女神様の祝福
_貴族の子供は貴族学園に入る1年前に、神殿に赴き、女神像を拝み、祝福を貰わなければならない。
「そして、14歳になった私は神殿に足を運んでいま〜す」
パカパカと言う音と共に揺れる馬車。前に座るはずの父親と平民の継母や庶子の異母妹は違う馬車でイチャイチャしてる。
「はぁ…」
年相応の身長にストレートの赤黒く長い髪、吊り上がった黒紫の瞳。
それが私、クリフ・ツッツェルこと『ツッツェル侯爵家の悪魔』である。
フワフワの長い金髪、パッチリしたお人形の様な碧い瞳の異母妹も同い年なので、神殿に祝福を貰いに行く。名前?えぇっと…マリアンヌだったような…?
覚えてないよ。だって住んでいる屋敷が違うもの。私が別邸、クソ共…ん゙ん゙ッ!父と継母と異母妹は本邸だ。
「金を稼ぐ為に下町に行ったら、口が悪くなったし…まぁ、結構気に入ってるけど…。貴族学園に何か行かないし…」
もう何度目か分からない溜息をつく。
「憂鬱…」
◑
馬車が止まる。着いたらしい。
開けてくれる侍従も居ないので、自分て開ける。
「マリアル、良い祝福が貰えると良いわね」
「うん!」
異母妹はマリアルと言うらしい。ほぼ正解だね☆やったー!
「浮かれてないで、行くぞ」
「はーい!」
父親も随分浮かれているがね。
「さっさと終わらないかなぁ」
ぼやきつつ、距離を保ちながら付いて行く。
◑
白と金を基調とした神殿に入り、少し歩いたらドデカイ女神像と神父が見えた。
「女神像にお祈りを捧げて下さい」
神父の言葉でマリアルは女神像の前で膝を付き、両手を組んで胸の前に置き、祈る。
「あ、祝福が貰わえたわ!お母様〜!」
直ぐに立ち上がり、継母の元へと駆けていく。
「何が貰えたの?」
「清潔にする魔法!」
「凄いじゃない!魔法を貰えるなんて!」
祝福には種類があり、体力が上がったり、武器が貰えたり、人知を超えた『魔法』を貰えたりする。魔法は祝福で、貰ったものしか使えない。凄いものなのだ。
「女神像にお祈りを捧げて下さい」
(次は私かぁ…。体力をくれよ?女神様)
武器とか貰えても困るからね。
騎士を目指している方とかは喜ぶだろうけど。
(魔法もやだなぁ。目立ったら、また父親にグチグチネチネチ言われるし)
膝も折らず、ただ両手を組んで胸の前に置いた。
(体力下さい、体力下さい、体力下さい!!!)
ほぁ〜っと温かい感覚があった。
(さぁ、体力よ来い!!)
カッと目を開く。
目の前には鎌があった。
「え?」
雑草とかを刈る鎌じゃなくて、死神とかが持っていそうな鎌。
それも柄は黒いが刃が真っ赤っ赤。
「これで終わりです。さぁ、お帰りになられて下さい」
「ちょっと待てよ!鎌!?鎌ってどういう事!!?」
鎌を持って、神父に詰め寄る。
「さ、さぁ?女神様のお導きですので…」
あまりにも貴族らしく無い口調に家族も戸惑っている。
「これで何しろって言うの!?」
ヤケになって、鎌をポイする。
すると、何もしていないのに起き上がり私の方に寄ってきた。
「ギャアッ!鎌が独りでに動いてる!!?」
鎌は喋れないらしく『よろしく』と体で表現していた。
「よろしく、じゃないわ!!」
神殿中に私の声が響き渡った。
_ここから始まった愉快な日常を、私はまだ知らない。
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