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メスガキ勇者と荷物持ち  作者: 日暮キルハ


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4/5

4

 凄まじい掌返しだった。

 王族や王都に住まう住人の態度は気持ち悪いくらいに180度変わった。


 持ち上げられてけしかけられて、気づけば次の魔王軍幹部の討伐スケジュールが組まれていた。

 待遇は当然のようによくなったが、その腹のうちが分からないわけでもないので正直あまりいい気はしない。


「ねぇ、ハイト。これ美味しいわね」


「……それ、俺がお願いして取り寄せてもらったお菓子なんですけど」


「……? へぇ、そう」


「……」


 なぜ個室が用意されているのに勝手に部屋に入って来るのか。

 なぜ人が苦労して用意してもらった人気店のお菓子を勝手に食べてまるで悪びれる様子がないのか。


 すべてはこの一言で説明がつく。


 ララだから。


 あまりにもとんでもない偉業をさらっと成し遂げたものだからうっかり忘れかけていたが、どこまでいっても彼女はただのわがまま暴君イカレ女でしかない。

 改めてそのことを思い出した。


「さて、腹ごしらえも済んだから行くわよ」


「……どこへ?」


 思い出して、思い出したからおおよそ返ってくる言葉を理解したうえでハズれてくれと願いながら問いかける。


「魔王城」


◇◆◇◆◇


 聖剣が凄いのか、あるいはララがあまりにも規格外なのか。

 ともあれ魔王城を囲う本来は四天王を討伐しないと解除ができないはずの結界はララの剣の一振りで粉々に砕かれた。


「し、侵入者だ!! 勇者が……勇者が来たぞっ!!」


「うっさい。邪魔」


 現れるはずのない侵入者と起こるはずのない襲撃。

 阿鼻叫喚の地獄と化した魔王城のなかをララは悠々と歩く。

 時折現れる勇猛果敢で命知らずな魔族が斬り捨てられるのを横目に、その死体と血溜まりを踏まないように僕はララに着いて行く。


「あー、もう。魔王、どこにいるのよ」


「誰か捕まえて場所を聞いた方がいいかもしれませんね」


 しばらくはそんな調子で歩いていたが、やがて歩を止めるとイライラを隠さない口調でララが言う。

 外から見た以上に中は広い。このまま闇雲に探して回るのはたしかに骨が折れそうだ。

 とはいえ地図のような都合の良いものは当然ないので次善の策を提案する。


「あ、あの!! 待ってください!!!」


 手頃な魔族はいないかと周囲を見渡していると背後から呼び止める声が聞こえた。

 振り返った先にいるのは眼鏡をかけた黒髪の少女。ただし人間にはありえない角から彼女が魔族だということが見て取れる。

 ちょうどいい魔族を見つけたと思ったのかララが一歩前に出たのと同じタイミングで少女は再び口を開いた。


「ね、狙いは、私なんですよね……っ。だ、だったら、皆は関係ありません。だから……殺さないで……!」


「……?」


「……。……なるほど。よかったですね、ララ。探す手間が省けましたよ」


 両手を組み、目に若干涙を浮かべながら言葉を紡ぐ少女。

 状況と言葉からほんの少し考えておそらくはそういうことなのだろうと推測を立てて分かっていなさそうなララに告げる。

 しかしそれでも彼女には伝わらなかったようで馬鹿を見るような目でララはこちらを見やる。


「……? どういうことよ。分かるよう言いなさい」


「だから、彼女が魔王だということです」

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