EpisodeⅠ-Ⅴ
「クガイツキ様ですね。職業の鑑定をいたしますので右手を出してください」
用紙に名前と職業を記入し終え、受付に差し出すとさっきの受付嬢にそう言われた。
名前は漢字で書いたのだが、神様のおかげで問題ないらしい。
「はい」
「失礼いたします。……確認しました」
俺の手を取り、数秒見つめただけでOKが出た。
神様、ちゃんと職業を変えてくれたようだ。
「登録カードを発行いたしますのでしばらくお待ちください」
そう言って受付嬢は奥へと行ってしまった。
「ふぅ……。分かっていたとはいえ少し緊張したな」
「お疲れ様です。マスター」
あの神様の事だから変更し忘れたなんてことがあるかもしれないと思っていたのだが、取り越し苦労だったようだ。
「でも、右手を見ただけで職業が分かるのか?」
「はい、ギルド役員などの一部の方は、限定的にマスターの様な鑑定を行えます」
「やる理由は?」
「偽名や盗賊といった方を冒険者に登録させないことと、本人の確認ですね」
盗賊なんかもいるのか。
それじゃあ確認しないと危ないか。
「けどさ、盗賊ってどうやって見分けるの?職業じゃ近接とかしか出ないんじゃないの?」
「えっと、私は鑑定を使えないのでわかりませんが、種族や部族とともに盗賊とでるらしいです」
そうなのか。
今まで盗賊に会ったことはないけど気を付けよう。
「お待たせいたしました。こちらが登録カードです。このカードの事はご存じで?」
「いえ、初めてです」
「そうですか、ではご説明します」
説明までしてくれるのか。
結構サービスが行き届いてる。
「このカードには貴方の名前や種族、部族、職業が記載されています。
これは貴方の証明書でもあり、このカードによってギルドに預けていただいたガルドにより買い物もできます」
つまり、銀行のカードのようなものでもあるのか。
「異国へ渡る際にはこのカードを提示してください。それだけで貴方の身分は保証されます」
パスポートも兼ねると。
「分かりました」
「それでは、今、ガルドをお預けになりますか?」
「あー、はい」
硬貨は巾着に入れていたのだが、預けていた方が安全だろう。
とりあえずは銀貨数枚と銅貨以外をギルドに預けた。
「またのご利用お待ちしております」
「さてと、登録も済んだし、どうしようか?」
窓口から離れてアイリスに訊いてみる。
「依頼をお受けになったらどうですか」
「依頼?」
「この世界のクエストです」
「なるほど」
依頼か。
何があるんだろうな。
アイリスに導かれて何枚もの紙が貼られている掲示板へと近づく。
「えーっと……」
紙に書かれた文字はなんだか英語の様な文字だが、自然と内容を理解する。
これも神様のおかげか。
「今はこの街付近のモンスターを討伐する依頼が多いですね」
「そうだな」
それ以外にもいろいろとあるが、目につくのはそればかり。
「とりあえずゴブリンの討伐依頼でも受けるか」
ゴブリン程度ならもう俺も手惑わない。
アイリスとの特訓のおかげだ。
さっきの窓口へと戻って依頼を受ける。
「報酬はギルドで預かりますので、ご利用の際にはカードをお使いください」
結構便利だなあ。
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