いずれ…
俺の子を産みたい、か…
その気持ちは嬉しいが、ちょっと困ったな…
「…り、リセちゃん!?」
「…ごめん、なさい…お姉ちゃん」
「えっと…なんでわたしに謝るの?」
「…だって、お姉ちゃん、ご主人さまのこと…」
「そ、そんなことないわっ!」
俺はリセのことが好きだし、経済力もあるので育てること自体はできる
「リセ、残念だがそれはダメだ」
「……どうして、ですか?」
だが、俺もリセも情緒的にも年齢的にも成熟しているとは言えないし
現状では俺の貴族の立場とリセの奴隷という立場が子供を不幸にするだろう
仮にリセを奴隷身分から解放しても、身分は元奴隷の平民でしかないのでリセと結ばれることはできないし、その状態だと俺の傍にいることすら難しくなる
リセは『俺の奴隷』という立場だからこそ遠く離れた身分でありながら傍に居られるし、俺以外からの命令を受ける義務はない
だが、平民になると俺以外からの上位身分からの命令を受けざるを得なくなり、リセが俺の寵愛を受けることを疎ましく思う者が俺たちを引き離そうとするだろう
「僕たちにはまだ親になる資格がない
親は子に対し責任がある
欲しいから、という理由だけで子を望んではいけない
資格がない者の子はだいたいが不幸になる
不幸になるとわかっていて子を成すわけにはいかない
だから、すまないが今は諦めてくれ」
そのあたりをなんとかしない事にはリセとの子は望めそうにない
そもそも、リセの身体はちっこいので妊娠出産に耐えられるかが疑問だしな
それに、不義理なことに、俺にはリセと同じくらい好きな人がいるし…
さて、リセは俺の真意に気付いてくれるだろうか……気付かなくて嫌われるのはイヤだな…
しばしの間沈黙がその場を支配する
「………わか、り…ました」
やがてリセが口を開き、緊急避妊を承諾する……その瞳に涙を浮かべながら
「…すまないな」
その瞳を見るのは耐え難く、リセを慰めることもかねて抱きしめる
「…いえ……ですが、いずれ…親になる、資格を、得た時には……ご主人さまの…子を、この身に宿させてください」
どうやらリセは「今は」無理という事情をわかってくれたようだ
「ああ、いずれ、俺の子を生んでくれ」
「…はい、ずっと、ずっと…その日が来るのを待ってます!」
ここまで俺を愛してくれるリセの願いを断れる筈なんてなく、将来リセとの間に子を成すことを約束し
「リセ」
「ご主人さま」
そして
俺たちは
口移しや発情期に支配された状態ではなく
自らの意思で
唇を重ねる
これにて、なっがいプロローグは終了
閑話を挟んだ後、本編である学院編へ移行します
しかし、将来子供つくる約束とか、相変わらず子供とは思えないことを……って言うか、死亡フラグかNTRフラグに見えるのは気のせいかな?




