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モテ期は終わった

 オレの名前は、恭介きょうすけ


 幼稚園の頃かなりモテた。

 いつもきょうちゃんきょうちゃんって女の

 子から呼ばれてチヤホヤされてた。

 まぁ、悪い気はしなかった。

 なかでもあかねちゃんがとにかくオレを慕

 ってくれていた。

 

 小学生になり、オレは食欲旺盛になった。

 学校から帰るとおにぎりを二個食べて、お

 菓子もたくさん食べた。

 とにかく食べるのが大好きで、中学生にな

 ると、買い食いをよくした。

 お小遣いは、ほとんど食べ物に消えた。

 

 そんな生活をしていたらどんどん縦も横も

 大きくなる一方だった。

 しかも、ニキビもよくできる。

 やたらとあせもかく。

 こんなにダラダラ汗をかくんだから痩せて

 もいいと思うがその倍のジュースを飲んで

 いるから痩せるわけもない。

 っていうか、痩せる気もさらさらない。

 だって太ってると冬でもやたらと暑い。

 脂肪がきっとオレの寒さを待ってくれてい

 るに違いない。

 ありがとう!脂肪‼︎これからもオレを寒さ

 から守り続けてたまえ‼︎

 

 ーお昼ー

 鼻息を荒くしながらご飯をむしゃぶりつく。

 とにかく早く食べる。

 フンガフンガいいながら。

 だっておかわりなくなっちゃうじゃん。

 

「おまえさー。もっとゆっくり食えよ。なん

 か、こっちが落ち着かねーよ」

「んっ?なんて?今忙しいから話はあとな」

「あー…そうか。」

 隣の席のおうすけは、呆れていた。

「ったく、恭介幼稚園の頃は王子みたいにか

 っこよくていけてたのになー。こんなにも

 かわるなんてさ。ま、食べっぷりはいいよ

 ね。」

 幼稚園の頃オレを慕っていたあかねちゃん

 が今じゃオレにそんな事を言っている。

 でも、いいんだ。

 本当の事だし。

 モテ期は、幼稚園で終わった。

 しかもあの時存分にモテを楽しんだからな。

 

 あ〜、から揚げくいて〜な〜。

 

 そんなある日…。

 とんでもないことが起きた

 

 放課後から揚げの事を考えて歩いていたら、

 あかねちゃんが…

 あのあかねちゃんが…

 あかねちゃーん‼︎

 オレはとっさに目を背けた。

 男があかねちゃんに抱きついたのだ。

 

 落ち着け…オレ。

 ふぅ、ふぅ、ふぅ。

 そうだよ。

 あかねちゃんだって彼氏の一人や二人いる

 んだろう。

 オレがムクムク進化している間にあかねち

 ゃんは、いつのまにか大人びた。

 でも、そんな事よりオレは食欲の方が大事

 だと思ってた。

 さっきまで…。

 

 なんでオレはこんなに動揺しているんだ。

 あかねちゃんが男に抱きつかれていたから、

 ただびっくりしただけだ。

 そうだよ。

 幼稚園の頃の友達がそんな事してたから、

 びっくりしただけなんだ。

 うん。

 

 そう納得したオレだったけど、幼稚園の時

 オレを好きだったみゆちゃんが男の人とキ

 スしていたのを見てもなんとも思わなかっ

 た。

 なんでだよ⁉︎オレ‼︎どうした⁉︎キスの方が

 もっとびっくりしてもいいじゃないか!

 なんで平常心保ってんだよ‼︎

 どうしたんだー、

 オレ…。

 

 よく自分の感情がわからないまま、月日は

 流れた。

 

 ー中二の春ー

 心地よい風が吹いている。

 しかし‼︎

 春でもオレは暑い‼︎

 脂肪のおかげでとにかく暑い‼︎

 

 あかねちゃんとは、別のクラスになった。

 でも、あかねちゃんはオレに気さくに話か

 けてくれる。

「よっ、恭介!今日も汗かいてんな」って。

「おっ、おう」

 腕でオデコの汗を拭った。

 

 あかねちゃんを見るとどうしてもあのシー

 ンが…。

 きっと明るいあかねちゃんだから、彼氏と

 楽しく今でも付き合っているのだろう。

 

 ー夏ー

 アイスを食いながら片手にジュースとお菓

 子の入ったスーパーの袋をぶら下げながら、

 歩いていた。

 あかねちゃんが本屋に歩いて行くのが見え

 た。

 あ、あかねちゃんの私服かわいいなぁ。

 なんて思っていたら、後ろからあかねちゃ

 んに抱きついてた男の人が歩いて来た。

 

 …きっとこれからデートなんだろう…。

 

 ⁉︎オレは今何を考えてたんだ‼︎

 恋だのなんだのって興味はないんだ‼︎

 オレは、食べ物さえあればいいんだ。

 

 脂肪に守られて生きていければそれでいい

 んだ。

 そうだ。うん。そうだ。

 さ、帰ったらご馳走がこの袋にたんまり入

 っているのさ。

 ははは…。

 

 そして家に帰りまたアイスを食べた。

 少し溶け始めてたから、あっという間に食

 べ終わってしまった。

 次は、ジュース…

 …やっぱ今日は、ジュースやめとこっかな。

 

 なぜだか今日は、もうお腹いっぱいな気分

 だった…。

 

 はぁあ〜。

 大きなため息ばっかりがでる…。

 

 どうしたんだよ。オレ…。

 

 続く。

 

 

 

 

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