火葬
「久しぶりだね、其の顔。
なんだい?まだ“葬儀屋”になりたいって言ってるのか。」
嬉しそうに、反面ウザったそうに、“葬儀屋”は言う。
「もちろんですよ」
「せっかく引かれるように、其に【鳥葬】を見せたのに。」
ヒヒ、と笑って“葬儀屋”は言う。
「仕方ないね、今回は【火葬】を見せよう。」
ついておいでと、“葬儀屋”は大きなキャリアバックを引きずって車にのる。
空港まで行ってさらに飛行機に乗る。
「今から行くところは『日本』。
天皇陛下の葬式を執り行うんだから、粗相のないようにな」
急にびしっとする私を見て、“葬儀屋”はケタケタ笑う。
「では、火葬について言っておこうか。
【火葬】というのはそのままの意味で。火を使って遺体を焼く葬儀の事だよ。
今から行く日本では、火葬の後の「焼骨」は骨壷に収(拾)骨され、土中に埋葬されるか、納骨堂等に収蔵されることになる訳だよ。
したがって【火葬】は「葬儀の手段の一つ」というよりも、葬儀の一過程であるという考え方もあるね。
または安定化、減容化処理の方法と言うことも出来るよ。
散骨っていう骨を撒く場合もあるけど、
現在では日本の北側にある北海道長沼町や、死者が復活するとされているユダヤ教やイスラム教などは、条例等により禁止・規制しているらしいね。」
「へぇ…。」
「問題が少ないからね、【火葬】は。」
「さ、着いた。いくら小さな島国だからと言っても、先進国の一つだ。無礼のないようにね。」
そして、無事に“葬儀屋”は葬儀を終えた。
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