羽猫
「にゃ~」
ん?
リセを捜しに中庭に出たところで一匹の子猫に遭遇
「お、お前か」
羽猫という背中に翼をもつファンタジーなこの地方の固有種の猫で、半年くらい前から時々見かけている
野生動物の個体の見分けなんて基本的に出来ないが、この子猫は白い毛並みに青い瞳、そして怪我をして失ったのか片翼というかなりわかりやすい特徴があるのですぐにわかる
「にゃ~」スリスリ
「お、珍しいな」
この子猫を見かける度に餌付けしようとしたり撫でようとしたが、つれない態度を取られて来たのに自分からすり寄ってくるとは……この半年の努力が実を結んだか?
子猫を抱き上げて撫でるが、やはり抵抗しない
「にゃ~……ゴロゴロ」
抵抗するどころか喜んでいるな……前は触ることすら出来なかった………って、え?
………抱き上げてわかったんだが、この子猫……リセだ
魔力の波長や波形は指紋と同じように同じ者を持つものはほぼいないとされている……が、今俺の腕の中にいる子猫はリセのものとまったく同じだ
獣人にはヒト型・半獣・獣型の3形態があり、8歳頃から変化が可能になる
最初のうちは自由に変化出来ずランダムに変化してしまうが、そのうち慣れて自由に変化できるようになるらしい
この子猫を見かけるようになったのは半年前だからリセの誕生日と合致するな……やっぱりこの子猫はリセで間違いなさそうだ
……そこまでわかっているならもっと前に気付け、って思うかもしれないが2つおかしな点がある
1つは獣人の獣型は形こそ獣なのだが、サイズはヒト型の時とあまり変わらない
もう1つは羽猫の獣人は今まで存在していない
特にサイズが普通の子猫と同じだったし、リセの背中には翼なんてないから気付けなかったわけだが……どういうことだろ?
「にゃ?」
考え込んでいるとリセは不思議そうな表情で見上げてくる
……リセがかわいいからどうでもいいな
ナデナデ
「にゃ~♪」




