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17 やっと会えた



ネイト視点


  ↓


レイナ視点





「ネイト!!」


誰かが店の中に駆け込んで来た。

今の声は・・・。

目を開けると、黒髪に赤い瞳の女性が私を見下ろしていた。

その時わかった。

彼女だと。


「レイナ・・・」

「え・・・なんで・・・」


彼女は戸惑いながら私の前に跪いた。


「私のこと・・・覚えてるの?」

「わからない・・・。でもなぜか君だとわかった」

「ネイト・・・」


彼女は両手で口を覆って嗚咽を漏らした。


「ごめんなさい・・・」


彼女は大粒の涙を流して何度も謝っていた。

私はそんな彼女の背中に腕を回して抱き寄せた。

彼女のことは覚えていないのに、なぜか愛しくて仕方なかった。

彼女に会えた喜びで私の瞳からも涙が流れていた。


「会いたかった・・・やっと君に会えた・・・」

「私も・・・会いたかった」


以前もこうやって抱きしめたことがあるのだろうか。

私は彼女のこの温もりを知っているような気がした。

しばらく抱きしめ合っていると、涙を拭った彼女が私の顔を覗き込んだ。


「あなたが無事で良かった・・・。どこか痛いところはない?」

「あぁ・・・左足を少し負傷してしまった」

「えっ??大丈夫なの?見せて」


彼女は私の太ももを確認すると、バッグから小さな瓶を取り出して緑の液体を傷口にかけた。


「これには消毒と痛み止めの効果があるから、じきに効いてくると思うわ」

「あぁ。ありがとう。そうだ・・・兵士は」


彼女に会えた喜びで忘れていたが、外にはまだドナーベンの兵士がいるはずだ。


「それなら大丈夫よ。みんな眠らせたわ」

「眠らせた?」

「私の友達が魔法で眠らせてくれたの」

「そうなのか?」

「えぇ。でも彼らが起きる前にここを出ないと」

「そうだな。行こう」


彼女に支えてもらって立ち上がると、装いを整えて店の外へと向かった。

すると、庭先には彼女と同じように黒髪に赤い瞳の男性が立っていた。







「会えたのか」

「えぇ。ユキありがとう」


ユキが捜索魔法でネイトの居場所を見つけてくれたから、間一髪で彼を助けることが出来た。

ユキって本当にすごい魔導師だわ・・・。


「お前はこの国に残るのか?」

「うん。ネイトとこのまま王都に行くわ」

「そうか・・・」


私とネイトはドナーベンの兵士が連れていた馬に乗って王都に向かうことにした。


「ユキはすぐにスカンシュナに戻っちゃうの?」

「あぁ。ここを片付けたらな・・・。お前は早く行け。また兵士が来るかもしれない」

「わかった・・・。気を付けて帰ってね?」

「俺を誰だと思ってるんだ?」

「ふふ、そうだね」


ネイトはユキにお礼を言って馬に跨ると、私の手を取って引き上げてくれた。


「ユキ、元気でね」

「あぁ。お前もな」


またね・・・。


丸太の柵から出ると、ネイトはすごい速さで馬を走らせた。


「他にも兵士がいるかもしれない。急いで山を降りるからしっかり掴まっていてくれ」

「わかった」



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