このままでいいのか⁉︎オレ!
オレは最近やたらあかねちゃんが気になっ
て仕方ない。
だからってどうっていうことでもない。
あかねちゃん、彼氏いるし。
オレは何もできないまま身体だけが大きく
なる一方だ。
そして卒業を迎えた。
さよなら。あかねちゃん……。
あかねちゃんとは、別々の高校だ。
もう会う事なんてないんだ。
でも、オレには食べ物がある。
だから大丈夫だ。
…そう自分に言い聞かせるもなんか最近…
食欲が前ほど湧かない…んだよな…。
もう会うこともないと思ってたあかねちゃ
ん。
駅でたまに見かけることがある。
あっ、あかねちゃん…!
…あかねちゃんの少し後ろから彼氏が近づ
いて行った。
たまにあかねちゃんを見かける。
でもなぜだか彼氏は、いつもあかねちゃん
の少し後ろを歩いている。
なぜだろう?
少し気になっていた。
そんなある日
「恭介!」
あかねちゃんが後ろから声をかけてきた。
「あ、あかねちゃん。久しぶり」
「恭介、でっかいからすぐわかるー。」
ニコッ。
お…っ…。
そんな眩しい笑顔をオレに向けてくれるな
んて。
「んじゃーねっ」
あかねちゃんは、行ってしまった。
そしてまた後ろから彼氏。
「あかね‼︎さっきのデカいやつだれだよ⁉︎」
「はっ、あんたに関係ないし」
「カンケーあんだろ‼︎誰だよ!言えよ‼︎」
「いったいなぁ、離してよ‼︎」
…あかねちゃんが彼氏に怒られてる⁉︎
オレと話してたせいだよな。
慌てて二人の中に入った。
「あのっ、ただの友達…っていうか。中学の
クラスメイトだっただけで…あかねちゃん
は、なにも悪くないです。ただの挨拶程度
だったので。」
「ふーん。どうだか。つーか、あかねの好き
な奴ってまさかコイツ⁈なわけーねーか。
ギャハハ。コイツだったら、マジウケんの
に」
その彼氏は、いきなりオレを蹴った。
ドスっ。
オレは蹴られて転んだ。
「ギャハハ!からだでけーのによっわ」
「ちょっと!何すんのよ!いい加減にしてよ
ね‼︎私の好きな人に何してくれんのよ!」
あかねちゃんが怒ると
「あーあ、アホくせー」って言って彼氏は行
ってしまった。
「ごめん。恭介…。」
「ううん。こっちこそ。ってか、彼氏と喧嘩
中?」
「う…うん。まぁそんな感じかな。なんかご
めん。変な事に巻き込んじゃって。」
あかねちゃんは、うつむいた。
「早く彼氏と仲直りできるといいね。あと、
もうオレに話しかけない方がいいよ。じゃ
オレ行くわ」
その日からオレは気になって仕方ないこと
があった。
なんであかねちゃんの彼氏は、あかねの好
きな奴ってこいつ?って言ったのだろう。
彼氏がいるのに他に好きな人がいるって言
うのおかしくないか?
しかも、このただ太ってる弱い男を私の好
きな人なんてあかねちゃん言ってたよな。
こんなオレを嘘でも好きなんて言ってくれ
て…。
あかねちゃんに、申し訳ない。
こんなみっともないオレを…。
本当は、いい加減こんな自分に嫌気がさし
ていた。食べ物さえあればいいなんてただ
の逃げだった。
自分を甘やかしていただけなんだ。
変わろう。
オレは、生まれ変わってやるんだ‼︎
そして空手道場に通うことを決意した。
本当は、腹から大きい声出すなんて恥ずか
しいけど、そんな事言ってる場合じゃない。
縄跳びも苦手だし、疲れるけどオレはやっ
てやるんだ‼︎
蹴られてすぐ転ぶ男なんてダサすぎるだろ。
それからお菓子とジュースもやめてヘルシ
ーなものを摂取するよう心がけた。
食べる時もゆっくり。
一年くらい続けていたら、カラダがどんど
んしまってきた。
毎日通いとにかくがむしゃらに頑張った。
こんなに何かに打ち込んだのは、初めてか
もしれない。
そして高校二年生の冬。
今日も空手に向かう。
もう、全くあかねちゃんとは会っていない。
電車の時間を変えたのだろう。
あかねちゃんにも、彼氏にもきっとその方
がよかったんだ。
何年も空手に通っていたら、からだはガッ
ツリした。
もともと背が高かったんだけど、横にも広
かったから、とくになんともなかったんだ
けど、最近電車でよく痴漢から守ってくれ
てありがとうございますなんてお礼を言わ
れたりする。
あ…全然気が付かなかったけど、オレって
役に立つようになったんだな。
だから、変な男を見かけたり挙動不審な男
がいると、ギロって睨むだけで男は慌てて
別の車両に移動して行った。
あの、ブヨブヨのオレが今じゃ正義の味方
みたいじゃん。
空手はじめてよかったな。
続く。




