20 初めてのキス
「ネ、ネイト?本当に一緒に寝るの?」
「あぁ。朝起きたら君がいなくなっているんじゃないかと思うと眠れそうもない。だからここで一緒に寝よう」
そんなこと言われても、これだと私が眠れそうにないんだけど・・・。
私たちはランプを灯したまま、向き合う形でベッドに横たわっていた。
「レイナ、もしかして私たちはこうして一緒に寝たことがあるのか?」
「えっ?えぇ、一度だけ。私が風邪をひいた時にネイトが温めてくれたの・・・。あの時はすごく恥ずかしかったわ」
「ははっ、そうか・・・。今も恥ずかしいか?」
今とあの時とでは、状況も私の気持ちもまるで違っていた。
今はこうやって見つめ合っているだけでも自分の心臓がうるさかった。
「恥ずかしいというより、ドキドキしてる」
「私もだ。このままでは心臓が飛び出してしまうかもしれない」
「そう?ネイトはそんな風には見えないけど」
そう言って私が口を尖らせると、ネイトが私の手を掴んで自分の胸に当てがった。
すると、本当にネイトの鼓動も早くて・・・。
「信じてもらえたか?」
「えぇ」
なんだか嬉しくて微笑むと、ネイトが私の頬に触れた。
「私たちは口付けも交わしたことがあるか?」
「え・・・?」
「私に限ってそれ以上のことはしていないと思うが・・・口付けは・・・」
私を見つめるネイトの瞳が不安そうに揺れた。
「し、してないわ!そんな関係じゃなかったから。友人として一緒に暮らしていただけだから安心して??」
「そうか・・・それならよかった」
よかった?
「君との初めての口付けを忘れてしまうのはもったいない」
ネイトはそう言うと私の顎をそっと上げて唇を重ねた。
「んっ」
その瞬間、私は全身に電流が走ったように感じて思わず跳ねた。
するとネイトが口の端を上げてさらに口付けを深めてきて・・・。
私は必死に応えながら彼のシャツの胸元を握った。
こんなに深い口付けをするのが初めてだから、どこで息継ぎをすればいいのかわからなくて、顔を離す頃には息も絶え絶えになっていた。
ネイトは私をぎゅっと抱きしめると深いため息を吐いた。
「はぁ・・・これ以上は危険だ」
「危険?」
「あぁ。暴走してしまうかもしれない・・・。私はこの先は結婚してからと決めてるんだ」
じゃあネイトはユリアさんともまだ・・・。
「残念だが今日はこのまま寝よう」
「ふふ、そうね」
ネイトは相当疲れていたようで、すぐに寝息を立てて寝てしまった。
逞しい彼が無防備に眠っている姿はなんだか可愛いわね・・・。
私はすぐに眠ってしまうのがもったいなくて、彼の寝顔を見つめながらこの幸せな時間を噛み締めていた。
次回、最終回です☺️




