だが、断る
ブラッディ野ウサギは野ウサギの進化種で、常に獲物に対して積極的に攻撃を加える勇敢な野ウサギが返り血を浴び続けることで至る
進化種だけあって個体としても野ウサギより強く、更に群の統率者としても優秀なのでブラッディ野ウサギに率いられた群は通常の野ウサギの群よりも厄介だ
……ただ、何で名前は野ウサギのまま?
普通ならブラッディラビットかブラッディヘアになると思うんだが……まあ、いいか
それよりサティアを助けないと
サティアに襲い掛かるとかウサギの分際で調子に乗んなよ?
「せいっ」
「るー…くん…?」
ナインテイルのうち三本を使ってザコ野ウサギを薙ぎ払い、一本でブラッディ野ウサギを打つ
だが、ブラッディ野ウサギはその場を跳び退き躱す……が甘い
現在ドラゴンとの戦いの影響で視力が低下しているので攻撃が当たらない、躱されるのは折り込み済み
ブラッディ野ウサギが跳び退いた先には二本を一本に束ねたの触…水鞭があり
「サティアに襲い掛かったことを後悔しながら逝け
連理触手槍・螺旋衝き!」
ブラッディ野ウサギの胸を貫く
野ウサギは危機察知能力が高い
ブラッディともなれば更に高く、不意討ちでも初撃はほぼ確実に躱されてしまう
ただし高過ぎる危機察知能力であるため最適解で躱すので回避先はかなり読みやすい
「大丈夫ですか、サティア様」
残りの群も殲滅しサティアに声を掛ける
「…うん、だいじょうぶ
でもあなたはどうしてここ…!?
どうしたのその怪我!?」
「どうしてここに、はこっちが聞きたいんですが…この森、今は立ち入り禁止ですよ
怪我は先ほどとある魔物と戦っていたからですね」
「わたしは少し前から、ママにこの森でお稽古をつけてもらっていて…」
ああ、エルフ式修行か
内容は手近な森に稽古と称して連れていき、しばらく稽古をつけたあと森に置き去りにして自力脱出させるという……昔俺もやったね
少し前から居るってことは立ち入り禁止令を出す前に入ってたのか
「そんなことより早く治さないと!」
サティアが回復魔術を掛けようとくる
俺のこと嫌っているのに治そうとしてくれるサティアは優しい娘だね
「ああ、それはやめてください」
だが、断る
ブラッディヘアは誤字ではありません
英語でウサギはラビットとヘア(hare)2パターンあります




