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エピローグ
足で宙を蹴ると、体がふわりと浮いて青い空が少しだけ近くなる。
あ、これはいい、かなりいいな。
まるで空を飛んでいるみたいだ。
「お、おくさまあ、クライノートも乗りたい、そろそろ代わってよお」
上機嫌でブランコを漕いでいたら、地上から弱々しい主張が聞こえた。
顔を真っ赤にしてあたしを見上げるクライノートにちらっと目をやると、再び視線を空に戻す。
「50数えたら交代って言ったでしょ」
クソガキに現実の厳しさを教えてやる。
「47、48、49……あ、どこまで数えたか忘れちゃったあ」
「ああああ、ずるいよお、代わってよお」
クライノートは地団駄を踏みはじめた。
「もう、またクライノート様に意地悪して」
カトレアが屋敷の方から歩いてきた。
「ルフト様に言いつけますよ」
乾いた表情でカトレアがあたしを見る。
マジか……それは困るな。
だって、だんな様から見捨てられたら、今度こそあたしは修道院送りだ。
それに、だんな様の側を離れる気なんてさらさらない。
仕方ない、そろそろ代わってやるか。
ラストスパートに向けてあたしは大きくブランコを漕ぎだす。
風の中に透きとおるような雪のにおいがした。
春はまだ遠い。
おしまい
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