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第3話 スーパーでカルチャーショック!


エリートとは日々進化するものだ、そして私のようなエリートとなるとその進化速度は桁違いだ。



ニュースがある


地球にきて早一週間、


…遂に、遂に私は流暢な日本語の習得に成功した!


どうだ驚け、この順応スキル!




…私は繊細な心の持ち主だ、ゆえに気づいていた、

私のセリフのカタカナを諸君が快く思っていなかったことを!



ふ、…もう活字レベルでは日本人と比べても差異はないだろう。


日系中国人の肩書も、必要無かったかもしれない。






そういえば昨日、初めて本部に報告を入れた、大まかな内容は以下の通りだ。


報告書

コードネーム:こう 悠馬ゆうま


活動拠点の設置に成功、引き続き地球への諜報活動を展開する。


特筆

日本人の少女には注意されたし、外見の魅力と読心術は他の追随を許さない。


中年の日本人男性の靴下にも要注意、その臭いたるや銀河ギャラクシー 戦士ファイターをも数秒で昏倒させるだろう。




っとまあこんなところだ。


そんなにすごい臭いだったっかって?

…あれは臭いじゃない、殺意だ!




そして今、私は机を挟んでその張本人と向かい合っているのだが…



栄林庵の料理長、片岡 大吾が口を開く

「何か、良い案ねえか」


私は首を横に振る、さっきからこのやり取りが繰り返されている。




何をしているかって?新作メニューの考案だ。

明日から新装開店することになった我が店では、それを記念に一品増やしたいと彼が言いだしたのだ。



「…仮にも本家だろ」

彼は露骨にため息を漏らす。


そんなことを言われても困る、そもそも私は中国人どころか地球人ですらない、


そして地球の料理の知識は…駄目だ。



「無理に考えなくてもいイんじゃないですか?」

おっと、イントネーションを間違ってしまった


「まあ、先代からのメニューはあるんだけどな」

彼は肩をすくめた。



そうなのである

この栄林庵が先代の店主の頃には、鉄板メニューなるものが誕生し、店を訪れる客はこぞってそれを注文したらしい。



その時代は栄林庵の最盛期だったと彼は語る。

連日連夜の大繁盛、中華街でもひと際その名を轟かせグルメ雑誌の取材も多数あったとか。


そしてそのメニューは今も店内のいたるところに宣伝されている。



☆栄林庵ラーメン¥500

秘伝のタレを用いた醤油ベースの鶏ガラスープにコシのある卵麺たまごめんが相性抜群!



栄林餡掛えいりんあんかけ丼¥520

下味をつけ、軽く炒めたご飯を絶妙な火加減の卵で覆い、仕上げに上から餡をかけた逸品。

いわゆる天津飯だが隠し味のショウガや紹興酒が味に深みを出しており、食べた者を虜にする!



栄林庵を訪れて、この2品を食べない者はいなかったというほどの不動の2トップだ。

もちろん他にもチャーハンや餃子などの王道メニューも存在する。



…だがこんな精鋭に飽き足らずニューウェーブを求めているのだ、この男は。




そもそも、中華の料理人なら自分で考えてもいいものだ、しかし彼の場合はそうもいかないらしい。


中華一筋28年、片岡 大吾

料理の腕は確かなのだが、性格ゆえに少々頭が固い。


いわゆる頑固オヤジだ。

その影響で料理の創作に必要だという独創性が欠けている。




暫くの沈黙

先に破ったのは彼だった。

「だぁー!畜生、もうこんな時間か」

正午を指した時計を見やり、頭をぼりぼり掻きむしる。



…もっと大切にしたほうが…

…髪は地球人にとって命なのだろう?



「仕方ねぇ、午後から来るはるかちゃんにも聞いてみるか」

その言葉に思わず反応してしまう。



そうなのだ、面接で散々な結果だったにも関わらず例の美少女、

山川やまかわ はるかはここで働いてくれることになったのだ!


今日は午後から顔合わせも含めたミーティングに参加してくれることになっている。


「そーいや、昼飯食ったらメニューの考案ついでにスーパーいってきてくれよ」

自然と顔がほころぶ私に彼は告げた。

そして買い物リストが書かれたメモを渡される


なるほど、一理ある。

地球のありとあらゆる食材が陳列されたあの空間なら、食に乏しい私にも何かのヒントが浮かびそうだ。



しかしそれなら彼のほうが適任ではないか?仮にも料理人だし。

その旨をかれに伝えると、


「俺は先代の時の食材の仕入れ先の挨拶にいかなきゃなんねーんだ」

とのこと




結局スーパーへは私一人で行くことになった。

一人で大丈夫かって?

エリートを軽く見るな、スーパーの情報はもとより、日本の経済状況まで全て把握ずみだ。



さて、スーパーの入り口をくぐった私はふと考える



…スーパー…不思議なところだ。

棚には地球の食料品が並び、その前には値札や宣伝文句が掲げてある。


これだけなら私は驚かない、



問題は……その量だ。


訪れる客に対して商品の数が多すぎる、明らかに需要と供給のバランスが間違っている。

しかもきけば、商品価値を失ったものは廃棄処分されてしまうらしい


銀河の数多の星々では今日の食事に困る種族がいるというのに!



軽く憤りを感じていると、私の足は鮮魚コーナーというところまできていた。


説明は不要とは思うが、ここは魚介類という食品を扱うコーナーだ。


何の気なしに辺りを見ていた私の目に衝撃が飛び込む。




――――あ、あれはァァ!!


危うく発作を起こすところをなんとか抑えて凝視する。


目の前には大きな水槽、そしてその中には魚に紛れてじっとしている・・・・………





――――――――――忘れもしない存在がいた




…あろうことか、地球にきて初めて、同族エイリアンに出会ってしまった。











さみしがり屋なので作品の感想待ってます!


未熟者なので、ご意見・ご指摘なども大歓迎です。


主人公の悠馬と同じくガラスのハートなんで、誹謗中傷には耐性0ですが…


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