・
「そうですよ。そうしないとギルドに登録できませんよ?」
「分かりました」
俺は、あきらめて、水晶に触れる事にした。その前にレベルの上がった『覗きの魔眼』でステータスをチェックだ。
名前:神器・ギルド登録の水晶
効果:触れたもののステータスをギルドカードに記録する。
耐久度:*****/*****
なんだ?耐久度が見えない。神器だから無いってことか?
まぁいいや。触ろ。
触った途端、水晶が光りすぐにおさまった。
「はい終了です。もう手を離してもいいですよ」
そういいながら、レベッカは水晶から出てきたカードを取る。
「はい。貴方の名前は、ユウキ・カザマ。レベルは6。スキルは・・・・・・・・・・・・」
いいかけて、止まった。
「少々お待ちください」
そう言って、レベッカは部屋を出た。
「アレックスさん。レベッカさんはどこに行ったんでしょう?」
「さぁ?お前何かしたか?」
「ハハハ。俺は何もしてませんよ・・・・・・」
1つだけ心当たりはある。あのスキルだ。困ったな・・・・・・
待つこと10分。レベッカは帰ってきた。1人の男をつれて。
「始めまして。私はギルドマスターのゲイリックです。ユウキ君。貴方には王宮へ行ってもらいます」
有無も言わさぬ口調だった
「ハ?」
第2話。どうでしたでしょうか?面白かったのなら嬉しいです。
感想や、評価を入れてくれたら嬉しいです。登場人物の希望や登場人物の名前、こんなスキルがあったらいいな、とかも、お待ちしております。希望等の物は、作者に直接メールで送っていただければ嬉しいです。
変な文章や表現があれば、遠慮なくご指摘ください。