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1:異世界

『何でだよ・・・・・・何でこうなるんだ・・・・・・』俺は、父さんを探すため旅に出た。母さんが止めたのにもかかわらず、父さんが残していった武器ヴァイオリンと今まで貯めたわずかなお小遣いを持って、俺は家を出た。俺は自惚れていたのだ、自分の力に。子どもの頃からの練習と努力で手に入れた力。それは誰よりも強いと思っていた。俺は家を出たとたん1人の男に襲われた。そいつはハーモニカの使い手だった・・・・・・


「おい。お前、風見悠木だろ」

家を出て角を曲がった所で、黒ずくめの男に声をかけられた。その男は、いかにも悪者という顔をした奴だった。

「だったら何なんですか?」


「そう邪険にしなさんなって」


そう言って男は、コートのポケットから銀色のハーモニカを取り出した。

「―――ッ」

ハーモニカ。それは武器なのだ。それを取り出すと言うことは――――

「なぁ、お前さ、あの有名な『救世主』の息子なんだろ。だったら俺と勝負しろや」


「な、何でですか?」


「まぁ、俺の仕事はお前の暗殺なんだわ。だが何もしてこない相手を殺しても面白くねぇだろ?だから、その武器を構えるの待っといてやるよ」

暗殺。それは、俺を殺す、と言う意味だ。これはやばい。俺はそう思った。男は戦いなれしているだろう。

俺はどれだけ練習しようと、それはただの稽古であって実際の戦いはこれが初めてだ。

だが、俺はその時負ける気はしなかったのだ。1日何時間も練習をしたのだ、こんな男に分けるはずがない、と。

男から目を離さないようにして、背中に背負っていたヴァイオリンのケースを地面に置く。ケースを開けて、弓を取り出す。今日の朝も練習をしたため、松脂をぬる必要はない。弓を張り、ヴァイオリンを取り出し肩当てを付け、構える。

「ふぅん。お前の武器はヴァイオリンか・・・・・・やっぱり父親の影響か?」


「もちろんだ。このヴァイオリンが俺のために残してくれたんだからな」


「そうか・・・・・・ではいくぞ」

男は、ハーモニカを口につけ、息を吸い込む。

高く綺麗な音色と共に、矢が飛んでくる。俺も男が息を吸い込んだと同時に盾をイメージして弦に弓を滑らす。

それは、相手の様子見だった。どれぐらいの攻撃力かで相手の力量を測るためだ。

だが、男の放った矢はあっさりと、盾を貫通して俺の右肩に刺さった。盾を作るのに力は抜いていなかった。むしろ本気で作ったのだ。だがあっさりと貫通された。それは、圧倒的な力量の差だった。

「グッ――――」俺の口から声が漏れる。燃えるような痛みに、地面に膝をついた。ヴァイオリンを落としてしまう。地面との距離は余りなかったためヴァイオリンは壊れなかった。敵を目の前にして武器を落とすなんてあってはならないことだ。俺はヴァイオリンに向かって手を伸ばす。

「あらら・・・・・・本当に救世主の息子なのかお前は・・・・・・弱すぎんだろ」


「何っ?」

男は、俺の手がヴァイオリンに届く前にヴァイオリンを取った。


「そ、それに触るな」


「へへ。これ、お前の父親のなんだったよなぁ。これをボスの所へもっていけば報酬はもらえるな」


「や、やめろ!このクソ野郎」

そういった途端、男の顔が怒りにゆがむ。

「俺より弱い奴にクソ呼ばわりされんの大嫌いなんだよね。これボスの所へもっていこうかと思ったけどやっぱりやめた。このヴァイオリンここで壊してやるよ」

男はそう言ってにやりと笑った。

立ちたい。立って男からヴァイオリンを取り返したい。だが、俺の足が言うことを聞かない。

目の前で、男がヴァイオリンを振り上げ地面に叩きつける。

「やめろ――――!!」意味のない叫び。叫んだって男が手を止めるわけがない。

地面に叩きつけられたヴァイオリンは、f字孔の所から真っ2つにへし折れる。

「ッ―――――――――――――――――――――――!!」

声にできない叫び。

父のヴァイオリン。それは、俺が目指す場所の目印であったものだ。それを失った悲しみより、自分への怒りがあらわれる。

「またあの世でやり直してきな。あ、そうそう。いい事を教えてやろう。俺は組織の中で一番下っ端だぜ?!」

そういい終わったとたん、男はハーモニカを口につけ、息を吐いた。俺の頭に矢が飛んできて・・・・・・・全身が光に包まれた。


俺は今、全身光に包まれながらどこかへ移動している。無重力状態でどこかに引っ張られている感じだ。ここがあの世なのだろうか?そんな疑問が浮かぶが、そんなことは考えられない。

どうしてこうなったか。それを考えるので頭がいっぱいだった。あの男は、自分で組織の下っ端だと言った。

組織、それはお父さんが言っていた黒幕の事だろうか?そして、俺の本気で作った盾をあっさり貫通するほどの矢を作れる男でさえ、組織の下っ端なのだから上にはどんな奴がいるのだろう。考えただけでも震えが止まらなくなる。結局の所、俺は弱かったのだ。それしか考えられない。俺は・・・・・・これからどうすればいいのだろうか。いや、これから何ができるのだろうか。死んでしまった俺に何ができるか。答えにたどり着かないまま、俺は眠気で意識を失った。



ん?・・・・・・柔らかい・・・・・・俺は、ベッドで横になっているのか・・・・・・?そうか、今のは夢だったのか。何て悪い夢何だよ畜生。

俺は自分に悪態つきながら、上半身を起こした。目がぼやけ、よく見えないのでまばたきをする。

知らない部屋だ。ここはどこだ?そんな疑問が頭に浮かぶ。さっき起こったことは夢ではなかったのだろうか。夢じゃないなら、なぜ俺は死んでいないんだ?そんなことを考えていると、部屋に少女が入ってきた。年齢は俺と同じ16歳ぐらいだろうか?髪の色は茶色をしている。そして耳は・・・・・・猫の耳?だった。

もう一度、まばたきをして少女を見る。すると、少女の前に何か文字が浮かんだ。


名前:エリス・ヴァーミック

レベル:5

HP:1500/1500

MP:100/100

スキル:『料理Lv2』『釣りLv1』『回復魔法Lv1』

固有スキル:なし


何だこれ?ここはゲームの世界なのか?回復魔法・・・・・・この世界魔法使えんのか?

俺が、少女の前に浮かんでいる文字のことを考えていたら、少女が話かけてきた。

「あ、あの?どこも痛くありませんか?」


「ん?そういえば・・・・・・」

俺は、肩をけがしたはずなのに、肩が全然痛くない。指で、けがした部分を触ってみる。・・・・・・痛くない。

「痛くない・・・・・・君が治してくれたのか?」


「はい。」

少女は大きくうなずいた。そのしぐさは、まだ10歳ぐらいの少女に見えた。

「でも、よかったです。治癒魔術初めて使ったんですけど、うまくできてよかった。」

治癒魔法?あぁ、少女のステータスらしきものに書いてある治癒魔法か。

「えと、ありがとう。その、もしかして君、魔法使えるの?」


「使えないのですか?」


「使えるのか?」


「皆使えますよ?」


「ほう。そうなのか。あと、・・・・・・エリスさん」


「えっ?何で私の名前を?」


「エリスさんの前に、文字が浮かんでいて、名前が書いてあるんですけど」


「え・・・・・・名前だけですか?」


「いや、レベルとかスキルとかが書いてある。」


「それは、ステータスです。でも、自分のものしか見えないはずなのに・・・・・・」


「自分のを見れるのですか?」


「え、はい。ステータス。って念じれば出てきますよ」


「やってみます」

ステータス。と念じる。

すると、少女の前に浮かんでいた物とそっくりなステータスが浮かんだ。


名前:ユウキ・カザミ

レベル:1

HP:5000/5000

MP:24600/24600

スキル:なし

固有スキル:『覗きの魔眼Lv1』『異世界の物Lv1』『スキルコピー』


マジか。スキル無しって・・・・・・固定スキル多すぎじゃね?

覗きの魔眼って何なんだろう。そう思うと、覗きの魔眼の説明が浮かび上がった。便利だな。おい。


『覗きの魔眼』

説明:【見る】ための魔眼。レベルが上がるごとに見えるものが多くなっていく。

開放済み:Lv1『生き物のステータス・隠蔽』

ふーん。覗けるのは生き物のステータスと、隠蔽?透明になってる奴が見えんのか?便利そうだな。


『異世界の物』

説明:異世界の物が召喚できる。レベルが上がっていくごとに召喚できる物の大きさが大きくなる。

開放済み:Lv1『30cm』

おぉ。これはすごい使い道がたくさんあるな。


『スキルコピー』

説明:対象のスキルをコピーできる。コピー制限は存在しない。

何これ。チート過ぎない?やばくない?やばいなこれ。


「うん。まぁ、出来たよ。」

さりげなく、『スキルコピー』を発動する。スキルガ1個も無いままじゃ嫌だからな。

目の前に、エリスのスキル絶対が表示される。

『料理Lv2』『釣りLv1』『治癒魔法Lv1』

今後必要になるかもしれない、『料理Lv2』と『治癒魔法Lv1』をクリックした。

もう一度、自分のステータスを見てみる。


名前:ユウキ・カザマ

レベル:1

HP:5000/5000

MP:24600/24600

スキル:『料理Lv2』『治癒魔法Lv1』

固有スキル:『覗きの魔眼Lv1』『異世界の物Lv1』『スキルコピー』


おぉ。しっかりコピーされてる。なんか嬉しい。

「なぁ、俺は何でここにいるんだ?」

本当は、一番先に聞きたかった事だ。何か色々驚いてすっかり忘れていた。

「えっと、海で釣りをしている時、空から降ってきたんです」


「海に落ちたの?」


「いえ。私に、です」

うぉい。

「受け止めてくれたんだよね?」


「避けました。すいません。怖かったものですから」

エリスは俺に頭を下げた。まぁ、仕方が無いよね。いきなり空から降ってきたら怖いからね。

「いきなり空から降ってきたものを避けるのは当たり前だから、気にしなくてもいいよ」


「はい。あ、それと、なぜ私の名前を知っていたか、まだ理由を聞いてないんですけど・・・・・・」


「あぁ、なんか俺の固有スキルみたい。『覗きの魔眼』っていうので、対象のステータスが見えるらしい。」


「固有スキルだったんですか」


「聞いていいかな、エリスさん」


「エリス、でいいですよ」


「分かった。あ、俺の名前は、カザミ・ユウキ。ユウキって呼んで」


「ユウキ・・・・・・」

エリスはそういった途端、頬を赤く染めた。

「ここはどこなの?」


「ここは、リグソン村だよ」


「そうか。じゃあ次。異世界から来た人について何かしらないか?」


「異世界?分からない。王都に行けば何かわかるかもしれないけど」


「王都か・・・・・・それはどこにあるの?」


「ここから、100kmぐらいかな」


「じゃあ、そこに行ってみようかな」


「今からじゃ無理だよ?それに1人ではいけない。魔物もたくさんいるし」


「魔物?」


「うん。魔物だよ。ちなみに、生き物を殺すと経験値が入って、一定になるとレベルが上がるんだよ」


「へぇ、君がレベル5なのは生き物を殺したから?」


「うん。まぁ、魚だけどね。」


「そうなんだ。魔物ってそんなに危ないの?」


「魔物にもランクがあって、E・D・C・B・A・S・SSの順に強くなっていくんだよ。まぁ、村や町の近くでは、あまり高ランクの魔物はいないけど、森とか奥の方に行くと高ランクになっていくんだよ。低ランクは群れで行動しているし、高ランクは単独で行動している。」


「ということは、王都に行くのに、高ランクの魔物はいないが、低ランクで群れで行動する魔物が多いってことだな?」


「うん。そうだよ」


「じゃぁ、どうすれば良いんだろう」


「そうだ。1日1回村から王都に行く馬車があるから、それに乗っていけばいいわ」


「そうか。明日ね・・・・・・悪いんだけど、明日までここに止めてくれないかい?」


「良いわよ」


「ありがとう」


俺は、そういった途端ベッドに横になり、眠りに付いた。




皆さん、おはよう。もしくは、こんにちは。それとも、こんばんは?

異世界系の小説。書いてみました。書きたかったんですよ。異世界!かっこいいですよねぇ。作者も行ってみたい。うらやましいぞ、風間悠木。

感想や、評価を入れてくれたら嬉しいです。登場人物の希望や登場人物の名前、こんなスキルがあったらいいな、とかも、お待ちしております。希望等の物は、作者に直接メールで送っていただければ嬉しいです。

変な文章や表現があれば、遠慮なくご指摘ください。

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