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仄暗い檻の中の出会いと幼馴染2

 いきなりそんなことお願いされても困るんだが…。

 

 

 そういやオッサンは母親が死んだと嘘を吹き込んだら心が壊れたとか言ってたな。

 なるほど、確かにこれは壊れてると言っても過言じゃないな。

 

 普通五歳の子供はこんなこと言わねぇよ。たぶん『お前の所為で~』みたいなことを言ったのだろう。

 この娘じゃなくてオッサンを殺してやりたいわ。

 

「……あとでな、いいから今はこれを飲め」

 

「…い、いや……」

 

 意思薄弱のクセに強情な…。

 

「殺すにしても一旦奴隷にしないと俺が犯罪者になるんだよ、だから奴隷になるまで生きてろ」


 自己チュー理論で説得を試みる。

 …まぁ、実際奴隷以外を殺すと犯罪だし、奴隷にしても殺さないけどな。 

 余談だけど奴隷を殺す権利を持っているのは実はウチだけだったりする。

 この国の奴隷はイスカンダル家からの貸与品って扱いで、所有権は全てウチにあるからだ。

 勝手に殺したりすると、賠償請求をすることになっている。わりと裕福な貴族でもキツい位の額を。

 予め危険な仕事をさせる為の奴隷は最初からそういう契約だから例外だけど。……そういう奴隷は元々死刑モノの犯罪者だから大した問題でもないしな。

 

 

「…それでも…いや……このまま連れて行って。

 …どうせ飲まなくてもそのうち治るから死ねない」

 

 ……オッサンの話では手足が生えてきたらしいが、それ以外の傷も時間が経てば治るのか?

 そういえば傷は今日できたようなものばかりで古傷は見当たらないな…。

 

 ん?身体の再生と異常に小さい身体、それに飲まず食わずの生活……もしかして……。

 

「リオール卿、一つお聞きしたいのですが…」

 

 確認のために後ろにいるオッサンに声を掛ける。

 

「どうしたのかね?」

 

「査定のことで少し。この娘は私と同じ年齢なのですよね?」

 

「ああ、もちろんだとも……確かちょうど今日がその出来損ないの産まれた日のはずだ」

 

 

 ……黒い髪に、蒼い瞳。もし妹がいたらこんな感じだったかも知れない色の娘。

 しかもママンの命日が誕生日。

 これも何かの縁だ、この娘絶対に引き取ろう。

 

 

「その出来損ないの年齢がどうかしたのかね?」

 

「いえ、同年代にしては身体が小さいのが気になりまして…」

 

「…そういえば手足を切り落としてから小さくなった気もするな…」

 

 

 やっぱりか。

 おそらくこの娘は自分の身体を削って生命の維持や身体の再生を行っていたのだろう。

 パパンが交渉が難航し始めたのがひと月位前って言ってたから約1ヶ月もの間。

 この娘は普通の獣人とは違う異常魔力みたいだな。

 オッサンは仕組みとか考えずに、ただ四肢が再生したことだけに注目しているみたいだが。

 

 つーか、このオッサン目ぇ腐ってんのか?

 この娘俺より20cmくらい背が低いのに言われるまで気付かないって……五歳児より20cm背が低いって二歳児の身長だぞ。

 

 

 身体を削ってるとなると放置するのは不味いな。とっとと交渉を済ませるか。

 

 

「わかりました、それではこの娘の金額ですが金板5枚でいかがでしょう?」

 

 子供の買い取りの相場は平民がそこそこ裕福な平民の月収と同じ額──大金貨3枚ほで、貴族は倍の大金貨6枚。

 それをふまえると金板5枚は貴族相場の約4倍だからかなり破格だ。

 ちなみにパパンは金板2枚くらいまでは粘っていたらしい。

 

「ふむ、もう少し高くならないのかね?身体の再生なんてなかなかないだろう?」

 

 この強欲オヤジが…。相場の4倍、パパンの2.5倍でまだ欲しがるか………いや、俺が子供だから嘗めてるのか?

 

「そうですが……この娘は発育不良過ぎますね、将来女として使えるかわかりません。

 普通であれば平民並の価格になるところを再生の付加価値をふまえて金板5枚とさせていただいたのですが、ご不満でしょうか?」

 

 わりとゲスな理由だけど『もっと安くてもエエけど普通の買い取り価格の8倍の価格で買い取ってやるんだから納得しろやゴルァ』と説得。

 

「むぅ、それならば仕方ない、それで売ろう」

 

 オッサンは俺を言いくるめるのは無理と判断したのか早々に売却を決めた。

 下手なことを言って価格を下げられるのを恐れたっぽいな。

 

「では……こちらの契約書に署名と魔印をお願い致します」

 

 契約書を取り出して金額を手早く書き込みオッサンに手渡す。

 

 あとはオッサンが契約書に必要事項を書き込み魔印を捺して、俺が金を払えば取引成立だ。

 

 

 いや~良かった俺がコツコツ貯めた金(・・・・・・・・・・)ギリギリで買えて。

 

 

 

 ……あれ?

 そういや、目の前で奴隷売買交渉してたのにサティアが何も言って来ないな、特に女として使えるかわからんなんて最低発言してたのに。

 

「……あぅ…」

 

 サティアが俺のズボンの裾をつまみ、俺の背後で身を縮めておっさんの目に映らないようにしている。

 ……そういやサティアって男が苦手なんだったな、

 さっきまでおっさんに気付いてなかったから普通にしゃべれたけど、俺がおっさんと話したから、おっさんの存在に気付いて萎縮しちまったんだな。

 

 

 サティアが男が苦手なのは王様と第一王子の所為なんだよな、だからその年代の男が特に苦手。

 ただ、同年代の男も苦手なはずなのに何故か俺には平気で突っ掛かってくる。

 苦手意識すら忘れるほど俺のことが嫌いなのか?

 

 

「サティア様、どうかなさいましたか?」

 

「な、ななな……何でもないわ!」

 

「それならばそろそろズボンから手を離して欲しいのですが…」

 

 結構力が入っいるので脱げそうになってる、人前で脱ぐ趣味なんてないので勘弁して欲しい。

 

「……あぅ…、ご、ごめんなさい」

 

 この娘俺にはツンツンしてるけど、自分が悪いとわかると素直に謝るあたり好感がもてる。基本ツンデレは嫌いだけどこういう娘は好きだ。

 ……王族としてはすぐに謝るのは問題だけど。

 

「そ、それより…あなた、今、この娘を…」

 

「はい、買いましたよ。

 ……もう少しサティア様と話していたいのですが、先に済ませないといけないことがありますから少々お待ちください」

 

 ひとまずサティアとの会話を切り上げ(サティアが何か言って来てるけど無視する)、サティアに膝枕されている獣人の娘に声をかける。

 

「さて、たった今リオール卿からお前を買い取った、故にお前はぼくの物だ。

 最初の命令だ、これを飲め」

 

 まだ契約書への署名は終わってないし、金も払ってないけど口頭での売買契約は済ませたので仮契約扱いでこの娘はうちの奴隷になった。

 

 早く薬を飲まさないとこの娘はまた自分の身体を削って再生しちまう。どのくらいタイムラグがあるかはわからないし、生命の維持も身体を削ってやっているから早いに越したことはない。

 

「……奴隷に…なったのなら……殺せるんじゃないの?」

 

 

 そういやさっきそんなに理由で説得してたっけ…。

 

「確かにできる……が、やるかどうかはぼくの自由だ。

 お前の命、身体は血の一滴、髪の一筋にいたるまですべてぼくのものだからな。

 金板5枚も払ってすぐに殺すなんてしないさ」

 

「…そんな……」

 

 獣人の娘は嘆くように呟いた……けど何で死にたいって言うわりには自殺しないんだろ?

 何も食べてないから口だけって訳ではなさそうだけど……。

 

 ……ああ、自殺って発想自体ないのか?まだ五歳だもんな。

 

「……わかったなら飲め」

 

「…うぅ……いや…」

 

 いい加減ムカついてきたな。

 神のうっかりの所為で死んで第二の人生を歩んでいる身からすると、自分から死にたいってのは認められるような話じゃない。

 

 どう説得したものか……この場で母親が実は生きてると伝える訳にもいかないし。

 

 

「…はぁ、仕方ない……口に捩じ込か」

 

 考えても何も思い浮かばないので実力公使にでる。

 

 小瓶の蓋を開き獣人の娘の口に捩じ込……チッ。

 声に出したのがまずかったのか口をがっちり手でガードしてやがる。

 

「往生際の悪い、口を開け」

 

「…ンー…ムー…」

「…ゃん、あまり動かないで」

 

 獣人の娘が口をガードしたまま身を捩り拒否を示す……ついでに膝枕してるサティアもくすぐったがる。

 

 

 さて、どうするか…。

 普通なら鼻を摘まんで窒息寸前まで追い込んで、大きく口を開いたところに薬を捩じ込むけど、この娘は死にたがってるから口を開かずそのまま死ぬ可能性がある。

 もし開いても自殺って発想が生まれる可能性もあるし。

 

「…くっ…っと」

「…ぁぅ…ぃや…ムンッ…」

 

 いい加減飲まないのに腹がたつから力尽くで腕を外し、瓶を捩じ込む。

 

 最初からこうしていれば良かっ……

 

「…ペッ」

 

 

 

 

 

(-_-#)イラッ

 

 このガキ吐き出しやがった、金3(3万円)もする薬を…。

 

 

 

 

 

 

 

 そっちがその気ならこっちも手段を選ばんぞ。

 予備に持って来ていたもう一本の薬を取り出し、口に含む。

 

 

 

 

 

 そして、獣人の娘に近付き、

 

 

 

 

 

 

 その唇に俺の唇をくっ付け、

 

「…ムグッ」

「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 サティアの驚愕の声が聞こえるが今は無視

 

「ムー!?」

 

 抵抗してくる獣人の娘の口に舌を捩じ込み(おとがい)を割り開き薬を流し込む。

 

 そして今度は吐き出させないよう、口の中を舌で刺激し飲み込みを促しながら口を塞ぎ続ける。


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