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【書籍化・コミカライズ連載中】グランアヴェール~お守りの魔導師はラスボスお兄様を救いたい~  作者: 彩戸ゆめ
第ニ章 学園に入学しました

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第80話 ヘルケルベロス

グランアヴェールのコミカライズ第4話が更新されています!

エルヴィン登場♪

https://firecross.jp/ebook/series/499

 王都にケルベロスが出現したので、当然学園の校外学習は中止になった。


 そりゃあね、こんなことになってのんびり校外学習なんてしてられないよね。


 ここはお約束で、校外学習中にアベルが襲われるんじゃないかと思ってたんだけど、襲撃を受けたのはまさかの王都のエルヴィンだった。


 お兄様を始めとした教師たちは、ここを守る最低限の人数を残してケルベロスの現れた騎士団の訓練場へと向かう。


 そして安全が確保されるまで、最高学年で戦えるものたち以外の学生は学園で待機することになった。


「アベル……」


 幼馴染を見送るマリアちゃんはとても心配そうだ。


 でもケルベロスってアベルが一年生の時に校外学習で倒せたくらいの魔物だから、心配いらないと思う。


 聖女であるフィオーネ姫のサポートがあったにせよ、一年生が倒せるくらいだから、そんなに強くないんじゃないかな。


 エルヴィンは順調に脳筋に育ってるけど、剣の腕は確かだし、よく考えたらお兄様と聖剣まで参戦したら過剰戦力になっちゃうかも。


「アベルたち大丈夫かな。心配だよ」


 私は不安そうなマリアちゃんの手を握って安心させる。


 他の生徒たちもさすがに不安そうな様子を隠せていない。

 ここは安全だけど、みんな家族を心配しているのだ。


「大丈夫ですよ。騎士団の方たちもいらっしゃるし、すぐに討伐できます」


 私に魔法が使えたら、ドーンと激しい魔法を使って敵を蹴散らすのになぁ。


 でもまぁ、使えないものは仕方ない。

 私にできることはお兄様たちのサポートをすることだけだ。


 私の鞄には聖剣の針があって、モコがいる。

 いざという時用のお守りもたくさん持っている。


 そしてランと私は契約で結ばれているから、お兄様の状況はすべて把握できる。

 たとえ何があっても大丈夫。


(ラン、そっちの状況はどう?)


 マリアちゃんの手を握りながら心の中で尋ねてみる。

 するとすぐに返答があった。


『そろそろ訓練場に到着します。ケルべロス程度であれば騎士団の方たちでも苦戦はしないでしょう』

(じゃあお兄様が到着する前に討伐が終わっちゃってるかな)


『そうかもしれませんね。ですがわざわざ学園まで知らせにきたというのが不自然ではありますが』

(そうなんだよね。だから念のためランに一緒に行ってもらってるんだけど)


『到着しました』

(エルヴィンは無事?)


『苦戦はしていますが、大きなけがはしていないようです。折り紙君一号が、エルヴィン様を守るように攻撃を逸らしています』

(それなら良かった)


 ただ飛ぶだけじゃなくてちょっとは攻撃できるようにしたから、折り紙君一号が役に立ってくれてるみたい。


 一応、婚約者だから、大丈夫かな、ってちょびっと心配したのよ。


(でも苦戦って、ケルベロスに?)


 確かに強い魔物だけど騎士団で戦ったら楽勝じゃないのかな。


『いえ、あれでは騎士団も苦戦したことでしょう』

(どういうこと?)


 ランの言い方に不安を覚えて聞き返す。


『あれはケルベロスではありません。その上位種となるヘルケルべロスです』

(ヘルケルべロス?)


 初めて聞いた名前だ。

 小説『グランアヴェール』にも出てきてない。


 舌を噛みそうな長い名前だけど、確かに強そう。


『ケルベロスの三倍の体の大きさで、頭は三つではなく五つになります。尾の蛇も三体いるので、合計八体の敵と戦うのと同じでしょう。しかも頭と尾は、同時に切らないとすぐに再生します』


(ケルベロスっていうより、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)だね)


『異界にも同じような魔物がいるのですか』

(神話のお話だけどね)


 ランに説明しながら、この世界では神々が存在していることを思い出した。

 つまり、ランは八岐大蛇を実在している魔物だって認識したみたい。


『どうやって倒すのですか?』

(お酒が好きだから、酔わせて倒すの)


『それはまたずいぶんと間抜けな』


 しかも素戔嗚命(スサノオノミコト)の罠で飲んでるんだから、ずいぶんと人間くさい。


『あのヘルケルベロスにも効くでしょうか』


(どうだろう。ヘルケルベロスがケルベロスと一緒で炎属性なら、お兄様の氷魔法が一番効きそう)

『確かに』


(それよりお兄様は大丈夫?)


『ええ。さすがセリオス様ですね。ケルベロスは五つの頭と三つの尾を同時に切り落とした瞬間に心臓を攻撃しないと倒せないのですが、セリオス様は八つ同時に凍らせて動きを止めていらっしゃいます。そして……ふふ。分かっていらっしゃる。とどめを聖剣の私に任せてくださるとは』


 ほっ、良かった。

 なんとか討伐できそう。


 そう思って安心した次の瞬間。

 講堂の窓を突き破って、三つの頭を持つ魔物が現れた。


もしも「面白かった」「続きが気になる」などと思って頂けましたら、

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どうぞよろしくお願いします!

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