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第21話



「だから、その精霊たちをまとめる精霊神様に祈りを捧げているのよ」

「……そうなんだな」

「もともと、あたしたちエルフは精霊神様の体の一部を切り分けて作ってもらった存在だと言われてるし、まあ感謝しなさいよって小さい頃から教えられてるわ」


 ……まさに神話の世界の話という感じだな。神話の神様の中には、自分の体の一部が新しい神様になった、とかいう話もあるよな。

 恐らく、それと似た様な感じなんだろう。


「色々とあるんだな」

「シドー様は、いつもいただきます、と言っています。それはどういった意味があるのよ?」

「そうだな……。食べ物……まあだいたいは命を奪って食事をするから、それに対しての感謝とか、一緒に食べる人や料理してくれた人への感謝とか……そういう意味だな」


 いいこと、なのではあるがファンタジー的なことを期待されていると、少しインパクトには欠けるかもしれない。


「それは……いいわね。今こうして食事できてるのもシドー様のおかげだし、あたしたちもシドー様に対して、いただきます……って言ってもいいってことでしょ?」

「まあ、そうだな。あとは、この卵とか米とかを作ってくれた人とかだな。すべてのものに生命が宿っているって考える人もいるわけで、そういうものに対しての感謝だ」

「……なるほどね」


 そんな話をしてから、俺たちは手を合わせて食事を始めた。

 リアたちもいただきます、と言っていたのはご主人様の信仰に合わせてくれたのかもしれない。あるいは、彼女たちがそれに感銘を受けたのか。

 どちらにせよ、とりあえず朝食を食べる。卵かけご飯をかき込むように口へ運ぶ。


「……うまい」


 これぞまさにシンプルイズベストだ。

 この醤油もうまいな。普通の醤油と少し違って、色々と中に入っているおかげか、うまみがましている。

 さて、リアたちはというと……夢中で食べていた。


「リア、アンナ……醤油足りてるか?」

「……っ! こ、これ美味しすぎるわ!」

「は、はい……こんな美味しいの初めて食べましたよ!」


 クックックッ。

 どうやら、順調に胃袋を掴むことには成功しているようだ。


 卵かけご飯には色々とトッピングをすることもあるのだが……今日はひとまず、これだけでいいか。

 楽しみは今後にとっておいたほうがいいだろう。


 味噌汁が飲みたくなったので、俺はインスタントの味噌汁とお湯を召喚することにする。

 お湯といってもさすがにそのままお湯だけは無理だったが、お湯の入った水筒が召喚された。


 ……こんな使い方もできるんだな。電気はないが、お湯だけを入れるなら問題ない。

 別の皿を用意し、インスタント味噌汁をいれていく。


「リアたちも飲むか?」

「飲むわ。なによそれ!?」


 もはや、中身を聞くことはなく、食べるの前提での返答だ。

 ナーフィも片手を向けてきたので、速やかに用意していく。


「味噌汁だ。俺の故郷だとよく食べるものでな」

「……このペラペラの乾燥したものが?」

「ここにお湯を入れると味噌汁になるんだ」


 言いながら、お湯を入れていくと、お湯の色が味噌汁の茶色へと変わっていき、リアたちは目を見開いている。


 ……本当に反応が可愛いな。全員分を用意してから、皿を彼女たちに向ける。


「熱いから気をつけてな。特にナーフィ、一気に飲むとやけどするから、ほんと気をつけて」


 俺がいうと、ナーフィもちゃんと理解してくれているようで、ふーふーと息を吹きかけている。

 リアとアンナは温度を確かめながら、口をつける。……あー、うまい。

 やっぱり味噌汁はシンプルにワカメが合うよな。

 ちらと視線を向けると、リアとアンナは美味しそうにしていた。


 ナーフィは、舌を出して少し表情を険しくしている。

 ……どうやら、案外猫舌のようだ。今後、ラーメンとかでも召喚してあげようかと思っていたが、あまりにも熱いものには注意が必要だな。


「……美味しいわね、これ」

「はい……白米ととても合いそうです」

「それは良かった。いくらでも召喚できるから、好きなだけ食ってくれ」

「……」


 そういうと、三人は顔を見合わせてからバクバクと食べていく。

 ……昨日に比べ、三人とも遠慮がなくなったな。


 クックックッ。ここまで食事を自由にできる環境はそうはないだろう。

 これからも、彼女らが俺のもとで経験値を稼いでくれることを願うばかりだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] お湯の入った水筒なんて出せるんなら直接味噌汁出せば良いのでは? わざわざインスタントの味噌汁とお湯を分けて召喚する必要あった?
[一言] 白米とは玄米を精米機にかけて精米した物。白米を炊くとご飯になる。なろう系のクリエーターは日本語を知らん奴らばかり
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