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プロローグ

「俺が勝ったら、リリエルから離れろ!」

「え、これってそういうのじゃないよな? それに、リリを無視して勝手に決められるわけないだろ」


 学園の大ホール。室内の中心で向き合う二人の男子生徒。

 一人、ダレク・エラナルは怒りに顔を歪め、剣を握る手が震えていた。

 一方、その視線を正面から受け止めるマクシム・メイリーは、何の変哲もないように落ち着いて剣を構えている。観客席からは緊張感が漂い、試合前の静けさが会場を包み込んでいた。今まさに、学園祭最大の注目イベント、クラス代表者による一騎打ちが始まろうとしていた。


 審判の教師が、無機質な声で試合開始の合図を告げる。瞬間、ダレクが叫び声を上げながら突進する。


「お前なんかがリリと呼ぶな!」


 しかし、その攻撃は感情に任せた無謀なものだった。剣の一閃は空を切り、大きく開いた隙を狙われる。マクシムの剣が胴体を叩き、続けて放たれた回し蹴りが無慈悲にダレクの顔面をとらえた。試合が始まって数秒の出来事だった。


「そんな荒っぽいところが、リリに距離を置かれてる理由じゃないのか」


 冷静さを失ったダレクの直線的な攻撃は見切られ、お返しとばかりに届く攻撃は的確に当たる。一方的な試合だった。


 観客席はマクシムに向けて歓声を上げ、彼の勝利を称賛する声が飛び交っていた。堂々と胸を張り、応援してくれた友人たちに笑顔を振りまくマクシムは、まるでこの場の主役のようだった。


 王立学園に平民出身ながら主席で入学し、わずか半年で貴族や名家の子女からも注目を集める存在になったマクシム・メイリー。誰もがその名を知っている彼は、学園の中心的存在だった。


 一方、地面に転がるダレクへと向けられる視線はわずかだった。伯爵家の嫡男として英才教育を受けて育ち、学業成績も優秀であったが、その尊大な態度と強引な振る舞いから友人はいない。愛する婚約者、リリエルがマクシムに心を寄せていることに、彼の焦りと嫉妬は日増しに強くなっていた。今日の一騎打ちも、そんな嫉妬心に駆られた末の結果であった。


 物語の主人公と、引き立て役。ダレク・エラナルは、悪役にすらなれないまま、序盤でフェードアウトしていく存在だった。

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