ゆいこのトライアングルレッスンU〜警官ひろし&たくみの逮捕する!〜
トライアングルレッスンウィーク!
毎日投稿中。
「あれぇ? こっちで合ってるかな?」
わたしは地図アプリを見ながら、うろうろしていた。
「お嬢さん、お困りですか?」
「へっ? ひろし!?」
現れたのは、警官になったひろしだ。
「相変わらず、方向音痴か?」
「地図を見て進んだはずが、なんか逆に向かってたみたいで…」
「どこに行きたいんだ?」
ひろしが、わたしのスマホを覗き込んだ。
とっても距離が近い!
「ここに行きたいのか? なら、そこまで一緒に行こう」
「ホントに? さっすがお巡りさん!」
歩き始めると、ひろしはサッとわたしの手を握った。
「ひ、ひろし…?」
「こうしたら、迷わないだろ?」
「別に子供じゃないんだから…」
ひろしの横顔は、冷静だった。
でも、手からは隠しきれない緊張感が伝わってくる。
事件が起きても動じない、すぐ駆けつけるひろしにも、こんな一面があるんだと思うと、なんだか可愛く見えた。
鍛え上げられた、たくましい腕。
優しい眼差し。
正義感が強くて、困った人を助けるヒーロー。
「ひろしはさ、なんで警官になったの?」
「え? それは…どんな時でも、ゆいこを守るためだよ」
「えっ!? わたしを…?」
“ピッピー!”
警笛が鳴った。
「前の警官、とまりなさーい!」
振り返ると、パトロール中の警官が、自転車でこちらへと向かって来ている。
「たくみ!」
わたし達を分断するように、たくみの自転車が止まった。
「ひろし! 何やってんだ? 今は勤務中だぞ!」
「何って、区民の安全を守ってるんだよ」
「これが?」
たくみは、わたし達の繋がれた手を睨みつけた。
「違うの、たくみ! わたしが道に迷っちゃって…」
わたしは慌てて、ひろしの手を離した。
「ふーん」
たくみは、不満そうな顔をわたしに向ける。
たくみは、ひろしが警官になると言い出すと、負けじと自分もなると言い出し、今に至る。
危なかしいところはあるが、子供人気は高い。
「なぁ、逮捕してもいいか?」
たくみがわたしに妙なことを言う。
「えっ? 誰を?」
「ゆいこを!」
「えっ!? わたしなんかした!?」
「ゆいこは、ずーっと罪な女の子だからな」
「もう、何よそれ!」
たくみは、子犬を可愛がるかのように、わたしの頭をわしゃわしゃした。
「こんな奴が警官かと思うと呆れるな」
ひろしが、ため息をつく。
「どうせ、ひろしはゆいこを守るために警官にでもなったんだろぅ?」
「なっ! たくみには関係ないだろ!」
「俺は違うぜ? ゆいこを逮捕するために警官になったんだ!」
たくみはニヤリと笑った。
「ゆいこ、君は窃盗罪だ!」
そう言うと、たくみはわたしを抱きしめた。
こんな、ひろしが見てるところで…!
「俺の心を盗んでおいて、ひろしとデートなんて、いけない子だ」
たくみが、わたしの耳元で囁いた。
もう! わたしのハートも、盗まれてるのよ!
現行犯で逮捕するぅー!!
明日は、バスケ部のたくみです!