気遣いを形に 茜音視点
茜音はその背を目で追いかけながら、頭を冷やす。
――多分、かむが言ってることは、正しい。
村上は洞察力が高い。周りを見れるから、他の人は言いづらいだろうと思って先に言っただけだ。
それを、茜音を含めた七人も汲み取れる。気まずい沈黙が流れるだけで、誰一人として村上を責める口を開かなかった。
戸惑っている空良と未空。
空中で伸ばしていた手を止めた晴斗。
伊藤は村上を見ておろおろとしているし、平井は何か動く様子はない。
黒井は村上を諭していた。
「あのね、問い詰め方が怖い。そういう子だっているの。仲良くなりたいならもっとやわらかーく優しーく注意してあげるんだよ?」
そして、茜音は迷っていた。
一人がいい時は誰にでもあるもの。それを自分が行って台無しにしていいものか。追いかけても、蒼の性格上、気にしてしまうだろうとも。
でも、これで放っておいて後悔はしたくなかった。泣くというのは感情の吐露であり、気づいてほしいという訴えの欠片でもある。
それを私は痛いほど承知している。何よりも、月待君とは友達だから。
茜音は息をすうっと吸って、吐いた。
「……ごめん、私追いかけてくる! 皆楽しんでてね!」
安心させるように笑いかけると、八人は力を抜いたような顔になった。
良かった、と視線を前に向ける。
「月待、宜しくな!」
晴斗が叫んだ。
茜音が思うに、晴斗は不器用で、こういうことは苦手らしい。明るい人と明るくやるのは上手いが。
晴斗の気持ちも預かったような勢いで、茜音は走った。




